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家督継承後

第45話一八二六年、武士の情けと出費と収支

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「中納言殿、彼らを召し抱えてやってもらえないだろう。
 このままでは娘を身売りしなければいけない者が出てくる。
 斬り取り強盗をせねばならない者も出てくる。
 薩摩大隅に残って郷士や百姓になる事も許さないというのなら、松前藩で召し抱えてやって欲しい。
 どうかこの通りだ」

 島津斉宣が深々と頭を下げる。
 俺にだって情はある。
 前世の薩摩藩には、日本の道を誤らせた責任があるとは思う。
 だが今生では、まだその罪を犯していない薩摩藩の者達を、史実を知っているからと事前に陥れた事に罪の意識はある。

 元薩摩藩士が、生きていくために娘を売るとか、民を襲って金品を奪うようになると言われたら、責任をとるべきだと思ってしまう。
 それに、前世の視点も俺個人のもので、間違いだと思っている者もいる。
 まして家を潰された島津斉宣に頭を下げられたら、複雑な心境になる。

「分かりました。
 松前松平家に仕官したいというのなら、若党鉄砲隊として迎えましょう。
 しかし開拓にも従事して頂きますよ。
 蝦夷や樺太で原生林を切り出し、原野を農地に変えて頂く事になります。
 そんな役目でも仕官してくれますか」

「全員とは申しませんが、微禄の下級藩士は仕官を希望するはずです。
 どうか宜しく御願いします」

 正直元薩摩藩士が何人仕官に来てくれるか分からなかった。
 だが困った事に、六万人の元薩摩藩士の内、五万人が仕官にやってきた。
 彼らが謀叛を起こしたら、俺も厳罰に処せられてしまう。
 だが、島津斉宣と島津斉彬が、元薩摩藩士に俺に忠誠を尽すように命じてくれたので、事なきを得た、と思う。

「一八二五年の松前松平家収支」

備蓄金 :△△五百三十八万三千七百二十両

北前船 :△二十二万二千両(七十四隻分)
北前船 :△百万両(百隻は船団を組み清国や東南アジア)
北前船 :△八万九千二百両(自家以外の二百二十三隻運上金)
快速丸 :△三十万両(十五隻)
迅速丸 :△六十万両(十五隻)
商場運上:△六万両
試合興行:△十八万両
小計  :△二百四十五万千二百両

藩士扶持:▲六万四千三百二十両(一万二千兵)
旧薩摩藩:▲三十一万八千(五万兵)
野非人 :▲五十五万両
食費役費:▲二十四万八千両
鉄砲部品:▲八千両(五千丁)
小銃生産:▲四万両(ドライゼ銃五千丁)
(鉄砲部品:五千丁分一万両)
玉薬代 :▲五万両
鍛冶職 :▲二万両(日本刀、槍、鏃)
練炭  :▲五千両
豆炭  :▲五千両
七輪  :▲一万両
陶磁器 :▲二万両
反射高炉:▲二万四千両(川崎二炉一基を六基)
艦艇修理:▲一万両(百隻)
快速丸 :▲五千両(五十トン十隻×五百両)
迅速丸 :▲一万両(百トン十隻×千両)
三十六門フリゲート艦:▲七千両(三百五十トン二艦×三千五百両)
小計  :▲百三十九・四千三百二十両

総計  :△百五万六千八百八十両

「現有戦力」
反射高炉:高須藩・独立四炉を四基
反射高炉:江戸韮山二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩函館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩福山館二炉一基を二基
反射高炉:松前藩釧路二炉一基を二基)
反射高炉:松前藩網走二炉一基を二基)
反射高炉:松前藩石狩二炉一基を二基)
反射高炉:松前藩小樽二炉一基を二基)
三十六門フリゲート艦:二艦
快速丸 :五十トン=二十隻
迅速丸 :百トン=二十隻
合の子船:百七十四隻
火縄銃 :一万三千丁
後装火縄銃:二千丁
ドライゼ銃:八千丁
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