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王太子に婚約破棄された伯爵令嬢は猫パンチする
10話
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ベウィッケ伯爵家の王都屋敷は、蟻のはい出る隙間もないほど騎士や兵士に取り囲まれていた。
元々攻め滅ぼしてしまう予定のベウィッケ伯爵家、殺してしまう予定のフィオナ嬢に与えた屋敷だから、以前に騙して皆殺しにした貴族の屋敷跡だ。
しかも強欲な側近貴族も金持ちも欲しがらなかったような屋敷だから、王都でも人気のない辺鄙で治安の悪い場所にあった。
「フィオナ様。
外が少々騒がしくなりました。
私共が静かにしてまいりますので、しばらく大人しく休んでいてください」
「分かったわ」
たった二人で王都のフィオナ嬢を御世話してきたコリアンとミリオナが、少々殺気立った雰囲気でフィオナ嬢に話しかけたが、フィオナ嬢自身はとてものんびりとした返事をしている。
先ほど王宮で大暴れしたので疲れているのか、それとも満足したのかはわからないが、屋敷の外のことには何の興味もないようだった。
だがコリアンとミリオナは違っていた。
フィオナ嬢がくつろぐ部屋から出た二人は、まるで子猫を護る母猫のように、強烈な殺気を放っていた。
しかもその殺気は、玄関に近づくほど強烈となり、髪が逆立ち顔形が憤怒の形相に変わるほどだった。
「我が主を襲うとは身の程知らずが!」
「切り刻んで犬の餌にしてくれる!」
コリアンとミリオナは、叫ぶと同時に一瞬の躊躇もせず、完全武装の騎士や兵士の中に飛び込んだ!
その時にはコリアンとミリオナの爪が長く鋭く伸びていた!
竜巻のように騎士と兵士の間を駆け抜けるコリアンとミリオナは、縦横無尽に爪をふるい、騎士や兵士の顔を縦に横に切り裂いた!
その鋭さと深さは常識では測れないものだった。
鋼鉄製の兜をものともせず、頭部を完全に六つに両断したのだ!
縦に裂かれた頭部は、肉や皮がつながって首から上がプラプラしている。
横に裂かれた頭部は、輪切りとなって地に転がっていた。
だが輪切りの頭部は、逃げ惑う騎士や兵士に踏みつぶされ、小さな肉片や骨片となっていった。
「「「「「ギャァァァァアァアァアア!」」」」」
婚約披露宴会場の惨劇現場にいた騎士は、その時の恐怖を思い出し絶叫をあげて逃げ出そうとしたが、それを許すコリアンとミリオナではなかった。
人間離れした跳躍力で騎士や兵士の壁を飛び越え、逃げようとする騎士の前をふさぐと、今度は頭から尻まで縦に引き裂いた。
次の騎士は腹の部分を横に輪切りにした。
「「「「「ギャァァァァアァアァアア!」」」」」
それを目にした騎士や兵士はあまりの恐怖に恐慌状態となり、その場にしゃがんで神に祈る者、剣を捨てて逃げだす者、兵士を盾にして自分だけは助かろうとする騎士、敵味方が分からなくなり剣を振り回して味方を攻撃する者などが現れ、収拾のつかない阿鼻叫喚の生き地獄となった。
元々攻め滅ぼしてしまう予定のベウィッケ伯爵家、殺してしまう予定のフィオナ嬢に与えた屋敷だから、以前に騙して皆殺しにした貴族の屋敷跡だ。
しかも強欲な側近貴族も金持ちも欲しがらなかったような屋敷だから、王都でも人気のない辺鄙で治安の悪い場所にあった。
「フィオナ様。
外が少々騒がしくなりました。
私共が静かにしてまいりますので、しばらく大人しく休んでいてください」
「分かったわ」
たった二人で王都のフィオナ嬢を御世話してきたコリアンとミリオナが、少々殺気立った雰囲気でフィオナ嬢に話しかけたが、フィオナ嬢自身はとてものんびりとした返事をしている。
先ほど王宮で大暴れしたので疲れているのか、それとも満足したのかはわからないが、屋敷の外のことには何の興味もないようだった。
だがコリアンとミリオナは違っていた。
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しかもその殺気は、玄関に近づくほど強烈となり、髪が逆立ち顔形が憤怒の形相に変わるほどだった。
「我が主を襲うとは身の程知らずが!」
「切り刻んで犬の餌にしてくれる!」
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その時にはコリアンとミリオナの爪が長く鋭く伸びていた!
竜巻のように騎士と兵士の間を駆け抜けるコリアンとミリオナは、縦横無尽に爪をふるい、騎士や兵士の顔を縦に横に切り裂いた!
その鋭さと深さは常識では測れないものだった。
鋼鉄製の兜をものともせず、頭部を完全に六つに両断したのだ!
縦に裂かれた頭部は、肉や皮がつながって首から上がプラプラしている。
横に裂かれた頭部は、輪切りとなって地に転がっていた。
だが輪切りの頭部は、逃げ惑う騎士や兵士に踏みつぶされ、小さな肉片や骨片となっていった。
「「「「「ギャァァァァアァアァアア!」」」」」
婚約披露宴会場の惨劇現場にいた騎士は、その時の恐怖を思い出し絶叫をあげて逃げ出そうとしたが、それを許すコリアンとミリオナではなかった。
人間離れした跳躍力で騎士や兵士の壁を飛び越え、逃げようとする騎士の前をふさぐと、今度は頭から尻まで縦に引き裂いた。
次の騎士は腹の部分を横に輪切りにした。
「「「「「ギャァァァァアァアァアア!」」」」」
それを目にした騎士や兵士はあまりの恐怖に恐慌状態となり、その場にしゃがんで神に祈る者、剣を捨てて逃げだす者、兵士を盾にして自分だけは助かろうとする騎士、敵味方が分からなくなり剣を振り回して味方を攻撃する者などが現れ、収拾のつかない阿鼻叫喚の生き地獄となった。
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