22 / 69
2章
21話
しおりを挟む
「本日只今より私が宰相になります。
同時に大将軍にも就任します。
そう心得るように」
翌日直ぐに王都にいる全貴族と重臣を集め、私が宰相に就任すると宣言しました。
有力貴族にも重臣にも一切相談しませんでした。
普通なら根回しが必要なのでしょう。
私もそう思いますが、今回は別です。
父上様が衰えている事は絶対に悟られるわけにはいきません。
同時に、今回の件は神速で決めなければいけない大事なのです。
愚かな貴族や重臣と図って時間を浪費する訳には参りません。
「聞いてる者もいると思いますが、昨日港にマイヤー王国の王子が二人もやってきました。
私の婿候補で、直接会って人柄を確認して欲しいそうです」
派閥同士で集まっていた貴族や重臣がザワザワと話しだします。
私語は禁止しているのですが、余りに衝撃的な内容に、他の者の考えを聞かずにはおられないのでしょう。
情けない話です!
いや、仕方がないのかもしれません。
私の婿話は、この国では最優先事項の一つなのですから。
「静まりなさい!
私はこの二人は人質だと思っています。
マイヤー王国では、人質を差し出したくなるような重大事が起きているのです。
恐らくですが、二カ国以上の軍事同盟に挟撃されているのでしょう。
その一国はゲラン王国である可能性が高いと思っています。
隣国が戦争を始める可能性があるのです。
今から即応体制を整えなければなりません」
一旦静かになった謁見場が再び喧騒に包まれました。
今回は仕方がありません。
隣国のゲラン王国が戦争を始める可能性があると聞いたのですから、黙っていろと言っても無理な話です。
我が国は専制君主国家ではないのです。
貴族連合と言った方が適切な状態なのです。
まあ、ホワイト王家の軍事力と経済力は、前王家以上ではあるのですが。
「御恐れながら御聞きさせていただきます。
それと姫君が宰相と大将軍に就任する事に、どういう関係があるのでしょうか?」
前王国時代から重臣を務めるレイスリー宮中伯が質問してきました。
いい度胸です。
いなくては困る財務官ではありますが、前王家との関係から、僅かなしくじりでも処罰される可能性があるのです。
このような緊急の場面で、ホワイト王家が権力を強化しようと動いているのに、先頭を切ってそれに異を唱えるなど、並みの度胸ではありません。
「ホワイト王家の直属軍は、父王陛下が直卒すべく、臨戦態勢を整えています。
ですが一方面から攻めてくるとは限りません。
ゲラン王国に呼応して、他方面の国が侵攻してくるかもしれません。
その時の為に、今の内から貴族諸侯軍を統合して指揮する者を決めなければなりません。
前回の戦いでは、私が貴族諸侯を率いました。
ですから今回も、私が指揮するほうが貴族諸侯も受け入れやすい多考えたのです。
分かりましたか」
同時に大将軍にも就任します。
そう心得るように」
翌日直ぐに王都にいる全貴族と重臣を集め、私が宰相に就任すると宣言しました。
有力貴族にも重臣にも一切相談しませんでした。
普通なら根回しが必要なのでしょう。
私もそう思いますが、今回は別です。
父上様が衰えている事は絶対に悟られるわけにはいきません。
同時に、今回の件は神速で決めなければいけない大事なのです。
愚かな貴族や重臣と図って時間を浪費する訳には参りません。
「聞いてる者もいると思いますが、昨日港にマイヤー王国の王子が二人もやってきました。
私の婿候補で、直接会って人柄を確認して欲しいそうです」
派閥同士で集まっていた貴族や重臣がザワザワと話しだします。
私語は禁止しているのですが、余りに衝撃的な内容に、他の者の考えを聞かずにはおられないのでしょう。
情けない話です!
いや、仕方がないのかもしれません。
私の婿話は、この国では最優先事項の一つなのですから。
「静まりなさい!
私はこの二人は人質だと思っています。
マイヤー王国では、人質を差し出したくなるような重大事が起きているのです。
恐らくですが、二カ国以上の軍事同盟に挟撃されているのでしょう。
その一国はゲラン王国である可能性が高いと思っています。
隣国が戦争を始める可能性があるのです。
今から即応体制を整えなければなりません」
一旦静かになった謁見場が再び喧騒に包まれました。
今回は仕方がありません。
隣国のゲラン王国が戦争を始める可能性があると聞いたのですから、黙っていろと言っても無理な話です。
我が国は専制君主国家ではないのです。
貴族連合と言った方が適切な状態なのです。
まあ、ホワイト王家の軍事力と経済力は、前王家以上ではあるのですが。
「御恐れながら御聞きさせていただきます。
それと姫君が宰相と大将軍に就任する事に、どういう関係があるのでしょうか?」
前王国時代から重臣を務めるレイスリー宮中伯が質問してきました。
いい度胸です。
いなくては困る財務官ではありますが、前王家との関係から、僅かなしくじりでも処罰される可能性があるのです。
このような緊急の場面で、ホワイト王家が権力を強化しようと動いているのに、先頭を切ってそれに異を唱えるなど、並みの度胸ではありません。
「ホワイト王家の直属軍は、父王陛下が直卒すべく、臨戦態勢を整えています。
ですが一方面から攻めてくるとは限りません。
ゲラン王国に呼応して、他方面の国が侵攻してくるかもしれません。
その時の為に、今の内から貴族諸侯軍を統合して指揮する者を決めなければなりません。
前回の戦いでは、私が貴族諸侯を率いました。
ですから今回も、私が指揮するほうが貴族諸侯も受け入れやすい多考えたのです。
分かりましたか」
0
お気に入りに追加
1,882
あなたにおすすめの小説
大切なあのひとを失ったこと絶対許しません
にいるず
恋愛
公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、王太子の思い人の命を脅かした罪状で、毒杯を飲んで死んだ。
はずだった。
目を開けると、いつものベッド。ここは天国?違う?
あれっ、私生きかえったの?しかも若返ってる?
でもどうしてこの世界にあの人はいないの?どうしてみんなあの人の事を覚えていないの?
私だけは、自分を犠牲にして助けてくれたあの人の事を忘れない。絶対に許すものか。こんな原因を作った人たちを。
婚約者を幼馴染にとられた公爵令嬢は、国王陛下に溺愛されました
佐倉ミズキ
恋愛
ダミア王国でも美しいと有名な公爵令嬢セシリアは、幼馴染でソフィアナに婚約者ガルを寝取られた。
お腹には子供までいるという。ソフィアナの計画的犯行だった。
悔しかったが、取り乱すところを見せたくなかったセシリアは笑顔で二人を送り出す。。
傷心の中、領土内にあった王宮病院に慰問へ行く。
そこで、足を怪我した男性と出会い意気投合した。
それから一月後。
王宮から成人を祝うパーティーが開かれるとのことでセシリアはしぶしぶ参加することになった。
やはりそこでも、ソフィアナに嫌味を言われてしまう。
つい、言い返しそうななったその時。
声をかけてきたのはあの王宮病院で出会った男性だった。
彼の正体はーー……。
※カクヨム、ベリーズカフェにも掲載中
悪役令嬢は、いつでも婚約破棄を受け付けている。
ao_narou
恋愛
自身の愛する婚約者――ソレイル・ディ・ア・ユースリアと平民の美少女ナナリーの密会を知ってしまった悪役令嬢――エリザベス・ディ・カディアスは、自身の思いに蓋をしてソレイルのため「わたくしはいつでも、あなたからの婚約破棄をお受けいたしますわ」と言葉にする。
その度に困惑を隠せないソレイルはエリザベスの真意に気付くのか……また、ナナリーとの浮気の真相は……。
ちょっとだけ変わった悪役令嬢の恋物語です。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
悪役令嬢より取り巻き令嬢の方が問題あると思います
蓮
恋愛
両親と死別し、孤児院暮らしの平民だったシャーリーはクリフォード男爵家の養女として引き取られた。丁度その頃市井では男爵家など貴族に引き取られた少女が王子や公爵令息など、高貴な身分の男性と恋に落ちて幸せになる小説が流行っていた。シャーリーは自分もそうなるのではないかとつい夢見てしまう。しかし、夜会でコンプトン侯爵令嬢ベアトリスと出会う。シャーリーはベアトリスにマナーや所作など色々と注意されてしまう。シャーリーは彼女を小説に出て来る悪役令嬢みたいだと思った。しかし、それが違うということにシャーリーはすぐに気付く。ベアトリスはシャーリーが嘲笑の的にならないようマナーや所作を教えてくれていたのだ。
(あれ? ベアトリス様って実はもしかして良い人?)
シャーリーはそう思い、ベアトリスと交流を深めることにしてみた。
しかしそんな中、シャーリーはあるベアトリスの取り巻きであるチェスター伯爵令嬢カレンからネチネチと嫌味を言われるようになる。カレンは平民だったシャーリーを気に入らないらしい。更に、他の令嬢への嫌がらせの罪をベアトリスに着せて彼女を社交界から追放しようともしていた。彼女はベアトリスも気に入らないらしい。それに気付いたシャーリーは怒り狂う。
「私に色々良くしてくださったベアトリス様に冤罪をかけようとするなんて許せない!」
シャーリーは仲良くなったテヴァルー子爵令息ヴィンセント、ベアトリスの婚約者であるモールバラ公爵令息アイザック、ベアトリスの弟であるキースと共に、ベアトリスを救う計画を立て始めた。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ジャンルは恋愛メインではありませんが、アルファポリスでは当てはまるジャンルが恋愛しかありませんでした。
婚約破棄されたおっとり令嬢は「実験成功」とほくそ笑む
柴野
恋愛
おっとりしている――つまり気の利かない頭の鈍い奴と有名な令嬢イダイア。
周囲からどれだけ罵られようとも笑顔でいる様を皆が怖がり、誰も寄り付かなくなっていたところ、彼女は婚約者であった王太子に「真実の愛を見つけたから気味の悪いお前のような女はもういらん!」と言われて婚約破棄されてしまう。
しかしそれを受けた彼女は悲しむでも困惑するでもなく、一人ほくそ笑んだ。
「実験成功、ですわねぇ」
イダイアは静かに呟き、そして哀れなる王太子に真実を教え始めるのだった。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる