8 / 8
第7話幽閉2日目3と後日談
しおりを挟む
王城内は阿鼻叫喚の修羅の場となった。
王族も貴族も士族も、親兄弟が殺し合い、己の欲望を剥き出しにしていた。
なかにはこの気に乗じて女官を犯す者、王家の財宝を盗む者までいた。
だがそのような者は小者でしかなかった。
国王の座、王国の実権を手に入れようと、情け容赦のない殺し合いだった。
王太子は側近のいない王女を捕縛し、側近に犯させた。
父王の目の前でだ!
散々下劣な現場を見せつけた後で、父娘並べて斬り殺した。
実の父、国王を弑逆しての王位簒奪だった。
愚かにもほどがあった。
これで守護神の加護など得られるはずがないのだ。
塔に閉じ込められていた聖女は、騒乱音で状況を察した。
もはや手遅れだと、断腸の思いで諦めるしかなかった。
聖女には根拠のない自信があった。
その自信だけを胸に、無慈悲な決断をした。
いや、無駄な努力に見切りをつけた。
一旦切れた守護神との契約通りに祈っても、もう守護など得られない。
人間の身勝手で、一方的に契約破っておいて、また護ってくれと言っても、聞き届けてくれるような神族でない事は、過去の記録を調べれば直ぐに分かる事だ。
聖女に選ばれた時に、色々調べ記憶しているダイアナには、明白な事だった。
だが、一度は聖女と認められた身だ。
ラステ王家とは関係のない、ダイアナ個人として神と絆を結ぶ事はできると思っていた、いや、思うしかこの先の希望はなかった。
彼女は乱世の王城王都を抜けだし、まだ神と契約をしていない、はるか西方の荒地を目指した。
国王と王族を皆殺しにして王位についたチャールズと、チャールズを誑かしたカミラに、明るい未来などなかった。
近隣諸国が一斉に攻め込んできたのだ。
ラステ王国の民を神との契約で生贄に捧げる国。
純粋に財宝だけを目当てに攻め込む国。
民を奴隷として攫おうとする国。
その噂を聞き、絶望した王都の民は王城に攻め込んだ。
内乱で激減した貴族士族では護り切れなかった。
いや、新王と新王妃を捨てて我先に逃げ出した。
新王チャールズと新王妃カミラには、思いつく限りの拷問をくわえられた。
二人並べて繰り返し犯された。
最後は肛門から口に杭を打ち込まれて絶命した。
ラステ王国の滅亡から十数年後。
遥か西方の荒地に小さな国が建国された。
国民の数が千人を切るような、本当に小さな小さな国だった。
二人の幼子の手を引く従士装備の夫と、生まれたばかりの嬰児を抱いた妻。
夫婦仲良く毎年神に祈る事を契約内容として、新たな王国が建国された。
この世界では初めての夫婦での神契約だった。
王族も貴族も士族も、親兄弟が殺し合い、己の欲望を剥き出しにしていた。
なかにはこの気に乗じて女官を犯す者、王家の財宝を盗む者までいた。
だがそのような者は小者でしかなかった。
国王の座、王国の実権を手に入れようと、情け容赦のない殺し合いだった。
王太子は側近のいない王女を捕縛し、側近に犯させた。
父王の目の前でだ!
散々下劣な現場を見せつけた後で、父娘並べて斬り殺した。
実の父、国王を弑逆しての王位簒奪だった。
愚かにもほどがあった。
これで守護神の加護など得られるはずがないのだ。
塔に閉じ込められていた聖女は、騒乱音で状況を察した。
もはや手遅れだと、断腸の思いで諦めるしかなかった。
聖女には根拠のない自信があった。
その自信だけを胸に、無慈悲な決断をした。
いや、無駄な努力に見切りをつけた。
一旦切れた守護神との契約通りに祈っても、もう守護など得られない。
人間の身勝手で、一方的に契約破っておいて、また護ってくれと言っても、聞き届けてくれるような神族でない事は、過去の記録を調べれば直ぐに分かる事だ。
聖女に選ばれた時に、色々調べ記憶しているダイアナには、明白な事だった。
だが、一度は聖女と認められた身だ。
ラステ王家とは関係のない、ダイアナ個人として神と絆を結ぶ事はできると思っていた、いや、思うしかこの先の希望はなかった。
彼女は乱世の王城王都を抜けだし、まだ神と契約をしていない、はるか西方の荒地を目指した。
国王と王族を皆殺しにして王位についたチャールズと、チャールズを誑かしたカミラに、明るい未来などなかった。
近隣諸国が一斉に攻め込んできたのだ。
ラステ王国の民を神との契約で生贄に捧げる国。
純粋に財宝だけを目当てに攻め込む国。
民を奴隷として攫おうとする国。
その噂を聞き、絶望した王都の民は王城に攻め込んだ。
内乱で激減した貴族士族では護り切れなかった。
いや、新王と新王妃を捨てて我先に逃げ出した。
新王チャールズと新王妃カミラには、思いつく限りの拷問をくわえられた。
二人並べて繰り返し犯された。
最後は肛門から口に杭を打ち込まれて絶命した。
ラステ王国の滅亡から十数年後。
遥か西方の荒地に小さな国が建国された。
国民の数が千人を切るような、本当に小さな小さな国だった。
二人の幼子の手を引く従士装備の夫と、生まれたばかりの嬰児を抱いた妻。
夫婦仲良く毎年神に祈る事を契約内容として、新たな王国が建国された。
この世界では初めての夫婦での神契約だった。
0
お気に入りに追加
287
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
【完結】義母が斡旋した相手と婚約破棄することになりまして。~申し訳ありませんが、私は王子と結婚します~
西東友一
恋愛
義母と義理の姉妹と暮らしていた私。
義母も義姉も義妹も私をイジメてきて、雑用ばかりさせてきましたが、
結婚できる歳になったら、売り払われるように商人と結婚させられそうになったのですが・・・・・・
申し訳ありませんが、王子と結婚します。
※※
別の作品だと会話が多いのですが、今回は地の文を増やして一人の少女が心の中で感じたことを書くスタイルにしてみました。
ダイジェストっぽくなったような気もしますが、それも含めてコメントいただけるとありがたいです。
この作品だけ読むだけでも、嬉しいですが、他の作品を読んだり、お気に入りしていただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。
家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。
四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。
しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。
だがある時、トレットという青年が現れて……?
義母の秘密、ばらしてしまいます!
四季
恋愛
私の母は、私がまだ小さい頃に、病気によって亡くなってしまった。
それによって落ち込んでいた父の前に現れた一人の女性は、父を励まし、いつしか親しくなっていて。気づけば彼女は、私の義母になっていた。
けれど、彼女には、秘密があって……?
【完結】両親が亡くなったら、婚約破棄されて追放されました。他国に亡命します。
西東友一
恋愛
両親が亡くなった途端、私の家の資産を奪った挙句、婚約破棄をしたエドワード王子。
路頭に迷う中、以前から懇意にしていた隣国のリチャード王子に拾われた私。
実はリチャード王子は私のことが好きだったらしく―――
※※
皆様に助けられ、応援され、読んでいただき、令和3年7月17日に完結することができました。
本当にありがとうございました。
もう一度婚約したいのですか?……分かりました、ただし条件があります
香木あかり
恋愛
「なあララ、君こそが僕の理想だったんだ。僕とやり直そう」
「お断りします」
「君と僕こそ運命の糸で結ばれているんだ!だから……」
「それは気のせいです」
「僕と結婚すれば、君は何でも手に入るんだぞ!」
「結構でございます」
公爵令嬢のララは、他に好きな人が出来たからという理由で第二王子レナードに婚約破棄される。もともと嫌々婚約していたララは、喜んで受け入れた。
しかし一ヶ月もしないうちに、再び婚約を迫られることになる。
「僕が悪かった。もう他の女を理想だなんて言わない。だから、もう一度婚約してくれないか?愛しているんだ、ララ」
「もう一度婚約したいのですか?……分かりました、ただし条件があります」
アホな申し出に呆れるララだったが、あまりにもしつこいので、ある条件付きで受け入れることにした。
※複数サイトで掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
設定!凄いね😮
感想ありがとうございます。
多く書いているうちに、徐々に新たな世界観が固まってきました。