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第一章
第12話:政略結婚・レベッカ王妃視点
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「国王陛下、我が国のためにも王太子の幽閉を解いてください。
このままでは全ての貴族士族が王家を離れて公爵家についてしまいます。
こうなっては王太子の妃を力ある国から迎えるしかありません。
その国に援軍を出してもらって公爵家を討伐するのです。
力ある国との婚姻が決まったら、貴族士族も王家に留まります、国王陛下」
私が何度献策しても、国王は冷たい目を向けるだけ。
その冷たさは、私が妾腹の王子達を殺した時以上です。
私やフラヴィオの事など全く何とも思っていない。
このままでは恐れていた通り、私とフラヴィオを殺すかもしれない。
殺される前に殺してしまいたいですが、今王を殺したら、私達を王殺しだと言ってフェデリコとエドアルドが攻めてくる。
「ふん、それで、援軍としてやってきた大国の軍に余を殺させるか。
フラヴィオ以外の余の子供を皆殺しにしたように」
「何の事でございましょうか、全く身に覚えがございません」
「ふん、今更言い逃れができると思うなよ、レベッカ。
余は馬鹿ではないし、王位争いの激しさ汚さを嫌というほど知っている。
殺された王子達や妾共が弱かった、それだけの事よ。
今回はお前とフラヴィオが愚かで弱かった、だから殺される、それだけの事よ」
「陛下は自分の血を分けた子供が王位を継げなくてもいいと言われるのですか」
「構わんよ、一向に構わん。
余が血を分けた子供に王位を継いでもらいたいと思っていたら、お前が余の子供を最初に殺した時に、お前とフラヴィオを殺して見せしめにしている。
別に余の子でなくても、ロマリオ家に血を継いでいればマシな方だ。
弱肉強食だと割り切れば、ロマリオ家の血を継いでいなくてもしかたがない。
アウレリウス・ジェノバ公爵家ならばロマリオ家の血を継いでいるから、他国の王家に乗っ取られるよりはマシよ」
「なんとお情けない事を申されるのですか。
弱肉強食だと申されるのでしたら、閣下が公爵家を討伐されればいいのです。
陛下が軍を率いられたら、公爵家等簡単に討伐できるではありませんか。
公爵家を討伐してから国内の貴族家からフラヴィオの妃を迎えれば、以前と同じに戻るではありませんか」
「心にも思っていない嘘を口にするな、この場で縊り殺したくなる。
普段は穏やかで怒る事などないフェデリコ公爵が、余の代わりに軍を率いて常勝だった事、お前も知っているだろう。
エドアルドが知勇兼備の名将だと言う事も知っているだろう。
二人を相手にしては、余独りでは分が悪い事くらいお前も知っている。
余を二人に殺させて、信望を地に落としたフラヴィオを王位につけようとしている事くらい、余はとっくに御見通しじゃ」
「そのような事は全く考えておりません。
ただ陛下の力を信じてご提案させていただいただけでございます」
「くっくくくくく、だったらお前の提案を、もっともこの国のためになるように変えて実行してやろうではないか。
強大な国の王女をフラヴィオの妃に迎えるよりは、この国が操れる程度の国の王妃を余の正室に迎えればいい。
そうすればそれなりの兵力と指揮官が手に入る。
いや、一番いい方法は、お前とフラヴィオを恥辱の刑に処して、マリア嬢を余の正妃に迎える事ではないか。
そうすればマリア嬢とアウレリウス・ジェノバ公爵家に与えた恥辱を詫びた事になり、王家と公爵家の絆を元に戻すことができる。
そうは思わないか、王妃」
このままでは全ての貴族士族が王家を離れて公爵家についてしまいます。
こうなっては王太子の妃を力ある国から迎えるしかありません。
その国に援軍を出してもらって公爵家を討伐するのです。
力ある国との婚姻が決まったら、貴族士族も王家に留まります、国王陛下」
私が何度献策しても、国王は冷たい目を向けるだけ。
その冷たさは、私が妾腹の王子達を殺した時以上です。
私やフラヴィオの事など全く何とも思っていない。
このままでは恐れていた通り、私とフラヴィオを殺すかもしれない。
殺される前に殺してしまいたいですが、今王を殺したら、私達を王殺しだと言ってフェデリコとエドアルドが攻めてくる。
「ふん、それで、援軍としてやってきた大国の軍に余を殺させるか。
フラヴィオ以外の余の子供を皆殺しにしたように」
「何の事でございましょうか、全く身に覚えがございません」
「ふん、今更言い逃れができると思うなよ、レベッカ。
余は馬鹿ではないし、王位争いの激しさ汚さを嫌というほど知っている。
殺された王子達や妾共が弱かった、それだけの事よ。
今回はお前とフラヴィオが愚かで弱かった、だから殺される、それだけの事よ」
「陛下は自分の血を分けた子供が王位を継げなくてもいいと言われるのですか」
「構わんよ、一向に構わん。
余が血を分けた子供に王位を継いでもらいたいと思っていたら、お前が余の子供を最初に殺した時に、お前とフラヴィオを殺して見せしめにしている。
別に余の子でなくても、ロマリオ家に血を継いでいればマシな方だ。
弱肉強食だと割り切れば、ロマリオ家の血を継いでいなくてもしかたがない。
アウレリウス・ジェノバ公爵家ならばロマリオ家の血を継いでいるから、他国の王家に乗っ取られるよりはマシよ」
「なんとお情けない事を申されるのですか。
弱肉強食だと申されるのでしたら、閣下が公爵家を討伐されればいいのです。
陛下が軍を率いられたら、公爵家等簡単に討伐できるではありませんか。
公爵家を討伐してから国内の貴族家からフラヴィオの妃を迎えれば、以前と同じに戻るではありませんか」
「心にも思っていない嘘を口にするな、この場で縊り殺したくなる。
普段は穏やかで怒る事などないフェデリコ公爵が、余の代わりに軍を率いて常勝だった事、お前も知っているだろう。
エドアルドが知勇兼備の名将だと言う事も知っているだろう。
二人を相手にしては、余独りでは分が悪い事くらいお前も知っている。
余を二人に殺させて、信望を地に落としたフラヴィオを王位につけようとしている事くらい、余はとっくに御見通しじゃ」
「そのような事は全く考えておりません。
ただ陛下の力を信じてご提案させていただいただけでございます」
「くっくくくくく、だったらお前の提案を、もっともこの国のためになるように変えて実行してやろうではないか。
強大な国の王女をフラヴィオの妃に迎えるよりは、この国が操れる程度の国の王妃を余の正室に迎えればいい。
そうすればそれなりの兵力と指揮官が手に入る。
いや、一番いい方法は、お前とフラヴィオを恥辱の刑に処して、マリア嬢を余の正妃に迎える事ではないか。
そうすればマリア嬢とアウレリウス・ジェノバ公爵家に与えた恥辱を詫びた事になり、王家と公爵家の絆を元に戻すことができる。
そうは思わないか、王妃」
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