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2章
36話
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「アルフィン摂政殿下。
この度は格段の御配慮と厚遇を賜り、感謝に言葉もございません」
「いえいえ、全ては我が国のためにやった事です。
国のために必要ならば、極悪非道も厭いません。
それは、ガブリエル殿下もグレイソン殿下も同じでしょ?」
私の言葉に二人とも神妙な態度でうなずいてくれています。
私は重臣と有力貴族を集めて、今の王国の状況を包み隠さず話しました。
父王陛下と私が選んだ重臣は、既に状況を理解していました。
状況が分かっていなかったのは、わずかな貴族だけでした。
ですから、私が権力を強めるために摂政に就任すると言っても、表立って反対する者はいませんでした。
ですが不安を感じた者は結構多かったです。
父王陛下が既に身罷っている可能性を考えたのです。
まあ、それくらいの可能性を考慮してくれる者でなければ、何の役にも立ちませんので、むしろ安心出来ました。
その場でゲラン王国の野望を伝え、国内の結束を命じるとともに、ミルドレッド王国との同盟が必要不可欠だと説明しました。
全ての重臣と多くの有力貴族が理解してくれました。
だからと言って、必ずホワイト王家のために戦ってくれる訳ではありません。
自家を護ることが貴族家の最優先事項であることは、先のホワイト家とベイリー旧王家の争いでも明らかです。
さらにベイリー旧王家の待遇改善による国内貴族結束強化と、ベイリー旧王家を加えた婚姻政策による、ミルドレッド王国とマイヤー王国とホワイト王国の三カ国防衛同盟計画を話しました。
これも全ての重臣と多くの有力貴族が理解してくれましたが、ホワイト王国のために動いてくれるとは限りません。
家を護る為ならば、ゲラン王国に内通する事も厭わないのが貴族家と言うモノなのは、つい先日まで侯爵家だったホワイト家が誰よりも実感しています。
だからこそ、最低でも負けない体制を築かなければなりません。
なにもゲラン王国に攻め込み、領土を切り取る力が必要な訳ではないのです。
負けない体制さえ築ければいいのです。
それも一国で築く必要もないのです。
隣国の助力で国を保てる体制でも構わないのです。
その為に、こうしてガブリエル殿下とグレイソン殿下を招き、国内貴族にマイヤー王国との友好関係をアピールしているのです。
連日の舞踏会開催で多大な費用が必要ですが、この後もベイリー旧王家、ミルドレッド王国、マイヤー王国、ドレイク王国を招いた舞踏会の予定を、国内外の王家貴族家に知らしめることで、対ゲラン王国同盟に向けてホワイト王国が動いていることを、積極的にアピールしなければいけないのです。
この度は格段の御配慮と厚遇を賜り、感謝に言葉もございません」
「いえいえ、全ては我が国のためにやった事です。
国のために必要ならば、極悪非道も厭いません。
それは、ガブリエル殿下もグレイソン殿下も同じでしょ?」
私の言葉に二人とも神妙な態度でうなずいてくれています。
私は重臣と有力貴族を集めて、今の王国の状況を包み隠さず話しました。
父王陛下と私が選んだ重臣は、既に状況を理解していました。
状況が分かっていなかったのは、わずかな貴族だけでした。
ですから、私が権力を強めるために摂政に就任すると言っても、表立って反対する者はいませんでした。
ですが不安を感じた者は結構多かったです。
父王陛下が既に身罷っている可能性を考えたのです。
まあ、それくらいの可能性を考慮してくれる者でなければ、何の役にも立ちませんので、むしろ安心出来ました。
その場でゲラン王国の野望を伝え、国内の結束を命じるとともに、ミルドレッド王国との同盟が必要不可欠だと説明しました。
全ての重臣と多くの有力貴族が理解してくれました。
だからと言って、必ずホワイト王家のために戦ってくれる訳ではありません。
自家を護ることが貴族家の最優先事項であることは、先のホワイト家とベイリー旧王家の争いでも明らかです。
さらにベイリー旧王家の待遇改善による国内貴族結束強化と、ベイリー旧王家を加えた婚姻政策による、ミルドレッド王国とマイヤー王国とホワイト王国の三カ国防衛同盟計画を話しました。
これも全ての重臣と多くの有力貴族が理解してくれましたが、ホワイト王国のために動いてくれるとは限りません。
家を護る為ならば、ゲラン王国に内通する事も厭わないのが貴族家と言うモノなのは、つい先日まで侯爵家だったホワイト家が誰よりも実感しています。
だからこそ、最低でも負けない体制を築かなければなりません。
なにもゲラン王国に攻め込み、領土を切り取る力が必要な訳ではないのです。
負けない体制さえ築ければいいのです。
それも一国で築く必要もないのです。
隣国の助力で国を保てる体制でも構わないのです。
その為に、こうしてガブリエル殿下とグレイソン殿下を招き、国内貴族にマイヤー王国との友好関係をアピールしているのです。
連日の舞踏会開催で多大な費用が必要ですが、この後もベイリー旧王家、ミルドレッド王国、マイヤー王国、ドレイク王国を招いた舞踏会の予定を、国内外の王家貴族家に知らしめることで、対ゲラン王国同盟に向けてホワイト王国が動いていることを、積極的にアピールしなければいけないのです。
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