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2章

18話

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「父王陛下。
 私が密偵を率いてマイヤー王国に乗り込みましょう。
 自身の眼で全てを確かめれば、何の心配もございません。
 どうか許可願います!」

「アルフィン!」

 覚悟願います、父上様。
 もう一年も経っているのです。
 何時までの逡巡は許されないのです
 母上様も父上様が側室を迎える覚悟をされておられます。
 その事は何度も御聞きになっているはずです。
 既に何度も口にした事ですから、他に誰もいない密室とは言え、これ以上繰り返して、父上様の権威を貶めるような事を口にする事はできません。

「分かった。
 アルフィンの言いたいことは分かった。
 これ以上余が愚図愚図していたら、その方なら本当に実行するだろう。
 その方を国外に出すわけにはいかない。
 いや、この城から出す事も危険だ。
 色々と鬱憤は溜まっているだろうが、これまで通り城に籠っていてくれ」

 父上様の申される通りです。
 王家唯一の後継者である私を殺せば、王家の未来は閉ざされてしまいます。
 最悪前王家の生き残りを王位につける方法もありますが、国内貴族が紛糾するのは目に見えており、他国の侵攻を招くのは明らかです。
 王家に近かった国内貴族の中には、第二王子だったメイソンを私の婿に推薦する者もいますが、私がどうにもその気になれません。

 メイソンはずっと弟になると思っていた存在です。
 そんなメイソンを婿にして、閨を供にするのは気持ちが悪いのです。
 王女となった以上、気持ちを押し殺して、王家王国に有利になる事を第一に考えなければいけない事は理解しています。
 だからこそ、父上様も私のメイソン案を無碍に却下はしていません。
 ですができる事なら、他の人を婿に迎えたいのです。

「分かっております。
 父上様に新たな御子が生まれるまでは、城から出る事は諦めます。
 その代わり覚悟を決めて頂けますね」

「分かっている。
 ようやく踏ん切りがついた。
 これ以上愚図愚図していたら、先年のようにアルフィンが暴走してしまう。
 もう二度とあのような事は御免だ。
 もう一国併合されたら、それこそ心労で死んでしまうわ」

「なんて酷い事を申されるのですか。
 あれはリアムとマリーと前王が悪かったのです。
 私に落ち度はございません。
 隣国を巻き込んでの併合など、起こるはずないではありませんか。
 ですが、父上様がこれ以上愚図愚図しておられるなら、私が動きます。
 勘でしかありませんが、ゲラン王国とマイヤー王国の間には何かありそうです。
 直接この目で確かめるべき状況のような気がします」

「それは絶対に許さんと言ったであろう。
 とは言え、口で言うだけではアルフィンを抑える事はできないのも分かっておる。
 アルフィンの献策通り。元王家密偵をマイヤー王国に送り込む。
 ゲラン王国に送り込んでいる密偵にも、支援の密偵を送る。
 それでよいな?」
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