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征夷大将軍

第223話:一八四五年・雪解け

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 雪解けを待って一気にオーストリア帝国側に立っているドイツ連邦各国に攻め込んだが、連戦連勝の破竹の勢いだった。
 軍馬に引かせた大砲、砲車の機動力と破壊力は絶大だった。
 だが何より一番大きかったのはミトラィユーズ砲とドライゼ銃の力だった。
 上空から襲い掛かる大型火箭にもドイツ連邦各国は全く対抗できないでいた。

 ここで俺が望んでいた通りの事が起こった。
 国境線に集結したポーランド・リトアニア王国軍に備えて本格的に動けないでいた、プロイセン王国軍とその同盟各国が慌ててドイツ連邦各国に攻め込んだ。
 プロイセン王国軍は徳川家とは友好関係を結んでいるので、火事場泥棒的に領地をかすめ取っても交渉で解決できると思っていたのだろう。

 いや、そもそも火事場泥棒的に戦争に介入したのは徳川軍だ。
 プロイセン王国軍がオーストリア帝国に味方したドイツ連邦各国に攻め込めないように、ポーランド・リトアニア王国に大軍を国境線に集結させるように頼んだのは俺なのだからな。
 まあ、その分ポーランド・リトアニア王国には莫大な食糧援助と資金援助を行っているから、持ちつ持たれつの関係だ。

 プロイセン王国との戦争では周りを気にする必要はない。
 当事国のオーストリア帝国はオスマン帝国にウィーンに閉じ込められている。
 デンマークは四大強国の争いには関わらないように中立宣言をしている。
 フランスとイタリアは酷い内乱で他国に介入する余裕は全くない。
 裏切られると最も厄介なポーランド・リトアニア王国に不審な兆候はない。
 一番怖い徳川家が侵略占領したロシア帝国領での反乱は、民にロシア帝国時代より豊かな生活を与えて胃袋を掴んでいるので今の所は安泰だ。

 問題は艦隊を使ってのイギリスの横槍なのだが、俺が思っている以上にイギリスは疲弊消耗しているようだ。
 二度の内乱と東洋艦隊の壊滅と北アメリカでの敗戦は、如何に太陽の沈まない国と言われた大英帝国でも回復に時間がかかるのだろう。
 南アフリカに大軍を送っている現状では、三度目の叛乱を恐れてこれ以上の兵力を国外に出せないのかもしれない。
 もしくは欧州大陸が荒れるのがイギリスの望むところなのかもしれない。

 まあそのお陰で徳川軍は好き勝手やれている。
 侵攻占領地の不穏分子は棄兵にする心算で最前線送りにしてある。
 そのお陰で占領地は至って平穏無事だ。
 最新鋭武器を投入してるドイツ戦線に、信用できない棄兵軍団を送り込むことはできないが、占領したペルシア帝国のインド国境線に集結させて、俺の知るパキスタンを侵攻するように見せかける事はできる。
 可能ならばオランダがインドで手に入れている領地を奪い取る。
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