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第6話幽閉2日目2
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「この、愚か者が!
守護神様との契約を破って、この世界で生きていけると思ったの?!
恥を知りなさい、恥を!」
「恐れながらアリス王女殿下。
王太子殿下に逆らえば、国が亡ぶ前に殺されてしまいます。
私を愚か者と申されるのなら、あのような方を立太子された、陛下を先に愚か者とお諫め頂かねば、片手落ちでございます」
アリス王女が無意識に父王に視線を向けた。
ジョージ国王はとっさに顔を背けた。
確かに大臣の言う通りだった。
チャールズのような色情狂を立太子したのが間違いだった。
そう、全てはジョージ国王の責任だった。
「お前の言いたいことは分かったわ。
過去の事はもういいわ。
これからの事を考えないといけません。
直ぐに聖女の間を占拠しているカミラを捕えなさい。
抵抗するようなら殺して構いません。
チャールズが邪魔するのなら、捕えなさい。
抵抗するようなら、チャールズも殺して構いません。
それでよろしいですね、父王陛下」
「あ、ああ」
アリス王女は兄チャールズを殺す決断をした。
カミラもチャールズも抵抗するだろうと確信していた。
この機会に殺さねば、守護神に完全に見捨てらると考えていた。
すでに守護神に見捨てられてはいるが、まだ守護神は絆と契約していないはずだ。
条件は厳しくなるだろうが、再契約が不可能というわけではない。
何としてでも、守護神がこの地を去るまでに再契約しなければならない。
そのためには、色情狂はもちろん愚王にも邪魔されるわけにはいかない。
アリス王女はこの場に留まって、愚王を見張りながら指示を出すことにした。
「聞きましたね。
勅命が下りました。
近衛を、いえ、全軍を率いてカミラもチャールズを捕えなさい。
塔に捕らわれている聖女を救い出しなさい。
直ぐにです!」
アリス王女の厳しい命令を受けて、大臣達はあわただしく動き出した。
だが彼らの保身は醜いモノだった。
アリス王女が必ず勝つ保証はなく、完全にチャールズ王太子と敵対するのを恐れ、自分は矢面に立たず、命令を全て武官に丸投げした。
いや、それはまだましな方で、チャールズ王太子に注進する者まで現れた。
アリス王女の油断とも言えるし、箱入り娘ゆえの詰めのあまさとも言える。
残虐非道な行為に慣れていなかったと好意的に解釈することも可能だ。
だが結果はあまりにも悲惨なモノだった。
聖女ダイアナに叩きのめされ、半殺しにされ、ようやく治療が終わっていたチャールズ王太子は恐ろしく苛立っていたのだ。
「おのれアリス!
妹の分際で私に逆らうと言うか!
構わん!
殺せ!
国王もろとも殺してしまえ!
そうすれば私が、いや、余が国王だ!
アリスを嬲り者にして構わん!
だから直ぐにやれ!」
守護神様との契約を破って、この世界で生きていけると思ったの?!
恥を知りなさい、恥を!」
「恐れながらアリス王女殿下。
王太子殿下に逆らえば、国が亡ぶ前に殺されてしまいます。
私を愚か者と申されるのなら、あのような方を立太子された、陛下を先に愚か者とお諫め頂かねば、片手落ちでございます」
アリス王女が無意識に父王に視線を向けた。
ジョージ国王はとっさに顔を背けた。
確かに大臣の言う通りだった。
チャールズのような色情狂を立太子したのが間違いだった。
そう、全てはジョージ国王の責任だった。
「お前の言いたいことは分かったわ。
過去の事はもういいわ。
これからの事を考えないといけません。
直ぐに聖女の間を占拠しているカミラを捕えなさい。
抵抗するようなら殺して構いません。
チャールズが邪魔するのなら、捕えなさい。
抵抗するようなら、チャールズも殺して構いません。
それでよろしいですね、父王陛下」
「あ、ああ」
アリス王女は兄チャールズを殺す決断をした。
カミラもチャールズも抵抗するだろうと確信していた。
この機会に殺さねば、守護神に完全に見捨てらると考えていた。
すでに守護神に見捨てられてはいるが、まだ守護神は絆と契約していないはずだ。
条件は厳しくなるだろうが、再契約が不可能というわけではない。
何としてでも、守護神がこの地を去るまでに再契約しなければならない。
そのためには、色情狂はもちろん愚王にも邪魔されるわけにはいかない。
アリス王女はこの場に留まって、愚王を見張りながら指示を出すことにした。
「聞きましたね。
勅命が下りました。
近衛を、いえ、全軍を率いてカミラもチャールズを捕えなさい。
塔に捕らわれている聖女を救い出しなさい。
直ぐにです!」
アリス王女の厳しい命令を受けて、大臣達はあわただしく動き出した。
だが彼らの保身は醜いモノだった。
アリス王女が必ず勝つ保証はなく、完全にチャールズ王太子と敵対するのを恐れ、自分は矢面に立たず、命令を全て武官に丸投げした。
いや、それはまだましな方で、チャールズ王太子に注進する者まで現れた。
アリス王女の油断とも言えるし、箱入り娘ゆえの詰めのあまさとも言える。
残虐非道な行為に慣れていなかったと好意的に解釈することも可能だ。
だが結果はあまりにも悲惨なモノだった。
聖女ダイアナに叩きのめされ、半殺しにされ、ようやく治療が終わっていたチャールズ王太子は恐ろしく苛立っていたのだ。
「おのれアリス!
妹の分際で私に逆らうと言うか!
構わん!
殺せ!
国王もろとも殺してしまえ!
そうすれば私が、いや、余が国王だ!
アリスを嬲り者にして構わん!
だから直ぐにやれ!」
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