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2章

21話

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「本日只今より私が宰相になります。
 同時に大将軍にも就任します。
 そう心得るように」

 翌日直ぐに王都にいる全貴族と重臣を集め、私が宰相に就任すると宣言しました。
 有力貴族にも重臣にも一切相談しませんでした。
 普通なら根回しが必要なのでしょう。
 私もそう思いますが、今回は別です。
 父上様が衰えている事は絶対に悟られるわけにはいきません。
 同時に、今回の件は神速で決めなければいけない大事なのです。
 愚かな貴族や重臣と図って時間を浪費する訳には参りません。

「聞いてる者もいると思いますが、昨日港にマイヤー王国の王子が二人もやってきました。
 私の婿候補で、直接会って人柄を確認して欲しいそうです」

 派閥同士で集まっていた貴族や重臣がザワザワと話しだします。
 私語は禁止しているのですが、余りに衝撃的な内容に、他の者の考えを聞かずにはおられないのでしょう。
 情けない話です!
 いや、仕方がないのかもしれません。
 私の婿話は、この国では最優先事項の一つなのですから。

「静まりなさい!
 私はこの二人は人質だと思っています。
 マイヤー王国では、人質を差し出したくなるような重大事が起きているのです。
 恐らくですが、二カ国以上の軍事同盟に挟撃されているのでしょう。
 その一国はゲラン王国である可能性が高いと思っています。
 隣国が戦争を始める可能性があるのです。
 今から即応体制を整えなければなりません」

 一旦静かになった謁見場が再び喧騒に包まれました。
 今回は仕方がありません。
 隣国のゲラン王国が戦争を始める可能性があると聞いたのですから、黙っていろと言っても無理な話です。
 我が国は専制君主国家ではないのです。
 貴族連合と言った方が適切な状態なのです。
 まあ、ホワイト王家の軍事力と経済力は、前王家以上ではあるのですが。

「御恐れながら御聞きさせていただきます。
 それと姫君が宰相と大将軍に就任する事に、どういう関係があるのでしょうか?」

 前王国時代から重臣を務めるレイスリー宮中伯が質問してきました。
 いい度胸です。
 いなくては困る財務官ではありますが、前王家との関係から、僅かなしくじりでも処罰される可能性があるのです。
 このような緊急の場面で、ホワイト王家が権力を強化しようと動いているのに、先頭を切ってそれに異を唱えるなど、並みの度胸ではありません。

「ホワイト王家の直属軍は、父王陛下が直卒すべく、臨戦態勢を整えています。
 ですが一方面から攻めてくるとは限りません。
 ゲラン王国に呼応して、他方面の国が侵攻してくるかもしれません。
 その時の為に、今の内から貴族諸侯軍を統合して指揮する者を決めなければなりません。
 前回の戦いでは、私が貴族諸侯を率いました。
 ですから今回も、私が指揮するほうが貴族諸侯も受け入れやすい多考えたのです。
 分かりましたか」
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