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2章

17話

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「問題は誰を調査に送るかだが、人手が足らん。
 能力があって信頼できる者は限られている。
 これ以上王族の周りから引き抜けば、身の安全が確保できなくなる。
 アルフィンはどう考える?」

 父上様の申される通りです。
 私の婿と父上様の側室を送り込もうとしている王家と国内貴族に、数多くの密偵を送り込みました。
 その数は元々侯爵家であるホワイト王家には大きな負担です。
 ホワイト侯爵家は並の王家に匹敵する豊かさでしたが、家臣の数では長年王家として君臨してきた家とは比べようがありません。

「前王家の密偵を活用しましょう。
 前王家を打倒してもう一年です。
 我々に忠誠を誓う者も出てきています。
 ここで功名をあげる機会を与えるべきでしょう」

「そういう考えもあるだろうが、他国に潜入するのは命懸けだ。
 功名の機会を与えられたと考える者もいれば、使い捨てにされると考える者いるだろう。
 中には潜入した国の有力者と接触し、前王家の再興を企む者がいるかもしれない。
 その危険にはどう対処するのだ?」

 確かに父上様の考えも分かります。
 ですが、人手がない以上仕方がありません。
 今使える者を使いながら、本当に信頼できる者を見極めるしかありません。

「父上様の申される通りですが、人手がない以上仕方ありません。
 ある程度調査の済んだ国や国内貴族に送っていた密偵を引き上げて、新たな密偵と交代させる方法もあります。
 情報を確認する意味でも、違う人間に調べさせる事も大切です。
 前任者に連絡を取り、前王家の者に引き継いでも大丈夫と報告した来た者だけ交代させましょう。
 マイヤー王国には、できるだけ早く多くの密偵を送らなければなりません。
 送り込む密偵には、本人以外にも多くの密偵を送り込むと知らせておいて、偽りの情報を報告したら処分すると教えましょう」

 父上様が真剣に考えておられます。
 領地持ち貴族としては、元々飛び抜けて優秀な方でした。
 小国にも匹敵する広大な侯爵領を、先代以上に豊かに繁栄させた名侯爵です。
 侯爵にもかかわらず、前王家や交易相手の他国王家とも一歩も引けを取らない交渉をされておられたのです。
 戴冠されたからと言っても、何が変わる訳でもないはずです。

 要は覚悟だけの問題なのです。
 侯爵家を護り繁栄させてきた覚悟と行いを、そのまま実行されればいいのです。
 父上様の手足を縛っているのは、王位を簒奪したと言う心の呪縛です。
 その呪縛を解くためには、私が命を賭けなければいけないのかもしれません。
 もとより父上様の為に命を賭ける覚悟はできています。
 ここは態度と行動で父上様に喝を入れるべきでしょう。
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