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征夷大将軍

第225話:一八四五年、アラビア半島

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 アラビア半島はオスマン帝国が宗主国だという事になっているが、実際は違う。
 エジプトが宗主国だったオスマン帝国に攻め込んで勝利したのと同じで、属国属州の方が実際には強かったという事がある。
 だたこの世界のオスマン帝国は強くなっているし、大切な友好国だ。
 建前の宗主国を認めなければ戦争になってしまう。

 実際のアラビア半島には独立した勢力がある。
 アラビア半島の紅海沿岸部は、徳川軍が攻め滅ぼしたエジプトにムハンマド・アリーがオスマン帝国の命令で攻め取ってエジプトの支配下に置いている。
 北イエメンもエジプトの飛び地になっているが、南イエメンはイギリスが植民地にしている。
 サウジアラビアは第二次サウード王国とジャバル・シャンマル王国が独立勢力として君臨している。
 英国と休戦条約を結んでいるトルーシャル首長国という、アラブ首長国連邦の前身となる国がある。
 サイイド・サイード大王が支配しているブーサイード朝にオマーン帝国がある。
 この国は海洋国家でアラブア半島沿岸からアフリカ大陸インド洋沿岸部を支配している大帝国だ。

 時間をかけて出来るだけ争うごとがないようにアラビア半島を統治したい。
 アラビア半島紅海沿岸部は以前からエジプトの支配下になっている。
 スーダンもエジプトの支配下になっている。
 今群雄割拠になっているエチオピアを侵攻占領支配し、イギリスが植民地にしている南イエメンを奪還すれば、紅海を内海化することができる。

 まあ、バブ・エル・マンデブ海峡を安全に通過して、アデン湾からインド洋に出るには、オマーン帝国を支配下に置かなければいけない。
 西欧列強以外に強圧的に出るのは嫌なのだが、紅海とペルシャ湾を内海化して、将来の石油時代に徳川家になっても徳川家の覇権を維持するには、嫌でもやらなければいけない事がある。

 ペルシア帝国のペルシャ湾とオマーン湾沿岸部に大造船所を建築する。
 エジプトの紅海沿岸部に建築していた造船所を本格稼働させる。
 残念だ事だがスエズ運河にはまだ手を付けていないから、黒海で建造した艦艇を紅海からインド洋に移動させる事はできない。
 内燃機関もスクリュープロペラの装備していないので、イギリス東洋艦隊や東インド会社の艦艇と戦わせる気にもなれない。

 絶対に勝てると思えない戦いに大切な将兵を派遣するわけにはいかないのだ。
 絶対に優勢だからこそ、油断で徳川家を凋落させるわけにはいかない。
 スペインの無敵艦隊がイギリスに負けたように、ナポレオンが冬将軍に負けたように、ロシアのバルチック艦隊、実際にはバルト艦隊というようだが、彼らが日本海海戦で負けたような事にはさせられないのだ。
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