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第一章
第17話:義憤
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ダグラス伯爵家の長男グレアムは馬を駆っていた。
フィアル公爵邸に忍び込んでオードリーを助け出すために。
城で見た光景があまりに許せなくて、全てを捨てる覚悟だった。
急いで自邸に戻ったグレアムは、全てを話して勘当して欲しいと父に願い出た。
相手はグレアムを育てたダグラス伯爵だ、屑な性格のはずがなかった。
今までの自分の不明を恥じて罪滅ぼしを即決した。
「家臣領民はできるだけ巻き込みたくない。
だがオードリー嬢を見殺しにするようでは貴族の誇りを捨てることになる。
私達は直ぐに領地に戻って籠城戦の準備を整える。
グレアムはフィアル公爵邸に忍び込んでオードリー嬢を救い出してこい。
形だけ今この場で勘当しておく。
グレアムが救出に失敗するようならオードリー嬢は神に見捨てられたのだ。
私は領主の立場で家臣領民を護る。
その代わりルーパス殿とオードリー嬢への詫びに大切なグレアムを殉死させる。
オードリー嬢を助けられないのなら一緒に死ね。
だがグレアムが救出に成功するようなら神はオードリー嬢を選ばれたのだ。
家臣領民を犠牲にしてでも貴族の誇りにかけて王家王国と戦う」
ダグラス伯爵の苦渋の選択だった。
ダグラス伯爵家は代々の領主が英邁で、彼らの努力が実りとても豊かな家だった。
家臣領民合わせて二十万もの民がこの世界の基準で豊かな生活をしていた。
このままオードリー嬢の事を見て見ぬふりして、王家に阿諛追従すればダグラス伯爵家は安泰で、家臣領民が戦争に巻き込まれる事もない。
ここで戦いをオードリー嬢救出を選択すれば、最悪王国と戦争になる。
戦いに巻き込まれた家臣領民は最悪全滅するだろう。
生き残っても奴隷にされて子々孫々地獄のような生活を強いられる。
そんな決断をする事は領主としては許されない。
だが同時にこの世界の恩人であるルーパスの忘れ形見を見殺しにすれば、貴族としての誇りが地に落る。
「はい、父上、全て覚悟のうえです。
私はダグラス伯爵家とは全く関係のない人間として生きます。
できるだけダグラス伯爵領以外の所に逃げます。
どうしても他に行くことができなくなるまではダグラス伯爵領には近づきません」
そう言うとグレアムは厩舎に向かい愛馬を引き出して乗った。
グレアムはダグラス伯爵家の嫡男で騎士の資格まで持っている。
当然だが替え馬を含めた優秀な軍馬を所有している。
訓練の行き届いた優秀な軍馬は騎乗しなくてもグレアムの指示に従う。
ほんの一瞬考えたグレアムは、四頭の軍馬を引き出してリーダー馬に跨った。
「いくぞ」
「「「「ヒッヒヒヒヒーン」」」」
フィアル公爵邸に忍び込んでオードリーを助け出すために。
城で見た光景があまりに許せなくて、全てを捨てる覚悟だった。
急いで自邸に戻ったグレアムは、全てを話して勘当して欲しいと父に願い出た。
相手はグレアムを育てたダグラス伯爵だ、屑な性格のはずがなかった。
今までの自分の不明を恥じて罪滅ぼしを即決した。
「家臣領民はできるだけ巻き込みたくない。
だがオードリー嬢を見殺しにするようでは貴族の誇りを捨てることになる。
私達は直ぐに領地に戻って籠城戦の準備を整える。
グレアムはフィアル公爵邸に忍び込んでオードリー嬢を救い出してこい。
形だけ今この場で勘当しておく。
グレアムが救出に失敗するようならオードリー嬢は神に見捨てられたのだ。
私は領主の立場で家臣領民を護る。
その代わりルーパス殿とオードリー嬢への詫びに大切なグレアムを殉死させる。
オードリー嬢を助けられないのなら一緒に死ね。
だがグレアムが救出に成功するようなら神はオードリー嬢を選ばれたのだ。
家臣領民を犠牲にしてでも貴族の誇りにかけて王家王国と戦う」
ダグラス伯爵の苦渋の選択だった。
ダグラス伯爵家は代々の領主が英邁で、彼らの努力が実りとても豊かな家だった。
家臣領民合わせて二十万もの民がこの世界の基準で豊かな生活をしていた。
このままオードリー嬢の事を見て見ぬふりして、王家に阿諛追従すればダグラス伯爵家は安泰で、家臣領民が戦争に巻き込まれる事もない。
ここで戦いをオードリー嬢救出を選択すれば、最悪王国と戦争になる。
戦いに巻き込まれた家臣領民は最悪全滅するだろう。
生き残っても奴隷にされて子々孫々地獄のような生活を強いられる。
そんな決断をする事は領主としては許されない。
だが同時にこの世界の恩人であるルーパスの忘れ形見を見殺しにすれば、貴族としての誇りが地に落る。
「はい、父上、全て覚悟のうえです。
私はダグラス伯爵家とは全く関係のない人間として生きます。
できるだけダグラス伯爵領以外の所に逃げます。
どうしても他に行くことができなくなるまではダグラス伯爵領には近づきません」
そう言うとグレアムは厩舎に向かい愛馬を引き出して乗った。
グレアムはダグラス伯爵家の嫡男で騎士の資格まで持っている。
当然だが替え馬を含めた優秀な軍馬を所有している。
訓練の行き届いた優秀な軍馬は騎乗しなくてもグレアムの指示に従う。
ほんの一瞬考えたグレアムは、四頭の軍馬を引き出してリーダー馬に跨った。
「いくぞ」
「「「「ヒッヒヒヒヒーン」」」」
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