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24話
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「アルフレット様。
この刺青の復讐をしたいのです。
復讐することで、人族の中でも特に下劣な者共を滅ぼすことができます。
許可していただけないでしょうか?」
「……庶民に被害を与えないように。
分かっているだろうけど、人族の中には魔族の血を引く者もいる。
絶対に皆殺しにしてはいけないよ」
「はい、約束します。
皆殺しにはしません」
アルフレット様が、私を側室にしてくださると約束してくださってから、もう五年の月日が経ちました。
忙しい日々でしたが、魔族の人達にアルフレット様の婚約者と認められた、とても幸せな日々でもありました。
五年間で、地下シェルターに避難していた多くの魔族が発見されました。
彼らを助け、蘇生させました。
大陸中を探し回って、隠れ住んでいた魔族を助け出しました。
巨大な魔都も、魔族の増加と共に完成しました。
まだまだ過疎状態ですが、魔獣養殖用の坊は、魔獣で溢れています。
何よりも大きかったのは、人族の中に魔族が隠れ住んでいる事が分かった事です。
比較的隠しやすい身体的特徴の魔族は、それを切り落として人間に偽装して、目立たないように暮らしています。
人間の中に、薄く魔族の血が流れている者が、一割ほどいるのも分かりました。
だから時に、先祖返りで魔族に姿に生まれる者もいるのです。
そんな者の多くは、生まれて直ぐに密かに殺されてしまいます。
ある程度余裕があり、両親に愛がある場合は、魔族に生まれた子供を匿う家もあるそうです。
それもあって、私は決断しました。
私を罠に嵌めた王侯貴族を、できるだけ残虐な殺し方をする。
多くの国に魔族の強大さを思い知らせる。
そして全ての人間の国に魔族の大使館を置き、隠れ住んでる魔族や先祖返りの魔族を助ける。
そんな汚い駆け引きを伴う交渉は、魔族の方にはできないのです。
本当に心優しい方々なのです。
「ギャアァアア!
許してくれ!
悪かった、私が悪かった!
だから助けてくれ!
殺さないでくれ!」
ジェイコブ王太子が命乞いをしています。
いえ、今は父王を殺して王になっていたのでしたね。
父のオリバーも、私に向かって何か言っています。
念願の王妃になった妹のイヴリンが、鼻、唇、耳を食いちぎられた無残な顔で、私に命乞いをしているようです。
何度か治療して、また魔鼠に喰わせましょう。
その方が苦しみを長引かせることができます。
王宮中で泣き叫ぶ声が聞こえます。
全員が命乞いをしていますが、許す気は毛ほどもありません。
お前達のような汚い人間は、地獄の苦痛に苛まれて死ねばいいのです。
そのために弱くて小さい魔獣を選んで連れてきたのです。
魔鼠に喰い殺されればいいのです。
この調子で幾つかの国を滅ぼせば、全ての国がこちらの要求を飲むでしょう。
できるだけ抵抗する国が多ければいいのです。
それだけ魔族の領地が増えます。
隣国に近い貴族城を最大魔法で吹きとばせば、隣国にも私の恐ろしさが伝わるり、私を恐れるモノが増えてくれます。
魔族の方々、いえ、アルフレット様のために、極悪非道な魔人間カチュアの名をこの世界に広げてみせます。
この刺青の復讐をしたいのです。
復讐することで、人族の中でも特に下劣な者共を滅ぼすことができます。
許可していただけないでしょうか?」
「……庶民に被害を与えないように。
分かっているだろうけど、人族の中には魔族の血を引く者もいる。
絶対に皆殺しにしてはいけないよ」
「はい、約束します。
皆殺しにはしません」
アルフレット様が、私を側室にしてくださると約束してくださってから、もう五年の月日が経ちました。
忙しい日々でしたが、魔族の人達にアルフレット様の婚約者と認められた、とても幸せな日々でもありました。
五年間で、地下シェルターに避難していた多くの魔族が発見されました。
彼らを助け、蘇生させました。
大陸中を探し回って、隠れ住んでいた魔族を助け出しました。
巨大な魔都も、魔族の増加と共に完成しました。
まだまだ過疎状態ですが、魔獣養殖用の坊は、魔獣で溢れています。
何よりも大きかったのは、人族の中に魔族が隠れ住んでいる事が分かった事です。
比較的隠しやすい身体的特徴の魔族は、それを切り落として人間に偽装して、目立たないように暮らしています。
人間の中に、薄く魔族の血が流れている者が、一割ほどいるのも分かりました。
だから時に、先祖返りで魔族に姿に生まれる者もいるのです。
そんな者の多くは、生まれて直ぐに密かに殺されてしまいます。
ある程度余裕があり、両親に愛がある場合は、魔族に生まれた子供を匿う家もあるそうです。
それもあって、私は決断しました。
私を罠に嵌めた王侯貴族を、できるだけ残虐な殺し方をする。
多くの国に魔族の強大さを思い知らせる。
そして全ての人間の国に魔族の大使館を置き、隠れ住んでる魔族や先祖返りの魔族を助ける。
そんな汚い駆け引きを伴う交渉は、魔族の方にはできないのです。
本当に心優しい方々なのです。
「ギャアァアア!
許してくれ!
悪かった、私が悪かった!
だから助けてくれ!
殺さないでくれ!」
ジェイコブ王太子が命乞いをしています。
いえ、今は父王を殺して王になっていたのでしたね。
父のオリバーも、私に向かって何か言っています。
念願の王妃になった妹のイヴリンが、鼻、唇、耳を食いちぎられた無残な顔で、私に命乞いをしているようです。
何度か治療して、また魔鼠に喰わせましょう。
その方が苦しみを長引かせることができます。
王宮中で泣き叫ぶ声が聞こえます。
全員が命乞いをしていますが、許す気は毛ほどもありません。
お前達のような汚い人間は、地獄の苦痛に苛まれて死ねばいいのです。
そのために弱くて小さい魔獣を選んで連れてきたのです。
魔鼠に喰い殺されればいいのです。
この調子で幾つかの国を滅ぼせば、全ての国がこちらの要求を飲むでしょう。
できるだけ抵抗する国が多ければいいのです。
それだけ魔族の領地が増えます。
隣国に近い貴族城を最大魔法で吹きとばせば、隣国にも私の恐ろしさが伝わるり、私を恐れるモノが増えてくれます。
魔族の方々、いえ、アルフレット様のために、極悪非道な魔人間カチュアの名をこの世界に広げてみせます。
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