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征東大将軍

第167話:一八三七年、松前対ロシアの戦争

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 現在は圧倒的に有利な状況でロシアと戦えている。
 このまま何事もなく戦況が有利に進めばウラル山脈以東は松前領となるだろう。
 だが今完全にロシアを屈服させようとしたら、思わぬ不覚を取りかねない。
 ロシア人の領土欲は激しいが、ウラル以東なら手放す気になり易い気がする。
 極寒で僻地のシベリアよりは、ウクライナやポーランドの確保を優先するはず。
 あくまでも予想でしかないが、間違ってはいないはず。

 ウラル山脈の山頂に城砦群を築いて第一防衛線とする。
 オビ川東岸に堤防城砦による第二防衛線を築く。
 可哀想だがポーランド・リトアニアにロシアの目を向けさせてもらう。
 独立はしてもらうが、常にロシアの領土欲を刺激してもらう。
 松前藩のシベリアよりは攻めやすく美味しそうな獲物になってもらう。
 その為にはそれなりに豊かになってもらわないと困る。

 ポーランド・リトアニアの奪還独立のためにフランスには動いてもらう。
 何も開戦して攻め込んでもらう必要はない。
 フランス軍を北部に集めてナポレオン戦争の再現を狙っているという噂と、ザクセン王家にポーランド・リトアニア選挙王に成ってもらうという噂を流すだけだ。
 それでロシア軍をザクセン方面に張りつけられればいいい。
 
 それとドイツのプロイセン王フリードリヒ・ヴィルヘルム三世と次代のフリードリヒ・ヴィルヘルム四世を味方につける。
 多少の妥協をしてでもプロイセンは味方につけなければいけない。
 もうプロイセンではドライゼ銃が完成して正式採用されているはずだ。
 史実通りに動けは小国乱立のドイツを統一してくれる。
 
 蜂巣砲ことミトラィユーズ斉発砲は一八六六年まで開発されないはずだ。
 ガトリング砲はアメリカ合衆国が内乱中で開発されない可能性が高い。
 発明した人間が既に死んでしまっている可能性すらある。
 それに、俺の指導で既にガトリング砲は松前砲の名前で生産している。
 今はまだドライゼ銃で圧勝できているから前線には出していない。
 秘密兵器を少数だけ最前線に出しても全然意味がない。
 兵器は数を揃てこそ威力を発揮できるからな。

 松前軍が戦力を集中するのはトルクメン方面だ。
 最悪でもエンバ川まで押し上げてウラル山脈を結ぶ線で国境を確定したい。
 できればウラル川まで押し上げてウラリスクとチカロフまで内包したい。
 最良はヴォルガ川まで押し上げてコーカサス方面と合流する事だ。
 そうすれば陸路でトルコやエジプトと行き来できる。
 カスピ海の制海権を持ってるとはいえ、軍事交易の面から陸路も確保したい。

 ロシア軍に攻めやすいと思わせるのはコーカサス方面だ。
 ポーランド・リトアニアの次にロシアの目を向けさせる。
 黒海からボスボラス海峡を安全に抜けるためには、トルコを屈服させたいだろう。
 その為にはコーカサス方面から攻め込むしかない。
 だからコーカサス方面は攻め込めそうな戦力にしておく。
 まあ、全てはコーカサス方面からポーラ・リトアニアを奪還してからだがな。

 問題はトルコ、いや、オスマン帝国の視線だ。
 背後からコーカサス方面やエジプト方面に攻め込まれたらたまったもんじゃない。
 アブデュルメジト一世は信用できると思うが油断大敵だ。
 アブデュルメジト一世がタンジマートよりも外征に興味を示した場合は、バルカン半島に眼を向けてもらう。
 まずはギリシャの奪還を考えてもらおう。
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