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第一章
第16話:相談・公王フェデリコ視点
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「公王陛下、いえ、お父様。
わたくし、お義兄様を心から愛しています。
お義兄様の側近くで育ったわたくしには、他の男性など塵芥に見えてしまって、とても結婚する事などできません。
お義兄様と結婚するわけにはいかないのですか」
「そんな事はない、全く問題はない。
それどころか、エドアルドとマリアが結婚する方が、アウレリウス・ジェノバ公王家にとっても公王国にとっても最善だろう。
問題は、エドアルドがマリアや私を神聖視し過ぎている事と、自分の出自を卑下し過ぎている事だ」
「お父様が説得してくだされば、考えを変えてくださるのではありませんか」
「残念だが、エドアルドにはとても頑固なところがあるからな」
「では、お義兄様の献策通り、わたくしは、何処にいるのかも分からない男性と結婚しなければいけないのですか」
「いや、その心配だけはいらない。
エドアルドが探している、マリアに相応しい理想の婿など、この世界のどこを探してもいないからな」
「ですが、この世界はとても広いではありませんか。
それに、お義兄様は生まれや育ちを気になさる方ではありません。
王侯貴族の中に立派な方がいなくても、平民の中には将来性のある方がおられるのではありませんか」
「心配する事はない、マリア。
他の事なら生まれや育ちを気にしないエドアルドも、マリアの婿に関してだけは、異常なくらい厳しく選んでいる。
本当に生まれや育ちを気にしないのなら、自分が婿になると言い切っている」
「……その通りだと思います」
「先ほども言ったが、エドアルドはマリアと私を神聖視し過ぎている。
そして騎士として自分の能力を正確に理解している。
そんなエドアルドがマリアの婿を厳しく選ぶのだぞ、合格者などいるはずがない。
マリアは、この広い世界の中にはエドアルド以上に人間がいるかもしれないと言っていたが、マリアこそ何も分かっていない。
幼い頃からエドアルドが側にいたから常識がずれているのだ。
近隣諸国ばかりか、遠方の大国まで大将軍や筆頭騎士団長の座を空けて、三顧の礼で迎えようとしているような、智謀百出、一騎当千、忠誠無比な漢が何処にいる。
そんな者がいるのなら、とうの昔に余に出て名声を得ておる。
そんなエドアルドが、心から大切にしている義妹のために、自分以下の漢に合格を出すわけがないであろう、安心しろ、絶対に合格者は出て来ない」
「安心いたしました、お父様。
わたくしは、お義兄様の理想と期待を裏切らないように、立派な公太女になってみせます」
「そうだぞ、マリア。
お前こそエドアルドに相応しい淑女にならなければいけない。
既にお前はこの国では指折りの淑女ではあるが、ソニア賢婦人やグレタ嬢のような智謀があるわけではない。
エドアルドの理想とはかけ離れているが、上手く愛人を使って家を護っている貴婦人も、貴族夫人としては立派だと思う。
エドアルドの心を射止めたいのなら、今以上に気高い精神が必要になる。
気高い精神を現実に反映するためには、力と資金が必要になる。
私のやっている政務を、少しずつ引き継ぐようにしなさい。
なあに、今まで化粧領と王太子領でやってきた事をやればいい」
「はい、分かりました、公王陛下」
わたくし、お義兄様を心から愛しています。
お義兄様の側近くで育ったわたくしには、他の男性など塵芥に見えてしまって、とても結婚する事などできません。
お義兄様と結婚するわけにはいかないのですか」
「そんな事はない、全く問題はない。
それどころか、エドアルドとマリアが結婚する方が、アウレリウス・ジェノバ公王家にとっても公王国にとっても最善だろう。
問題は、エドアルドがマリアや私を神聖視し過ぎている事と、自分の出自を卑下し過ぎている事だ」
「お父様が説得してくだされば、考えを変えてくださるのではありませんか」
「残念だが、エドアルドにはとても頑固なところがあるからな」
「では、お義兄様の献策通り、わたくしは、何処にいるのかも分からない男性と結婚しなければいけないのですか」
「いや、その心配だけはいらない。
エドアルドが探している、マリアに相応しい理想の婿など、この世界のどこを探してもいないからな」
「ですが、この世界はとても広いではありませんか。
それに、お義兄様は生まれや育ちを気になさる方ではありません。
王侯貴族の中に立派な方がいなくても、平民の中には将来性のある方がおられるのではありませんか」
「心配する事はない、マリア。
他の事なら生まれや育ちを気にしないエドアルドも、マリアの婿に関してだけは、異常なくらい厳しく選んでいる。
本当に生まれや育ちを気にしないのなら、自分が婿になると言い切っている」
「……その通りだと思います」
「先ほども言ったが、エドアルドはマリアと私を神聖視し過ぎている。
そして騎士として自分の能力を正確に理解している。
そんなエドアルドがマリアの婿を厳しく選ぶのだぞ、合格者などいるはずがない。
マリアは、この広い世界の中にはエドアルド以上に人間がいるかもしれないと言っていたが、マリアこそ何も分かっていない。
幼い頃からエドアルドが側にいたから常識がずれているのだ。
近隣諸国ばかりか、遠方の大国まで大将軍や筆頭騎士団長の座を空けて、三顧の礼で迎えようとしているような、智謀百出、一騎当千、忠誠無比な漢が何処にいる。
そんな者がいるのなら、とうの昔に余に出て名声を得ておる。
そんなエドアルドが、心から大切にしている義妹のために、自分以下の漢に合格を出すわけがないであろう、安心しろ、絶対に合格者は出て来ない」
「安心いたしました、お父様。
わたくしは、お義兄様の理想と期待を裏切らないように、立派な公太女になってみせます」
「そうだぞ、マリア。
お前こそエドアルドに相応しい淑女にならなければいけない。
既にお前はこの国では指折りの淑女ではあるが、ソニア賢婦人やグレタ嬢のような智謀があるわけではない。
エドアルドの理想とはかけ離れているが、上手く愛人を使って家を護っている貴婦人も、貴族夫人としては立派だと思う。
エドアルドの心を射止めたいのなら、今以上に気高い精神が必要になる。
気高い精神を現実に反映するためには、力と資金が必要になる。
私のやっている政務を、少しずつ引き継ぐようにしなさい。
なあに、今まで化粧領と王太子領でやってきた事をやればいい」
「はい、分かりました、公王陛下」
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