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第一章
第39話:聖女対決2
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「もう大丈夫ですよ、もう誰も餓えさせたりしません。
私はこれでも聖女候補です。
私にできる限りの助力を惜しみません。
だから貴方達も諦めずに頑張ってください」
ソフィアは幸せだった。
餓えに苦しむ村人に食料を配る事ができる。
やっと聖女候補らしい事ができるのだ。
今までのように何の役にも立たない、いてもいなくてもいい人間ではなく、誰かの役に立てる人間に、聖女候補に成れたのだ。
「はい、真聖女様」
「まだですよ、私はまだ聖女候補でしかありませんよ」
塩田村の人達や塩田村近郊の人達はみなソフィアを崇めていた。
王家がこの危機的状況にもかかわらず民から略奪する事しか考えていないのに、ソフィアは逆に民に食料を配ってくれている。
ソフィアこそ本当の聖女だと崇めて当然の状況になっていた。
だからこそ進んで塩を作って納めようとしていたのだが、チビちゃんが塩田を掘り返してしまうので塩づくりができない状態になっていた。
「塩田をあのような状態にして申し訳ない。
だが奥地の町や村では塩が不足しているのだ。
村の者達に塩を作ってもらう時間がないのだ。
だから直ぐに塩が作れる従魔に任せる事になった。
この危機的状況が終わったら、塩田は村に返す。
その時まで塩田は我らが使わせてもらう。
その代わりと言ってはなんだが、真聖女様が届けた魔獣や魔蟲の素材を使って武器や防具を作ってくれ」
「「「「「はい」」」」」
人々の目は希望に輝いていた。
魔獣や魔蟲が溢れた危機的な状況だが、真聖女様が現れてくれた。
従魔も王家が送り込んできた強力がグリフォンを一飲みにするくらい強い。
もう何の心配もいらないと思えるようになっていた。
「ただまた王家から乱暴な堕聖女が送られてくるかもしれない。
堕聖女が相手の時には逆らわずにあるだけ全て王家に納めればいい。
必ず真聖女様が食料を届けてくれる。
何よりも生き残る事を優先するのだ。
ただ相手が普通の兵士の時はぶちのめして追い返してやれ。
魔獣と魔蟲の素材から作った武器や防具があれば、人間の兵士など恐れるに足りない、簡単に撃退できるぞ」
「「「「「おおおおお」」」」」
村人達が一斉に気勢を上げた。
前回のグリフォンの聖女による脅迫がよほど腹立たしかったのだろう。
もう村人達には王家に対する敬意など欠片もなかった。
あるのは反感、いや、叛意と言ってもいいほどの感情だった。
「まあ、誰かと思えばトカゲ令嬢ではありませんか。
なんですか、貴女の乗っている魔獣は。
蛇ともトカゲとも言えない不細工な魔獣ですね。
まさかあの小さく弱々しかったトカゲが、それほど大きくなったとでも言うのですか、それはよかったですわね、少し早くの立つようになって。
ホォウホホホホホ」
私はこれでも聖女候補です。
私にできる限りの助力を惜しみません。
だから貴方達も諦めずに頑張ってください」
ソフィアは幸せだった。
餓えに苦しむ村人に食料を配る事ができる。
やっと聖女候補らしい事ができるのだ。
今までのように何の役にも立たない、いてもいなくてもいい人間ではなく、誰かの役に立てる人間に、聖女候補に成れたのだ。
「はい、真聖女様」
「まだですよ、私はまだ聖女候補でしかありませんよ」
塩田村の人達や塩田村近郊の人達はみなソフィアを崇めていた。
王家がこの危機的状況にもかかわらず民から略奪する事しか考えていないのに、ソフィアは逆に民に食料を配ってくれている。
ソフィアこそ本当の聖女だと崇めて当然の状況になっていた。
だからこそ進んで塩を作って納めようとしていたのだが、チビちゃんが塩田を掘り返してしまうので塩づくりができない状態になっていた。
「塩田をあのような状態にして申し訳ない。
だが奥地の町や村では塩が不足しているのだ。
村の者達に塩を作ってもらう時間がないのだ。
だから直ぐに塩が作れる従魔に任せる事になった。
この危機的状況が終わったら、塩田は村に返す。
その時まで塩田は我らが使わせてもらう。
その代わりと言ってはなんだが、真聖女様が届けた魔獣や魔蟲の素材を使って武器や防具を作ってくれ」
「「「「「はい」」」」」
人々の目は希望に輝いていた。
魔獣や魔蟲が溢れた危機的な状況だが、真聖女様が現れてくれた。
従魔も王家が送り込んできた強力がグリフォンを一飲みにするくらい強い。
もう何の心配もいらないと思えるようになっていた。
「ただまた王家から乱暴な堕聖女が送られてくるかもしれない。
堕聖女が相手の時には逆らわずにあるだけ全て王家に納めればいい。
必ず真聖女様が食料を届けてくれる。
何よりも生き残る事を優先するのだ。
ただ相手が普通の兵士の時はぶちのめして追い返してやれ。
魔獣と魔蟲の素材から作った武器や防具があれば、人間の兵士など恐れるに足りない、簡単に撃退できるぞ」
「「「「「おおおおお」」」」」
村人達が一斉に気勢を上げた。
前回のグリフォンの聖女による脅迫がよほど腹立たしかったのだろう。
もう村人達には王家に対する敬意など欠片もなかった。
あるのは反感、いや、叛意と言ってもいいほどの感情だった。
「まあ、誰かと思えばトカゲ令嬢ではありませんか。
なんですか、貴女の乗っている魔獣は。
蛇ともトカゲとも言えない不細工な魔獣ですね。
まさかあの小さく弱々しかったトカゲが、それほど大きくなったとでも言うのですか、それはよかったですわね、少し早くの立つようになって。
ホォウホホホホホ」
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