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征夷大将軍

第226話:一八四五年、清国とイギリス東洋艦隊

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 電信は完成していないが、伝書鳩と旗振り通信は機能している。
 だから伝書船や騎馬伝令よりは圧倒的に早く情報が伝わる。
 そのお陰で世界情勢に合わせて方面戦略や戦術を素早く変更することができる。
 今回はそのお陰で清国への対応を変えることができた。
 いや、清国だけでなくイギリス東洋艦隊への対応だな。

 内々に裏からイギリスには現地だけの休戦を伝えてある。
 だが南イエメンをイギリスから奪い返すとなると休戦を止めなければいけない。
 別に腐れ外道のイギリス相手に礼儀を護る必要はないのだが、味方には徳川家の正しさや信義を伝え続けなければいけない。
 その為にはイギリス東洋艦隊に休戦が終わったと伝えてから戦闘を始める必要があるのだが、馬鹿正直に南イエメンに攻め込むことを教える必要はない。

 イギリス東洋艦隊を取り逃がすことになろうとも、戦争再開を伝える。
 南イエメン侵攻の為の陸軍部隊を北イエメンに屯田させる。
 もちろん群雄割拠のエチオピアはその前に侵攻占領支配しておく。
 南イエメンに侵攻する時には、オマーン帝国に侵攻する準備も整えておく。
 余力があるのなら、ペルシア帝国からインド方面に侵攻する。

 前世ではパキスタンと呼ばれていた国に攻め込み、オランダの東インド会社が支配下に置いていたグジャラート方面を占領してしまうのだ。
 この地方には油田があるから、オランダの支配下に置いておく必要などない。
 イギリスとの戦争を始めるのなら、日本本土からもインドに攻め込む必要がある。
 その為には台湾と海南島の維持確保はもちろんだが、ベトナム、マレー半島、スマトラ島に艦艇の補給や修理に仕える港を侵略占領確保する事が必要不可欠だ。

 それと全力でインドに攻め込むためには、後方の安全を確保しておく必要がある。
 いつ裏切るか分からない清国に力を持たせるわけにはいかない。
 だからといって徳川海軍や民間船が交易できなくなるのは困るのだ。
 清国との交易は徳川家の大切な資金源なのだから。
 アヘンを扱う気にはならないが、死の商人として武器を扱うのは構わない。
 後世の人から見れば大差ないのだろうけどね。

 だから倭寇や私掠船に清国沿岸部を襲わせるような事はしない。
 清国内に数多くの叛乱軍を立ち上がらせ、彼らに旧式の武器を売るのだ。
 中華民国や中華人民共和国が建国される前の軍閥時代を先取りさせる。
 各省の郷党や少数民族ごとに軍閥を立ちあげさせる。
 そしてできれば春秋戦国時代のように内で争い続けさせる。
 少なくとも十数個カ国、できれば百カ国くらいに分裂させるのだ。
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