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第一章
第3話:家族会議2
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「私はヘンリーを公爵にしたいとは思っていない。
高貴な地位にはそれに伴う責任がある。
ヘンリーにその責任を背負うだけの能力があるかどうかは未知数だ。
何よりそんな重荷をヘンリーに背負わせたくない。
正直言って、私には伯爵の責任すら重過ぎるからね」
父上らしい責任感と愛に溢れたお言葉です。
確かに責任感のある人には爵位は重荷でしかありません。
誰が好き好んで他人の生活や財産、いえ、命を背負いたいと思うものですか。
家臣領民に少しでも豊かな生活を与えたいなんて思ってしまったら、寝食を忘れて政務に励まなければいけません。
そんな辛い責務を愛する子供に押し付けたいなんて思うはずがないのです。
「貴男の好きにされればいいと思いますわ。
でも、セシリアとヘンリーが幸せになれるように考えてくださいね」
心から父上を愛し信じている母上らしい考え方ですね。
復讐する気になれば何時でもコリンヌとルドルフはぶち殺せます。
それどころかウィルブラハム公爵家とジェイムズ王家を皆殺しにする事すら簡単な事ですが、そんな復讐よりも家族の幸せの方が大切です。
そして自分の考えよりも父上や母上の想いの方が大切です。
甘え過ぎなのは分かっていますが、自分で考え立つよりも、いつまでも父上と母上の腕の中で甘えていたいのですもの。
「そうか、そう言ってくれるか。
ではルドルフ殿下の横暴を恐れて逃げ出した事にしよう。
国王陛下に訴えてちゃんとした裁きを願い出る事もできる。
だが国王陛下がルドルフ殿下とウィルブラハム公爵家の体面を考えられたら、正式な裁きの場でルドルフ殿下のセシリアへの暴言が真実にさせられてしまう。
それだけは絶対に防がなければいけない」
本当に父上は私の事を愛してくださっています。
私への言い掛かりの正誤をはっきりさせないようにしてくれます。
王家はブートル伯爵家が逃げた事で、言い掛かりが正しかった事にしようとするでしょうが、あの場にいた王侯貴族のほとんどが陰で真実を広めてくれるでしょう。
それに賢明な父上ならば、コリンヌやソマーレッドが公爵の地位を確保したくて、どのような悪辣非道な手段を使ってでもヘンリーを殺そうとするのが分かっているのでしょう。
「分かりましたわ。
では急いで馬車の用意をいたしましょう。
家臣や使用人達も連れていきたいですが、彼らを養う事はできなくなりますね」
「母上、それは私にお任せください。
こんな事もあろうかとキャッスル王国に土地と屋敷を購入してあります。
キャッスル王国に着いてきてもいいという家臣使用人は連れて行きましょう」
高貴な地位にはそれに伴う責任がある。
ヘンリーにその責任を背負うだけの能力があるかどうかは未知数だ。
何よりそんな重荷をヘンリーに背負わせたくない。
正直言って、私には伯爵の責任すら重過ぎるからね」
父上らしい責任感と愛に溢れたお言葉です。
確かに責任感のある人には爵位は重荷でしかありません。
誰が好き好んで他人の生活や財産、いえ、命を背負いたいと思うものですか。
家臣領民に少しでも豊かな生活を与えたいなんて思ってしまったら、寝食を忘れて政務に励まなければいけません。
そんな辛い責務を愛する子供に押し付けたいなんて思うはずがないのです。
「貴男の好きにされればいいと思いますわ。
でも、セシリアとヘンリーが幸せになれるように考えてくださいね」
心から父上を愛し信じている母上らしい考え方ですね。
復讐する気になれば何時でもコリンヌとルドルフはぶち殺せます。
それどころかウィルブラハム公爵家とジェイムズ王家を皆殺しにする事すら簡単な事ですが、そんな復讐よりも家族の幸せの方が大切です。
そして自分の考えよりも父上や母上の想いの方が大切です。
甘え過ぎなのは分かっていますが、自分で考え立つよりも、いつまでも父上と母上の腕の中で甘えていたいのですもの。
「そうか、そう言ってくれるか。
ではルドルフ殿下の横暴を恐れて逃げ出した事にしよう。
国王陛下に訴えてちゃんとした裁きを願い出る事もできる。
だが国王陛下がルドルフ殿下とウィルブラハム公爵家の体面を考えられたら、正式な裁きの場でルドルフ殿下のセシリアへの暴言が真実にさせられてしまう。
それだけは絶対に防がなければいけない」
本当に父上は私の事を愛してくださっています。
私への言い掛かりの正誤をはっきりさせないようにしてくれます。
王家はブートル伯爵家が逃げた事で、言い掛かりが正しかった事にしようとするでしょうが、あの場にいた王侯貴族のほとんどが陰で真実を広めてくれるでしょう。
それに賢明な父上ならば、コリンヌやソマーレッドが公爵の地位を確保したくて、どのような悪辣非道な手段を使ってでもヘンリーを殺そうとするのが分かっているのでしょう。
「分かりましたわ。
では急いで馬車の用意をいたしましょう。
家臣や使用人達も連れていきたいですが、彼らを養う事はできなくなりますね」
「母上、それは私にお任せください。
こんな事もあろうかとキャッスル王国に土地と屋敷を購入してあります。
キャッスル王国に着いてきてもいいという家臣使用人は連れて行きましょう」
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