14 / 82
第一章
第14話:冒険者レベルと買取
しおりを挟む
「戻った」
俺の検分役を押し付けられたポルトスが、冒険者ギルドの受付に報告する。
一気に地下二十三階まで潜ってきた俺達は、帰りに一泊しただけで、出発した翌日に戻ってきたのだ。
「え、随分と早いお帰りなのですね。
マスターが期待の新人だと言われていたので、五日は潜って来られると思っていたのですが、残念です」
受付嬢が、悪気もなく俺の試験が失敗したような事を言う。
まあ、確かに、普通のソロ冒険者が、金級になるだけのドロップを集めようと思ったら、往復五日はかかるだろう。
「白金級だ」
「え?!」
「白金級だと言っている」
「あの、冗談ですよね?!」
「マスターだ」
「はい!」
言葉の意味を察してくれない受付嬢に苛立ったのだろう。
ポルトスの表情が厳しくなった途端、受付嬢が真っ青な顔をして走りだした。
「女子供は家に帰してもいいのではないか?」
「だめだ」
俺の提案をポルトスが即座に否定する。
「ショウ様、普通の新人冒険者検分なら、ポルトス様おひとりの証言で十分なのですが、今回は非常識過ぎますので、私達も証言させられるかもしれません」
「そうか、悪いな」
「いいえ、あのような美味しい食事を毎回食べさせていただいたのです。
どれも生まれて初めての味ばかりでした。
通常でも多いポルトス様の日当に加えて、ご祝儀までいただきました。
嘘をつけというのならともかく、本当の事をお話しするだけです。
ショウ様に謝っていただく事などありません」
ここまで言ってもらえると、少々罪悪感を感じてしまう。
俺がご祝儀を渡したのは、高位の冒険者レベルが正式に決まった時に、新たに女子供を集めてご祝儀を配るのが面倒だったからだ。
ネットスーパーの買取機能を試しているうちに、ドロップをこの世界のセントで買い取ってもらえるうえに、セント貨幣で引き出せたのだ。
はっきり言って、無理にギルドに加盟している意味もない。
だから女子供を雇う必要もない。
功徳を積むだけなら、他に幾らでも方法がある。
「そうか、それでも、ありがとう」
金級のポルトスが新人検分をやるのは異例の事なのだろう。
まして予定より早くも戻って来たのに、白金級だと口にしたのだ。
受付とのやり取りが聞こえたギルド職員と、受付近くにいた冒険者達が、そのわずかな時間に興味と不信の表情を向けてきた。
「こんなに早く戻って来て白金級だと?」
ギルドマスターが小走りにやってきていきなりポルトスに話しかけた。
俺に話しかけてきたわけではないので、ポルトスに任せる。
「そうだ」
「証拠のドロップはあるのだな?」
「ある」
「ポルトスが手助けしたのではないのだな?」
「無理だ」
「そう、だな、ポルトスでも白金級の魔獣は倒せなかったな。
念ためにもう一度確認するが、証拠のドロップがあるのだな?」
「ある」
「手助けしていないのだな」
「いない。
従魔だ」
「ああ?
ああ、それは大丈夫だ、従魔はテイマーの一部だからな。
そうか、九尾の大山猫魈が従魔だったな!」
「そうだ」
「だとしたら、俺だけで冒険者レベルの認定をしない方が良いな。
今ギルドいる幹部は同席させるとして、冒険者の中には文句を言う奴もいるだろうから、おい、おまえら、新人冒険者認定に付き合え!」
ギルドマスターも大変だ。
いきなり高レベルになった新人に、難癖をつける冒険者がいるのだろう。
そんな連中を少しでも抑える為に、ポルトス以外の冒険者も同席させるのだな。
「荷役は、ドロップを持って来てくれ。
あ、いや、慌てていたな、先にドロップを確認させろ」
「マスター、女子供が持っているのはポルトスのドロップだ。
俺のドロップはアイテムボックスにある」
俺はそう言って灰魔熊のドロップ肉塊を取り出してみせた。
このギルドでは、灰魔熊以下のドロップしか取り扱った事がないと、荷役の女に教えてもらったからだ。
「……お前、アイテムボックス持ちだったのか?!」
「ああ、アイテムボックス持ちだと狙われる危険があったのでな」
「……そういう都市や国があったのか?」
「ああ、個々のアイテムボックス持ちが優遇されていると聞いたので、隠さずに活用する事にした」
「だったら証人の荷役は二人でいい。
お前とお前、最後まで付き合え。
他の者は家に帰って休め」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあ全員会議室について来い」
「待ってくれ」
「なんだ、これ以上何がある」
「アイテムボックスがあるんだ、ドロップが千個以上ある。
それを全部会議室で出すのか?
念のために各レベルの昇級に必要な素材前部を持ち帰っている」
「……おまえ、どれだけ魔力がある?!」
「九尾の大山猫魈を従魔にできるくらいだが、それくらい想像できるだろう?」
「……そうか、そうだな……余計な争いはできるだけ避けた方が良いか……」
「断っておくが、難癖をつけてきた奴は、サクラの餌になるぞ。
俺が止める前にサクラが喰い殺すが、それでギルドの収入が減っても、俺は責任を取らないし、住み心地の悪い都市に長居はしないぞ」
「分かった、解体場で検分をする。
今回狩った魔獣のドロップ全てを出してもらう。
どうせ四割は税金として納めてもらうからな」
俺達はマスターを先頭に解体場に行った。
ダンジョンは肉塊しかドロップしないが、魔境にはダンジョンに出る猛獣や魔獣と同じモノが住んでいるのだ。
そんな猛獣や魔獣を狩ったら、解体する場所が必要になる。
今回狩った魔獣の最大は四トンくらいあった。
いや、ダンジョンで狩れる最強最大は千キロの灰魔熊だったな。
同じ灰魔熊を魔境で狩れるとしても、解体場は日本の屠畜場と同じ規模か?
そんな事を考えながらマスターの後をついて行くと、途中で何人かの職員が合流してきた。
服装と態度から、ギルド幹部だと分かる。
興味本位の視線を送ってくる奴と、敵意の視線を送ってくる奴がいる。
「全員そろったようだな。
ショウ、ドロップを全部出してくれ」
俺は言われた通り全部出したりしない。
帰りの食事で美味しい事を確かめた、灰魔熊肉、茶魔熊肉、赤魔熊肉は、日本でも熊鍋を何度か食べた事が有るので、自分用に幾つか確保しておく。
灰魔蛇肉は、試食していないから美味しいかどうか分からない。
日本にいた時も蛇肉は食べた事がない。
食べたいような食べたくないような、微妙な気持ちなのだが、全部ギルドや領主に渡すのも嫌なので、昇級に必要な量以外は確保しておく。
まあ、他にも出せないドロップが結構あったりする。
ポルトスの入った事のない階層は何が有るか分からない。
とんでもない罠が仕掛けられていたり、百とか千の魔獣が一斉に襲ってくるような、最終階層の可能性もあるのだ。
だから、女子供は地下十八階から地下十九階の階段で待っていてもらった。
ポルトスには、女子供を守る為に階段に残ってもらった。
つまり、俺が地下何階まで潜って、どれだけのドロップを手に入れたのか、本当の事は誰も知らないのだ。
「分かった、これで全部だ」
俺は自分が食べたい肉とサクラが食べたがった肉以外を出した。
これに加えて、隠しておきたい肉は出さなかった。
「なんだと?!」
「嘘だろ?!」
「なんでこんなに収納できるんだ?!」
「マスター、この男をギルド職員にスカウトしましょう!」
俺がギルドに提出したドロップは、非常識に多かったようだ。
「これが本当に茶魔熊のドロップなのか?」
「誰も見た事がないのだ、分かるはずないだろう?!」
「だがこの大きさだぞ、元の魔獣の大きさから言って茶魔熊に決まっている」
「茶魔熊はまだいい、他のドロップをどう判断する?
こいつの言う事を鵜呑みにして、白金級だと認めるのか?」
「ガタガタと愚かな事を言うな!」
喧々諤々と言い争うギルド幹部をマスターが一喝した。
「お前らがやるべき事は、目の前にある現実を正しく認める事だけだ!
推測や憶測などいらん!
お前らの私利私欲で、ショウが都市から出て行ったら、お前ら全員死刑だぞ!」
マスターの言う意味が理解できたのだろう。
幹部全員が真っ青な顔になっている。
この世界の、いや、少なくともこの国のギルドは領主の支配下にある。
領主の大きな収入源なのだ。
俺のような大金を稼いでくれる冒険者は、高待遇で囲い込まなければいけない。
それが分かっていない幹部がいる時点で、ギルドの質が低いと分かる。
いや、知っていて俺を追い出そうとしているのかもしれない。
その場合は、領主にこれ以上力を持たせたくない奴がいると言う事だ。
「さて、ショウ。
これだけのドロップを稼いでくれたのだから、それに相応しいレベルに認定するのが当然なのだが、幾つか難癖をつけられかねない点がある」
「ポルトスが協力していた可能性がある事。
アイテムボックスを悪用して、よそで買ったドロップを持ち込んだ事ですか?」
「そうだ、その疑念を晴らしてもらうためには、もう一度、今度はソロで潜ってもらう必要がある」
「いいですよ、ですが、流石に木片級のまま潜れと言われるのは腹が立ちます。
これでは最初の試験を何のためにやったのか分かりません。
次の試験が終わっても難癖をつけられるかもしれない。
それくらいなら、ポルトスから聞いた他のギルドに行った方が良い」
「分かっている、ここで何の階級も与えないのは、ポルトスの事まで信じず馬鹿にした事になる。
ショウとポルトスの二人を同時に失うような事があれば、ギルド職員全員が処刑される事だろう」
「「「ヒィイイイイ」」」
気の弱い幹部三人が悲鳴を上げた。
こんな度胸のない奴がよくギルドの幹部をやっていられるな。
「それで、どうしてくれるんだ?」
「よそから買い取って来て売った可能性だが、貴重な肉を持って来てくれるのなら何の問題もない。
そもそも、ダンジョンのドロップや魔境の獲物は、四割を税に納めるんだ。
それで利益をあげられるようなら、ショウだけでなく領主様も大儲けだ」
マスターの言葉を聞いて、ようやく理解できた馬鹿な幹部がいた。
武力担当の幹部なのだろうか?
ギルド幹部なら、武力と金勘定の両方できなくてどうする!
「ポルトスと協力した疑いも、何の問題もない。
パーティーで白金級に認定すればいいだけだ。
ショウ個人も、パーティーで白金級なのだから、金級にすればいいだけだ。
文句のある奴はいるか?!」
「ありません」
「個人金級、パーティー白金級で問題ないと思います」
「これで家も白金級冒険者が生まれましたね!」
「他のギルドにも大きな顔ができます」
「ちょっと待ってください。
正式な白金級にするのは流石に早すぎるのではありませんか?
今日は仮認定にしておいて、領主様のご許可を受けてから正式認定しませんか?」
俺の事が気に食わないのか?
それとも、マスターにライバル心を持っているのか?
或いは、領主に力を持たせたくない奴の手先か?
「領主様にご報告してからの正式認定というのは理解できる。
流石に白金級の認定だと、王侯貴族の証明が必要になってくるからな。
パーティー白金級は仮認定、個人金級はギルド会議の多数決で認定。
これで文句ないな?!」
「「「「「はい!」」」」」
色々と思う所はあるが、閻魔大王がここで学ぶことがあるとメールを寄こしているので、もうしばらくは我慢してやる事にした。
ドロップは、ほとんど全て、買い取り相場通りに買いとられたのだが、茶魔熊、赤魔熊、灰魔蛇はここ最近市場に出た事がないらしい。
遥か昔に作られた相場で買い取っても、利益の上がる値段で売れるとは限らないので、しばらくは俺がアイテムボックスで保管する事になった。
灰牙兎:87個:36個税金、51個本人
灰角兎:61個:24個税金、37個本人
灰牙鼠:60個:24個税金、1個本人、35個÷5×3セント=21セント
赤角兎:63個:26個税金、37個×2セント=74セント
赤牙兎:62個:25個税金、37個×2セント=74セント
灰角鼠:55個:22個税金、33個×10セント=330セント
赤牙鼠:56個:23個税金、33個×21セント=693セント
赤角鼠:54個:22個税金、32個×60セント=1920セント
灰魔兎:53個:22個税金、31個×60セント=1860セント
灰魔鼠:159個:64個税金、95個×90セント=8550セント
灰魔狗:218個:88個税金、130個×120セント=1万5600セント
灰魔虎:21個:9個税金、12個×1800セント=2万1600セント
灰魔猪:227個:91個税金、136個×9000セント=122万4000
灰魔鹿:231個:93個税金、138個×4万5000セント=621万セント
灰魔熊:24個:10個税金、14個×15万セント=210万セント
茶魔熊:22個:保留審査中
赤魔熊:21個:保留審査中
灰魔蛇:23個:保留審査中
茶魔蛇:24個:隠匿
赤魔蛇:23個:隠匿
合計958万6243セント(9億5862万4300円)
もう何もしなくてもいいくらい稼げてしまった……
それは良いのだが、ここの領主は強欲なのか?
それとも、これがこの世界の常識なのか?
本当に税金を四公六民にするのなら、ドロップ全部買い取ってから、一セント単位までキッチリと四割計算して税金を取れよ!
最初にドロップの数で税を取るのに、端数を切り上げるな!
灰魔熊だけでも、6万セントも余分に税金採られているぞ!
ここの領主は徳川家康か!
★★★★★★
ここから下は、設定の好きな方以外は読まなくても大丈夫です。
『ダンジョンに出る魔物と買取価格』
「木片級冒険者に相当する獣」
灰牙兎:4kg :80セント:鋭い歯で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは100g程度の肉塊
:100g0・25セントで0・25セン
:ダンジョンの地下1階と2階
灰角兎:3kg :60セント:鋭い1本角で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは100g程度の肉塊
:100g0・25セントで0・25セン
:ダンジョンの地下1階と2階
「鉄片級冒険者に相当する獣」
灰牙鼠:10kg :200セント
:ダンジョンでのドロップは200g程度の肉塊
:100g30セントで0・6セント
:ダンジョンの地下3階と4階
赤角兎:30kg :600セント:鋭い1本角で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは500g程度の肉塊
:100g0・4セントで2セント
:ダンジョンの地下5階と6階
赤牙兎:40kg :800セント:鋭い歯で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは500g程度の肉塊
:100g0・4セントで2セント
:ダンジョンの地下5階と6階
灰角鼠:70kg :1400セント
:ダンジョンでのドロップは2kg程度の肉塊
:100g0・5セントで10セント
:ダンジョンの地下7階
赤牙鼠:100kg :2000セント
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:100g0・7セントで21セント
:ダンジョンの地下8階
赤角鼠:200kg :4000セント
:ダンジョンでのドロップは6kg程度の肉塊
:100g1セントで60セント
:ダンジョンの地下9階と10階
「銅片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔兎:100kg :2万セント(単独行動をするが、素早く飛び跳ねて攻撃)
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:100g2セントで60セント
:ダンジョンの地下11階
灰魔鼠:100kg :2万セント(十頭前後の群れを作る)
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:豚もも肉と鶏胸肉の中間のような味わい。
:100g3セントで90セント
:ダンジョンの地下12階
灰魔狗:100kg :2万セント(二十頭以上の群れを作り集団で襲って来る)
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:100g4セントで120セント
:ダンジョンの地下13階
「銀片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔豹:200kg :2万セント
:ダンジョンでのドロップは6kg程度の肉塊
:100g10セントで600セント
:ダンジョンの地下14階・単独
灰魔虎:300kg :3万セント
:ダンジョンでのドロップは9kg程度の肉塊
:100g20セントで1800セント
:ダンジョンの地下15階・単独
灰魔猪:600kg :12万セント
:ダンジョンでのドロップは18kg程度の肉塊
:100g50セントで9000セント
:ダンジョンの地下16階・10頭前後の群れ
灰魔鹿:1000kg:20万セント
:ダンジョンでのドロップは30kg程度の肉塊
:100g150セントで4万5000セント
:ダンジョンの地下17階・10頭前後の群れ
「一流と言われる金片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔熊:1000kg:40万セント(グレイデビルベアー)
:ダンジョンでのドロップは30kg程度の肉塊
:100g500セントで15万セント
:ダンジョンの地下18階・単独
茶魔熊:2000kg:150万セント(ブラウンデビルベアー)
:ダンジョンでのドロップは60kg程度の肉塊
:100g1000セントで60万セント
:ダンジョンの地下19階・単独
赤魔熊:4トン :800万セント(レッドデビルベアー)
:ダンジョンでのドロップは120kg程度の肉塊
:100g2000セントで240万セント
:ダンジョンの地下20階・単独
「超一流と言われる白金片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔蛇:1・5トン :800万セント(グレイデビルスネーク)
:ダンジョンでのドロップは45kg程度の肉塊
:100g4000セントで180万セント
:ダンジョンの地下21階・単独
茶魔蛇:3トン :3200万セント(ブラウンデビルスネーク)
:ダンジョンでのドロップは90kg程度の肉塊
:100g8000セントで720万セント
:ダンジョンの地下22階・単独
赤魔蛇:6トン :1億1000万セント(レッドデビルスネーク)
:ダンジョンでのドロップは180kg程度の肉塊
:100g1万6000セントで2880万セント
:ダンジョンの地下22階・単独
俺の検分役を押し付けられたポルトスが、冒険者ギルドの受付に報告する。
一気に地下二十三階まで潜ってきた俺達は、帰りに一泊しただけで、出発した翌日に戻ってきたのだ。
「え、随分と早いお帰りなのですね。
マスターが期待の新人だと言われていたので、五日は潜って来られると思っていたのですが、残念です」
受付嬢が、悪気もなく俺の試験が失敗したような事を言う。
まあ、確かに、普通のソロ冒険者が、金級になるだけのドロップを集めようと思ったら、往復五日はかかるだろう。
「白金級だ」
「え?!」
「白金級だと言っている」
「あの、冗談ですよね?!」
「マスターだ」
「はい!」
言葉の意味を察してくれない受付嬢に苛立ったのだろう。
ポルトスの表情が厳しくなった途端、受付嬢が真っ青な顔をして走りだした。
「女子供は家に帰してもいいのではないか?」
「だめだ」
俺の提案をポルトスが即座に否定する。
「ショウ様、普通の新人冒険者検分なら、ポルトス様おひとりの証言で十分なのですが、今回は非常識過ぎますので、私達も証言させられるかもしれません」
「そうか、悪いな」
「いいえ、あのような美味しい食事を毎回食べさせていただいたのです。
どれも生まれて初めての味ばかりでした。
通常でも多いポルトス様の日当に加えて、ご祝儀までいただきました。
嘘をつけというのならともかく、本当の事をお話しするだけです。
ショウ様に謝っていただく事などありません」
ここまで言ってもらえると、少々罪悪感を感じてしまう。
俺がご祝儀を渡したのは、高位の冒険者レベルが正式に決まった時に、新たに女子供を集めてご祝儀を配るのが面倒だったからだ。
ネットスーパーの買取機能を試しているうちに、ドロップをこの世界のセントで買い取ってもらえるうえに、セント貨幣で引き出せたのだ。
はっきり言って、無理にギルドに加盟している意味もない。
だから女子供を雇う必要もない。
功徳を積むだけなら、他に幾らでも方法がある。
「そうか、それでも、ありがとう」
金級のポルトスが新人検分をやるのは異例の事なのだろう。
まして予定より早くも戻って来たのに、白金級だと口にしたのだ。
受付とのやり取りが聞こえたギルド職員と、受付近くにいた冒険者達が、そのわずかな時間に興味と不信の表情を向けてきた。
「こんなに早く戻って来て白金級だと?」
ギルドマスターが小走りにやってきていきなりポルトスに話しかけた。
俺に話しかけてきたわけではないので、ポルトスに任せる。
「そうだ」
「証拠のドロップはあるのだな?」
「ある」
「ポルトスが手助けしたのではないのだな?」
「無理だ」
「そう、だな、ポルトスでも白金級の魔獣は倒せなかったな。
念ためにもう一度確認するが、証拠のドロップがあるのだな?」
「ある」
「手助けしていないのだな」
「いない。
従魔だ」
「ああ?
ああ、それは大丈夫だ、従魔はテイマーの一部だからな。
そうか、九尾の大山猫魈が従魔だったな!」
「そうだ」
「だとしたら、俺だけで冒険者レベルの認定をしない方が良いな。
今ギルドいる幹部は同席させるとして、冒険者の中には文句を言う奴もいるだろうから、おい、おまえら、新人冒険者認定に付き合え!」
ギルドマスターも大変だ。
いきなり高レベルになった新人に、難癖をつける冒険者がいるのだろう。
そんな連中を少しでも抑える為に、ポルトス以外の冒険者も同席させるのだな。
「荷役は、ドロップを持って来てくれ。
あ、いや、慌てていたな、先にドロップを確認させろ」
「マスター、女子供が持っているのはポルトスのドロップだ。
俺のドロップはアイテムボックスにある」
俺はそう言って灰魔熊のドロップ肉塊を取り出してみせた。
このギルドでは、灰魔熊以下のドロップしか取り扱った事がないと、荷役の女に教えてもらったからだ。
「……お前、アイテムボックス持ちだったのか?!」
「ああ、アイテムボックス持ちだと狙われる危険があったのでな」
「……そういう都市や国があったのか?」
「ああ、個々のアイテムボックス持ちが優遇されていると聞いたので、隠さずに活用する事にした」
「だったら証人の荷役は二人でいい。
お前とお前、最後まで付き合え。
他の者は家に帰って休め」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあ全員会議室について来い」
「待ってくれ」
「なんだ、これ以上何がある」
「アイテムボックスがあるんだ、ドロップが千個以上ある。
それを全部会議室で出すのか?
念のために各レベルの昇級に必要な素材前部を持ち帰っている」
「……おまえ、どれだけ魔力がある?!」
「九尾の大山猫魈を従魔にできるくらいだが、それくらい想像できるだろう?」
「……そうか、そうだな……余計な争いはできるだけ避けた方が良いか……」
「断っておくが、難癖をつけてきた奴は、サクラの餌になるぞ。
俺が止める前にサクラが喰い殺すが、それでギルドの収入が減っても、俺は責任を取らないし、住み心地の悪い都市に長居はしないぞ」
「分かった、解体場で検分をする。
今回狩った魔獣のドロップ全てを出してもらう。
どうせ四割は税金として納めてもらうからな」
俺達はマスターを先頭に解体場に行った。
ダンジョンは肉塊しかドロップしないが、魔境にはダンジョンに出る猛獣や魔獣と同じモノが住んでいるのだ。
そんな猛獣や魔獣を狩ったら、解体する場所が必要になる。
今回狩った魔獣の最大は四トンくらいあった。
いや、ダンジョンで狩れる最強最大は千キロの灰魔熊だったな。
同じ灰魔熊を魔境で狩れるとしても、解体場は日本の屠畜場と同じ規模か?
そんな事を考えながらマスターの後をついて行くと、途中で何人かの職員が合流してきた。
服装と態度から、ギルド幹部だと分かる。
興味本位の視線を送ってくる奴と、敵意の視線を送ってくる奴がいる。
「全員そろったようだな。
ショウ、ドロップを全部出してくれ」
俺は言われた通り全部出したりしない。
帰りの食事で美味しい事を確かめた、灰魔熊肉、茶魔熊肉、赤魔熊肉は、日本でも熊鍋を何度か食べた事が有るので、自分用に幾つか確保しておく。
灰魔蛇肉は、試食していないから美味しいかどうか分からない。
日本にいた時も蛇肉は食べた事がない。
食べたいような食べたくないような、微妙な気持ちなのだが、全部ギルドや領主に渡すのも嫌なので、昇級に必要な量以外は確保しておく。
まあ、他にも出せないドロップが結構あったりする。
ポルトスの入った事のない階層は何が有るか分からない。
とんでもない罠が仕掛けられていたり、百とか千の魔獣が一斉に襲ってくるような、最終階層の可能性もあるのだ。
だから、女子供は地下十八階から地下十九階の階段で待っていてもらった。
ポルトスには、女子供を守る為に階段に残ってもらった。
つまり、俺が地下何階まで潜って、どれだけのドロップを手に入れたのか、本当の事は誰も知らないのだ。
「分かった、これで全部だ」
俺は自分が食べたい肉とサクラが食べたがった肉以外を出した。
これに加えて、隠しておきたい肉は出さなかった。
「なんだと?!」
「嘘だろ?!」
「なんでこんなに収納できるんだ?!」
「マスター、この男をギルド職員にスカウトしましょう!」
俺がギルドに提出したドロップは、非常識に多かったようだ。
「これが本当に茶魔熊のドロップなのか?」
「誰も見た事がないのだ、分かるはずないだろう?!」
「だがこの大きさだぞ、元の魔獣の大きさから言って茶魔熊に決まっている」
「茶魔熊はまだいい、他のドロップをどう判断する?
こいつの言う事を鵜呑みにして、白金級だと認めるのか?」
「ガタガタと愚かな事を言うな!」
喧々諤々と言い争うギルド幹部をマスターが一喝した。
「お前らがやるべき事は、目の前にある現実を正しく認める事だけだ!
推測や憶測などいらん!
お前らの私利私欲で、ショウが都市から出て行ったら、お前ら全員死刑だぞ!」
マスターの言う意味が理解できたのだろう。
幹部全員が真っ青な顔になっている。
この世界の、いや、少なくともこの国のギルドは領主の支配下にある。
領主の大きな収入源なのだ。
俺のような大金を稼いでくれる冒険者は、高待遇で囲い込まなければいけない。
それが分かっていない幹部がいる時点で、ギルドの質が低いと分かる。
いや、知っていて俺を追い出そうとしているのかもしれない。
その場合は、領主にこれ以上力を持たせたくない奴がいると言う事だ。
「さて、ショウ。
これだけのドロップを稼いでくれたのだから、それに相応しいレベルに認定するのが当然なのだが、幾つか難癖をつけられかねない点がある」
「ポルトスが協力していた可能性がある事。
アイテムボックスを悪用して、よそで買ったドロップを持ち込んだ事ですか?」
「そうだ、その疑念を晴らしてもらうためには、もう一度、今度はソロで潜ってもらう必要がある」
「いいですよ、ですが、流石に木片級のまま潜れと言われるのは腹が立ちます。
これでは最初の試験を何のためにやったのか分かりません。
次の試験が終わっても難癖をつけられるかもしれない。
それくらいなら、ポルトスから聞いた他のギルドに行った方が良い」
「分かっている、ここで何の階級も与えないのは、ポルトスの事まで信じず馬鹿にした事になる。
ショウとポルトスの二人を同時に失うような事があれば、ギルド職員全員が処刑される事だろう」
「「「ヒィイイイイ」」」
気の弱い幹部三人が悲鳴を上げた。
こんな度胸のない奴がよくギルドの幹部をやっていられるな。
「それで、どうしてくれるんだ?」
「よそから買い取って来て売った可能性だが、貴重な肉を持って来てくれるのなら何の問題もない。
そもそも、ダンジョンのドロップや魔境の獲物は、四割を税に納めるんだ。
それで利益をあげられるようなら、ショウだけでなく領主様も大儲けだ」
マスターの言葉を聞いて、ようやく理解できた馬鹿な幹部がいた。
武力担当の幹部なのだろうか?
ギルド幹部なら、武力と金勘定の両方できなくてどうする!
「ポルトスと協力した疑いも、何の問題もない。
パーティーで白金級に認定すればいいだけだ。
ショウ個人も、パーティーで白金級なのだから、金級にすればいいだけだ。
文句のある奴はいるか?!」
「ありません」
「個人金級、パーティー白金級で問題ないと思います」
「これで家も白金級冒険者が生まれましたね!」
「他のギルドにも大きな顔ができます」
「ちょっと待ってください。
正式な白金級にするのは流石に早すぎるのではありませんか?
今日は仮認定にしておいて、領主様のご許可を受けてから正式認定しませんか?」
俺の事が気に食わないのか?
それとも、マスターにライバル心を持っているのか?
或いは、領主に力を持たせたくない奴の手先か?
「領主様にご報告してからの正式認定というのは理解できる。
流石に白金級の認定だと、王侯貴族の証明が必要になってくるからな。
パーティー白金級は仮認定、個人金級はギルド会議の多数決で認定。
これで文句ないな?!」
「「「「「はい!」」」」」
色々と思う所はあるが、閻魔大王がここで学ぶことがあるとメールを寄こしているので、もうしばらくは我慢してやる事にした。
ドロップは、ほとんど全て、買い取り相場通りに買いとられたのだが、茶魔熊、赤魔熊、灰魔蛇はここ最近市場に出た事がないらしい。
遥か昔に作られた相場で買い取っても、利益の上がる値段で売れるとは限らないので、しばらくは俺がアイテムボックスで保管する事になった。
灰牙兎:87個:36個税金、51個本人
灰角兎:61個:24個税金、37個本人
灰牙鼠:60個:24個税金、1個本人、35個÷5×3セント=21セント
赤角兎:63個:26個税金、37個×2セント=74セント
赤牙兎:62個:25個税金、37個×2セント=74セント
灰角鼠:55個:22個税金、33個×10セント=330セント
赤牙鼠:56個:23個税金、33個×21セント=693セント
赤角鼠:54個:22個税金、32個×60セント=1920セント
灰魔兎:53個:22個税金、31個×60セント=1860セント
灰魔鼠:159個:64個税金、95個×90セント=8550セント
灰魔狗:218個:88個税金、130個×120セント=1万5600セント
灰魔虎:21個:9個税金、12個×1800セント=2万1600セント
灰魔猪:227個:91個税金、136個×9000セント=122万4000
灰魔鹿:231個:93個税金、138個×4万5000セント=621万セント
灰魔熊:24個:10個税金、14個×15万セント=210万セント
茶魔熊:22個:保留審査中
赤魔熊:21個:保留審査中
灰魔蛇:23個:保留審査中
茶魔蛇:24個:隠匿
赤魔蛇:23個:隠匿
合計958万6243セント(9億5862万4300円)
もう何もしなくてもいいくらい稼げてしまった……
それは良いのだが、ここの領主は強欲なのか?
それとも、これがこの世界の常識なのか?
本当に税金を四公六民にするのなら、ドロップ全部買い取ってから、一セント単位までキッチリと四割計算して税金を取れよ!
最初にドロップの数で税を取るのに、端数を切り上げるな!
灰魔熊だけでも、6万セントも余分に税金採られているぞ!
ここの領主は徳川家康か!
★★★★★★
ここから下は、設定の好きな方以外は読まなくても大丈夫です。
『ダンジョンに出る魔物と買取価格』
「木片級冒険者に相当する獣」
灰牙兎:4kg :80セント:鋭い歯で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは100g程度の肉塊
:100g0・25セントで0・25セン
:ダンジョンの地下1階と2階
灰角兎:3kg :60セント:鋭い1本角で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは100g程度の肉塊
:100g0・25セントで0・25セン
:ダンジョンの地下1階と2階
「鉄片級冒険者に相当する獣」
灰牙鼠:10kg :200セント
:ダンジョンでのドロップは200g程度の肉塊
:100g30セントで0・6セント
:ダンジョンの地下3階と4階
赤角兎:30kg :600セント:鋭い1本角で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは500g程度の肉塊
:100g0・4セントで2セント
:ダンジョンの地下5階と6階
赤牙兎:40kg :800セント:鋭い歯で敵を襲う雑食の兎
:ダンジョンでのドロップは500g程度の肉塊
:100g0・4セントで2セント
:ダンジョンの地下5階と6階
灰角鼠:70kg :1400セント
:ダンジョンでのドロップは2kg程度の肉塊
:100g0・5セントで10セント
:ダンジョンの地下7階
赤牙鼠:100kg :2000セント
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:100g0・7セントで21セント
:ダンジョンの地下8階
赤角鼠:200kg :4000セント
:ダンジョンでのドロップは6kg程度の肉塊
:100g1セントで60セント
:ダンジョンの地下9階と10階
「銅片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔兎:100kg :2万セント(単独行動をするが、素早く飛び跳ねて攻撃)
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:100g2セントで60セント
:ダンジョンの地下11階
灰魔鼠:100kg :2万セント(十頭前後の群れを作る)
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:豚もも肉と鶏胸肉の中間のような味わい。
:100g3セントで90セント
:ダンジョンの地下12階
灰魔狗:100kg :2万セント(二十頭以上の群れを作り集団で襲って来る)
:ダンジョンでのドロップは3kg程度の肉塊
:100g4セントで120セント
:ダンジョンの地下13階
「銀片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔豹:200kg :2万セント
:ダンジョンでのドロップは6kg程度の肉塊
:100g10セントで600セント
:ダンジョンの地下14階・単独
灰魔虎:300kg :3万セント
:ダンジョンでのドロップは9kg程度の肉塊
:100g20セントで1800セント
:ダンジョンの地下15階・単独
灰魔猪:600kg :12万セント
:ダンジョンでのドロップは18kg程度の肉塊
:100g50セントで9000セント
:ダンジョンの地下16階・10頭前後の群れ
灰魔鹿:1000kg:20万セント
:ダンジョンでのドロップは30kg程度の肉塊
:100g150セントで4万5000セント
:ダンジョンの地下17階・10頭前後の群れ
「一流と言われる金片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔熊:1000kg:40万セント(グレイデビルベアー)
:ダンジョンでのドロップは30kg程度の肉塊
:100g500セントで15万セント
:ダンジョンの地下18階・単独
茶魔熊:2000kg:150万セント(ブラウンデビルベアー)
:ダンジョンでのドロップは60kg程度の肉塊
:100g1000セントで60万セント
:ダンジョンの地下19階・単独
赤魔熊:4トン :800万セント(レッドデビルベアー)
:ダンジョンでのドロップは120kg程度の肉塊
:100g2000セントで240万セント
:ダンジョンの地下20階・単独
「超一流と言われる白金片級冒険者に相当する魔獣」
灰魔蛇:1・5トン :800万セント(グレイデビルスネーク)
:ダンジョンでのドロップは45kg程度の肉塊
:100g4000セントで180万セント
:ダンジョンの地下21階・単独
茶魔蛇:3トン :3200万セント(ブラウンデビルスネーク)
:ダンジョンでのドロップは90kg程度の肉塊
:100g8000セントで720万セント
:ダンジョンの地下22階・単独
赤魔蛇:6トン :1億1000万セント(レッドデビルスネーク)
:ダンジョンでのドロップは180kg程度の肉塊
:100g1万6000セントで2880万セント
:ダンジョンの地下22階・単独
44
お気に入りに追加
1,279
あなたにおすすめの小説
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる