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第一章
第47話:幻覚
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よくよく考えれば、何も本当にリアナを王都に連れてこなくてもいいのだ。
幻覚魔術で人型の使い魔をリアナだと思い込ませればいいのだ。
そうと分かれば直ぐに王都で食糧配給を行うべきだった。
だが単に配って恩を売るだけでは能がないとも思った。
だから、新たな王国に、いや、リアナに従う事を教え込む事にした。
リアナの身代わりはズメイ人にやらせた。
食糧配給の場所に玉座を設け、王都の民はそこで幻覚魔術でリアナに見えるズメイ人に願い出て、食糧配給を受ける仕組みにした。
その場にいる王都の民全員が、心からリアナに願い出なければ、食糧配給を受けられない仕組みにした。
心に反感を持つ者は、ドラゴンと寸分違わない使い魔ズメイに名指しで指摘され、改心するまでは誰も食糧配給を受けられないのだ。
他の民から憎しみの目で見られてしまったら、反感を捨てるか、配給の場から出て行く以外の方法はない。
だが反感を捨てる事などなかなかできる事ではない。
だから配給の場から出て行くしかないのだが、それでは自分だけでなく家族までが飢えに苦しむことになる。
そこで強制的に王都から叩き出した。
人間とはとても醜い生き物だから、自分が正しいと信じ、いや、正しいと信じたふりをして、その正しさを盾に人の大切なモノや命を平気で奪う。
自分が反感を持っているリアナに媚を売って得た人間の食糧を、暴力を持って奪う事は正しいと信じたふりを平気でする。
その為に命を奪う事すら平然と行える人間がいるのだ。
品性下劣な人間の中には、家族に働かせたり身体を売らせたりして、間接的に食糧を手に入れる人間がいる。
そこまで行かなくても、自分は反感を捨てないまま、家族に食糧の配給を受けさせ、平気でその食糧を喰う無神経さがある。
そんな事をさせないために、反感を捨てないまま食糧配給所を出て行く民は、そのまま王都から追放してやった。
一方反感を捨てて食糧配給を受ける人間には、そのまま直ぐに王都での労働奉仕をやらせて、リアナに従うのが当然だという習慣を身に着けさせるようにした。
特別難しい事をやらせたわけではなく、単なる掃除だ。
窓から捨てられる人間の糞尿を回収させて、王都の外に改めて捨てさせる。
それが嫌なら、道に糞尿を捨てずに王都の外に捨てに行くだろう。
それは無理でも、決まった場所に捨てるようになるだろう。
だから王都の各所に糞尿を捨てるための大穴を作った。
その大穴に糞尿を食べるスライムを放って、臭いが王都に漂わないようにした。
今までは風向き次第で宮城にまで糞尿の臭いが漂っていただろう。
それとも何か特別な魔術で防いでいたのだろうか。
いや、マライーニ王国の宮城でもトイレなどなく庭で排泄していたのだ。
臭いは気にしていなかったもしれないな。
幻覚魔術で人型の使い魔をリアナだと思い込ませればいいのだ。
そうと分かれば直ぐに王都で食糧配給を行うべきだった。
だが単に配って恩を売るだけでは能がないとも思った。
だから、新たな王国に、いや、リアナに従う事を教え込む事にした。
リアナの身代わりはズメイ人にやらせた。
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他の民から憎しみの目で見られてしまったら、反感を捨てるか、配給の場から出て行く以外の方法はない。
だが反感を捨てる事などなかなかできる事ではない。
だから配給の場から出て行くしかないのだが、それでは自分だけでなく家族までが飢えに苦しむことになる。
そこで強制的に王都から叩き出した。
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自分が反感を持っているリアナに媚を売って得た人間の食糧を、暴力を持って奪う事は正しいと信じたふりを平気でする。
その為に命を奪う事すら平然と行える人間がいるのだ。
品性下劣な人間の中には、家族に働かせたり身体を売らせたりして、間接的に食糧を手に入れる人間がいる。
そこまで行かなくても、自分は反感を捨てないまま、家族に食糧の配給を受けさせ、平気でその食糧を喰う無神経さがある。
そんな事をさせないために、反感を捨てないまま食糧配給所を出て行く民は、そのまま王都から追放してやった。
一方反感を捨てて食糧配給を受ける人間には、そのまま直ぐに王都での労働奉仕をやらせて、リアナに従うのが当然だという習慣を身に着けさせるようにした。
特別難しい事をやらせたわけではなく、単なる掃除だ。
窓から捨てられる人間の糞尿を回収させて、王都の外に改めて捨てさせる。
それが嫌なら、道に糞尿を捨てずに王都の外に捨てに行くだろう。
それは無理でも、決まった場所に捨てるようになるだろう。
だから王都の各所に糞尿を捨てるための大穴を作った。
その大穴に糞尿を食べるスライムを放って、臭いが王都に漂わないようにした。
今までは風向き次第で宮城にまで糞尿の臭いが漂っていただろう。
それとも何か特別な魔術で防いでいたのだろうか。
いや、マライーニ王国の宮城でもトイレなどなく庭で排泄していたのだ。
臭いは気にしていなかったもしれないな。
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