上 下
45 / 238
家督継承後

第45話一八二六年、武士の情けと出費と収支

しおりを挟む
「中納言殿、彼らを召し抱えてやってもらえないだろう。
 このままでは娘を身売りしなければいけない者が出てくる。
 斬り取り強盗をせねばならない者も出てくる。
 薩摩大隅に残って郷士や百姓になる事も許さないというのなら、松前藩で召し抱えてやって欲しい。
 どうかこの通りだ」

 島津斉宣が深々と頭を下げる。
 俺にだって情はある。
 前世の薩摩藩には、日本の道を誤らせた責任があるとは思う。
 だが今生では、まだその罪を犯していない薩摩藩の者達を、史実を知っているからと事前に陥れた事に罪の意識はある。

 元薩摩藩士が、生きていくために娘を売るとか、民を襲って金品を奪うようになると言われたら、責任をとるべきだと思ってしまう。
 それに、前世の視点も俺個人のもので、間違いだと思っている者もいる。
 まして家を潰された島津斉宣に頭を下げられたら、複雑な心境になる。

「分かりました。
 松前松平家に仕官したいというのなら、若党鉄砲隊として迎えましょう。
 しかし開拓にも従事して頂きますよ。
 蝦夷や樺太で原生林を切り出し、原野を農地に変えて頂く事になります。
 そんな役目でも仕官してくれますか」

「全員とは申しませんが、微禄の下級藩士は仕官を希望するはずです。
 どうか宜しく御願いします」

 正直元薩摩藩士が何人仕官に来てくれるか分からなかった。
 だが困った事に、六万人の元薩摩藩士の内、五万人が仕官にやってきた。
 彼らが謀叛を起こしたら、俺も厳罰に処せられてしまう。
 だが、島津斉宣と島津斉彬が、元薩摩藩士に俺に忠誠を尽すように命じてくれたので、事なきを得た、と思う。

「一八二五年の松前松平家収支」

備蓄金 :△△五百三十八万三千七百二十両

北前船 :△二十二万二千両(七十四隻分)
北前船 :△百万両(百隻は船団を組み清国や東南アジア)
北前船 :△八万九千二百両(自家以外の二百二十三隻運上金)
快速丸 :△三十万両(十五隻)
迅速丸 :△六十万両(十五隻)
商場運上:△六万両
試合興行:△十八万両
小計  :△二百四十五万千二百両

藩士扶持:▲六万四千三百二十両(一万二千兵)
旧薩摩藩:▲三十一万八千(五万兵)
野非人 :▲五十五万両
食費役費:▲二十四万八千両
鉄砲部品:▲八千両(五千丁)
小銃生産:▲四万両(ドライゼ銃五千丁)
(鉄砲部品:五千丁分一万両)
玉薬代 :▲五万両
鍛冶職 :▲二万両(日本刀、槍、鏃)
練炭  :▲五千両
豆炭  :▲五千両
七輪  :▲一万両
陶磁器 :▲二万両
反射高炉:▲二万四千両(川崎二炉一基を六基)
艦艇修理:▲一万両(百隻)
快速丸 :▲五千両(五十トン十隻×五百両)
迅速丸 :▲一万両(百トン十隻×千両)
三十六門フリゲート艦:▲七千両(三百五十トン二艦×三千五百両)
小計  :▲百三十九・四千三百二十両

総計  :△百五万六千八百八十両

「現有戦力」
反射高炉:高須藩・独立四炉を四基
反射高炉:江戸韮山二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩釧路二炉一基を二基)
反射高炉:松前藩網走二炉一基を二基)
反射高炉:松前藩石狩二炉一基を二基)
反射高炉:松前藩小樽二炉一基を二基)
三十六門フリゲート艦:二艦
快速丸 :五十トン=二十隻
迅速丸 :百トン=二十隻
合の子船:百七十四隻
火縄銃 :一万三千丁
後装火縄銃:二千丁
ドライゼ銃:八千丁
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

王子は婚約破棄をし、令嬢は自害したそうです。

七辻ゆゆ
ファンタジー
「アリシア・レッドライア! おまえとの婚約を破棄する!」 公爵令嬢アリシアは王子の言葉に微笑んだ。「殿下、美しい夢をありがとうございました」そして己の胸にナイフを突き立てた。 血に染まったパーティ会場は、王子にとって一生忘れられない景色となった。冤罪によって婚約者を自害させた愚王として生きていくことになる。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...