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第一章
第39話:脅迫・ダーシィ戦闘侍女視点
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「ゴードン侯爵、イニス王家のデイビット第三王子の私に対する非礼は、王侯貴族として許し難い事です。
マナーズ王国の大使がゴードン侯爵行った無礼も同じで、厳罰に処さなければいけない事は当然です。
ですが、だからといって、罪のない民を巻き込むことも、王侯貴族の振舞いとしては相応しくありません、そうではありませんか、ゴードン侯爵」
リアナ様が堂々とした見事な態度でキャメロン閣下に詰め寄られます。
「私も別に民を巻き込みたくて王都の封鎖をやっているわけではない。
王族の誇りを持たない厚顔無恥な輩を逃がさないために、仕方がなくやっている事で、まるで私が王侯貴族の誇りを持っていないように言われるのは心外だ」
キャメロン閣下が不機嫌丸出しの表情と態度を返されます。
キャメロン閣下の全身から途轍もない殺気が溢れ出しています。
演技だと分かっているのに、恐怖でその場に倒れ込みそうです。
舞踏会場にいる大使や貴族の半数以上がその場に崩れ落ちています。
正面から対峙されているリアナ様の精神力は素晴らしいです。
「王侯貴族の誇りを持っておられるのなら、ここは一旦王都の包囲を解くべきです。
例えその結果として両王家が逃げ出したとしても、それによってゴードン侯爵と私の誇りと名誉が損なわれるわけではありません。
卑怯な逃亡で誇りと名誉が損なわれ、大陸中に恥をさらすのは両王家です」
「それは分かるが、むざむざと卑怯者に逃げられるのは腹立たしい。
卑怯者共を取り逃がすくらいならば、残虐非道と言われても構わん」
いよいよ芝居がクライマックスに入りますね。
「両王家がバロン達の目を掻い潜って他国に逃げるには、国境を超えなければいけませんから、隣国の協力が必要不可欠です。
ですが、もう両王家は大陸中の王侯貴族から信望を失っています。
彼らに手を貸すような事はありませんわよね、大使殿」
リアナ様が一番身近にいた大使に話しかけられます。
いきなり予想外に話しかけられた大使は、しどろもどろになっています。
最初からこうなる事を前提に、集めた大使や王侯貴族の席を配置していますから、声をかけられた大使は、イニス王家と国境を接していて、二代前には王家が婚姻政策を結んでいる国です。
一番イニス王家を匿う可能性がある国です。
「ふん、その国はイニス王家と血縁関係にあるではないか。
王家と王国の威信にかけてイニス王家を見捨てるわけにはいかない国だ。
ロスリン女侯爵のやり方こそ無暗に戦争を広げる愚行だぞ。
ここは戦争の被害を少なくするために、王都の封鎖を続けるべきだ。
なあ、大使殿、貴君にイニス王家を見捨てる返事などできまい」
「いえ、大使殿も王家の方々もそんな愚か者ではありません。
ゴードン侯爵が名誉と誇りのために宣戦布告しなければいけないような愚行を、大使殿が本国にさせる訳がありません。
その身を犠牲にしてでも否定してくれますわ、ねえ、大使殿」
可哀想な大使、自分の返事一つが王家王国の存亡にかかわるのです。
さて、大使にイニス王家の滅亡、いえ、自分の仕える王家と王国の存亡までかかった返事を、この場で即答する権限と根性があるのでしょうか。
マナーズ王国の大使がゴードン侯爵行った無礼も同じで、厳罰に処さなければいけない事は当然です。
ですが、だからといって、罪のない民を巻き込むことも、王侯貴族の振舞いとしては相応しくありません、そうではありませんか、ゴードン侯爵」
リアナ様が堂々とした見事な態度でキャメロン閣下に詰め寄られます。
「私も別に民を巻き込みたくて王都の封鎖をやっているわけではない。
王族の誇りを持たない厚顔無恥な輩を逃がさないために、仕方がなくやっている事で、まるで私が王侯貴族の誇りを持っていないように言われるのは心外だ」
キャメロン閣下が不機嫌丸出しの表情と態度を返されます。
キャメロン閣下の全身から途轍もない殺気が溢れ出しています。
演技だと分かっているのに、恐怖でその場に倒れ込みそうです。
舞踏会場にいる大使や貴族の半数以上がその場に崩れ落ちています。
正面から対峙されているリアナ様の精神力は素晴らしいです。
「王侯貴族の誇りを持っておられるのなら、ここは一旦王都の包囲を解くべきです。
例えその結果として両王家が逃げ出したとしても、それによってゴードン侯爵と私の誇りと名誉が損なわれるわけではありません。
卑怯な逃亡で誇りと名誉が損なわれ、大陸中に恥をさらすのは両王家です」
「それは分かるが、むざむざと卑怯者に逃げられるのは腹立たしい。
卑怯者共を取り逃がすくらいならば、残虐非道と言われても構わん」
いよいよ芝居がクライマックスに入りますね。
「両王家がバロン達の目を掻い潜って他国に逃げるには、国境を超えなければいけませんから、隣国の協力が必要不可欠です。
ですが、もう両王家は大陸中の王侯貴族から信望を失っています。
彼らに手を貸すような事はありませんわよね、大使殿」
リアナ様が一番身近にいた大使に話しかけられます。
いきなり予想外に話しかけられた大使は、しどろもどろになっています。
最初からこうなる事を前提に、集めた大使や王侯貴族の席を配置していますから、声をかけられた大使は、イニス王家と国境を接していて、二代前には王家が婚姻政策を結んでいる国です。
一番イニス王家を匿う可能性がある国です。
「ふん、その国はイニス王家と血縁関係にあるではないか。
王家と王国の威信にかけてイニス王家を見捨てるわけにはいかない国だ。
ロスリン女侯爵のやり方こそ無暗に戦争を広げる愚行だぞ。
ここは戦争の被害を少なくするために、王都の封鎖を続けるべきだ。
なあ、大使殿、貴君にイニス王家を見捨てる返事などできまい」
「いえ、大使殿も王家の方々もそんな愚か者ではありません。
ゴードン侯爵が名誉と誇りのために宣戦布告しなければいけないような愚行を、大使殿が本国にさせる訳がありません。
その身を犠牲にしてでも否定してくれますわ、ねえ、大使殿」
可哀想な大使、自分の返事一つが王家王国の存亡にかかわるのです。
さて、大使にイニス王家の滅亡、いえ、自分の仕える王家と王国の存亡までかかった返事を、この場で即答する権限と根性があるのでしょうか。
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