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2章

41話

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「アルフィン殿。
 この度は政治的な駆け引きで私が夫になった。
 色々と思う所はあるだろうが、私としては、恋していた貴女と結婚できたことを、心からうれしく思っている。
 私には母国のしがらみもあるが、できる限り誠意をもって配偶者の務めを果たす。
 幾久しく宜しく頼む」

「こちらこそ、このような厳しい状況でよく婿に来て下さいました。
 ホワイト王家も王国も、心から感謝しております。
 私も民や貴族のしがらみがありますが、できる限り誠意をもって配偶者の務めを果たさせていただきます。
 幾久しく宜しくお願いします」

 何とも堅苦しい初夜ですね。
 しかもすべての会話とこの後の初夜の状況を、家臣に見られなければなりません。
 まあ、まだ見張るのが女性なのが救いでしょう。
 私が乙女であることと、既に妊娠していない事。
 後継者が生まれるまで不貞行為をしていない事を証明する為に、ドレイク王国から女官が送られてきています。

 まあ、これは、私がリアムの正室として嫁いでいても、ベイリー王家の女官が同じ事をしていたでしょう。
 王族や高位貴族の婚姻は、家同士の繋がりであり、貴族家の血を残す事が最優先ですから、相互の見張りが常識なのです。
 ちゃんと跡継ぎさえももうければ、妊娠さえしなければ浮気が自由なのも、王族や高位貴族の常識でもあります。

 私の場合も女王に戴冠すれば、教会の讒言さえ気にしなければ、幾人もの王配を婿として迎える事が可能です。
 男性の王に比べて、女王はもうけられる子供の数が限られています。
 大陸の歴代王の中には、認知されただけで百数十人もの子供をもうけた、色に濃い王がいます。
 認知されていない不貞不義の子供を入れたら、五百を超えたという伝説までありますが、女王は自分の腹から子供を生まねばならないので、十人が精々でしょう。

「摂政殿下。
 公爵閣下。
 そろそろ御願致します」

 考えすぎていました。
 ドレイク王国の女官が焦れてしまっています。
 そんなに焦らないで欲しいモノです。
 堂々とは装っていますが、私も初めての事ですから、覚悟が必要なのです。
 私に比べて、ハンザ殿が堂々としているのが腹立たしい限りです。
 いっそ今日は拒否してしまいましょうか?

「アルフィン殿。
 母国との関係があるから、義父王陛下か我らに後継者が生まれるまでは無理だが、後継者が生まれたら好きな男を新たな王配に迎えてくれて構わない。
 私は恋が適ってうれしいが、アルフィン殿には義務でしかないのだろう……」

 私はそんな不義理ではありません!
 大声で叫びたいですが、せっかくハンザ殿が墓穴を掘ってくれたのだから、自分の名誉よりも王家王国の利益を優先しなければならない。
 とにかく子供をもうける事です。
 父上でも構いません。
 内紛の原因にもなってしまいますが、今は多くの国との縁が必要です。
 後の世で色情狂と誹られても、多くの子供を生んで見せましょう。
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