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アムラ王国・テトラ街
ダルダーロ一家の事情
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「ミノル様、本当によろしいのでしょうか?」
「貴方! 何度も確認する方が失礼ですよ、さっきお聞きしたばかりではありませんか!」
「でもなあ、お前、まだ冒険者としての登録もしていないエルマとカルロまでレベリングさせていただくなんて、図々しいにもほどがあるじゃないか」
「エルマは見習いを始めるには歳が行き過ぎていますし、カルロは少々幼すぎます。でも私達がテトラとこの村を往復する留守の間は、2人がアイーダとクリスを守ることになるのですよ、ある程度のレベルにまで訓練するのは当然です!」
「だがなあ、お前、見習い冒険者達がいるし、何より御神木様がおられるじゃないか」
「貴方は村での出来事をもう忘れたのですか! 誰かを頼るのは止めなさい、家族で出来ることは家族でやるのです!」
「でもなあ~」
「ダルダーロさん、ラーラさんの言われる事がもっともですよ。それに見習村の運営は、御神木様が判断して下さいます。もし御神木様がエルマとカルロへのレベリングが駄目と判断されたなら、獲物が運ばれてきませんから安心して下さい、大丈夫ですよ」
「そらごらんなさい、ミノル様もよいと言って下さっているじゃありませんか」
「わかったよ、もう言わないでくれよ」
「では今日も送り迎え頼みましたよ」
「「はい、お任せ下さい!」」
未明からのレベリングを終えたダルダーロさん一家は、夫婦でテトラの新人を指導する班を指揮して出て行った。そして昨日テトラの新人達を指導した班を、ダルダーロさん夫婦は連れて帰ってきてくれるのだが、その時に色々な物資を買って帰ってくれる。
その購入リストの中には、麺も大量にあるのだが、その理由は昨日作ってあげた魔獣肉の塩焼きそばが大好評で、見習村の定番料理に取り入れることになったからだ。ソースや醤油があればいいのだが、ない以上塩と香草を組み合わせて試行錯誤するしかない。
(それでどうするのだ?)
(リーナの事だな)
(ああ、今まで通り班に加えて訓練させるのか、ダルダーロ一家として訓練させるかだ)
(正直迷うね、生活の柱としては2つ有った方がいい。リーナが班員として独立して稼ぎ、何かあった場合は家族を支援出来るようにする。リーナにパートナーが現れて、独立した家庭を築く時にも影響が少ないからね)
(だがミノルの本心は家族を大切にしたいのだろう)
(まあな、家族で助け合って生きて行くのが俺の理想ではあるんだよね)
(エルマ、リーナ、カルロなどがそれぞれパートナを得て、パートナーを加えた大きなパーティーとして発展するか、揉めて分裂するか、人族の多くは揉めて分裂するようだが)
(そうだな、だからこそ一家で結束してくれるのが理想なんだけどね)
(それで結局どうするのだ?)
(ラーラさんに任せるよ、あの一家はラーラさんの判断に任せた方が丸く収まると思うよ)
(それがよかろう、よく判断したな)
(家族の問題にくちばしを入れて、余計な気苦労などしたくないからね)
(それで何時ビランに行くのだ?)
(そうだな、村の外での狩りが成功してからだな。実戦経験を養うのなら、村の中のレベリングと同時に、ラーラさん指揮の村外狩りも同じくらいやった方がいい)
(確かにそうだが、それが終わるまで見守ってやるのか、ずいぶん親切だな)
(俺が留守の間に見習の誰かが死んでだりしたら、精神的に辛いからな)
(精神的に弱いな)
(そうだよ、悪かったな!)
「エルマ、麻痺魔法です」
「はい」
「貴方!」
「任せろ!」
「エイ!」
「御師匠様、エルマ殿は凄いですね、あっという間に魔法を覚えてしまわれました」
「そうだなイルオン、やはり母親が魔法使いだと魔法の素質も受け継がれるのかもしれないな」
「家族パーティとは言え、1つのパーティーに2人も魔法使いがいるのは羨ましい限りです」
「そうだな、だがまだエルマには村外に出れるほど実戦経験はないからな」
「それは私達も同じでございます。御師匠様に助けて頂くまでは、雑用しかさせてもらえず、全く経験など積めませんでした」
「それは違うぞイルオン、お前達は辛い思いをしながら見学し続けていた、眼で見た知識が蓄積されているよ」
「有難うございます御師匠様、そう言って頂ければあの頃の自分も救われます」
「これからは眼で見た知識を実戦で確かめ、レベリングで得た力と一致させる事で、自分達の血肉にしていけばいいんだよ」
「はい! 必ず自分達のものにして見せます!」
テトラから当番班を連れて戻ったラーラさん一家は、5人でレベリングに励んでいたが、順番を待つイルオンと見学しながら話すことにしたのだ。
重点的にレベリングさせられているのはリーナで、ずっと最後の止め役をさせられている。日の出前はエルマがその役をさせられていたのだが、その僅かな時間のレベリングで麻痺魔法を会得していた。もしリーナが魔法を会得する様なら、家族で3人の魔法使いを擁することになるから、別格の戦闘力を持つパーティーになるだろう。
「では行かせていただきます」
「うむ、励めよ」
「はい、有難うございます!」
御神木の判断で、ラーラさん一家のレベリングが終了し、イルオン達に中庭に入るように念話が届けられたのだろう。ラーラさんとダルダーロは余裕で笑みを浮かべているが、エルマ、リーナ、カルロの3人は青い顔をして肩で息をしている。レベリングをじっと見ていた、幼いアイーダとクリスがテトテトと走り寄って行く。心配だったろうに、よく泣かなかったものだ。
(心配には及ばん、分身体がずっと声掛けしておる)
(ほう、ずいぶんと優しいんだな)
(我は無垢な赤子には、常に優しいのだよ)
(へいへい、まあ御蔭でラーラさん一家もレベリングに集中できたのだろうから、よくやってくれたと思うよ)
(ふん! そんなことよりさっさとリーナをリサーチしてみろ)
(へぇ? それは、そうか! リーナが魔法を覚えたのか!?)
(さっさと自分で確かめればよかろう)
俺はセイに指摘されてリサーチでリーナを調べたのだが、確かに眠りの魔法を覚えていた。都合がいいと言うのか運がいいと言うべきかは判断が難しいが、リーナは最後のレベリングでエルマとは違う魔法を覚えていた。
「ダルダーロさんラーラさん手際がいいですね」
「お褒めに預かり光栄でございます、ミノル様」
「いい運動になりましたミノル様」
「エルマもリーナもカルロもよく頑張ったね、特にリーナは最後のレベリングで魔法を覚えたようだね」
「本当なのリーナ?」
「本当かリーナ? いやミノル様がそう言われるなら本当なのだろうな、お前?」
「それは当然ですよ貴方、では精度を上げるためにも繰り返し魔法を唱えさせなければなりません!」
「まあそれは御神木に任せようではないか、ダルダーロさんとラーラさんには村外訓練の指揮を執ってもらわないといけないからな」
「そうでございました! 私事を重視しようとしてしまい申し訳ありません。今後はこのような言動をしないように気をつけさせて頂きます」
「あ~はい、俺も気をつけます」
「まあ仕方ないさ、1度目のレベリングで魔法を覚えるなんてすばらしい事だからね。エルマと言いリーナと言い、素質に恵まれたのだから、それを生かしてあげたいと言うのは当然の親心だろう。だが弟子達の事も忘れないようにしてくれ」
「「はい、以後気を受けさせて頂きます」」
(エルマとリーナの事は我に任せるがよい)
((御神木様!))
(エルマとリーナには魔力の支援を行い、繰り返し繰り返し魔法を唱えられるようにしてやる。だから安心して村外訓練を指揮するがよい)
((有り難き幸せでございます))
(セイが指示したのか?)
(いや、分身体の独自判断だ)
(臨機応変に対応してくれるんだな)
(当然であろう、基本我も分身体も本体を通じて我に連動しておるのだ)
(うん? セイは分身体なのか?)
(いや本体だが、元々の世界の世界樹と連動しておるから、あちらを一応本体と言ううべきであろう)
(では万が一ここにいるセイが死んだとしても、世界樹として死滅する訳ではないのだな)
(そうだ、だからミノルも死ぬことはない、安心致せ)
(それは万が一の時はセイを盾にして生き残れと言う事か?)
(いやそうではない、別にミノルが先に形だけ死んだとしても、直ぐに生きかえることが出来る。分身体も含めて全ての世界樹が死滅しない限り、ミノルは復活することが出来る)
(う~ん、何か命を大切にしなくなっていきそうで怖いな)
(ただし! 復活させる分身体が記憶しているミノルと言う事になるから、場合によったらゲルマン帝国を滅亡させた直後のミノルとして蘇る可能性もある)
(おいおいおい、全部の世界樹で頻繁に俺の情報を共有してくれよ。大幅に記憶が無くなるなんて嫌だぞ)
(大袈裟に言っただけだ、以前にも同じようなニュアンスの会話をした事があるから、それ以来1日以上開けずに情報を共有するようにしておる)
(そうか、ありがとう)
(それよりも見送ってやらなくていいのか)
(そうだった!)
そうなのだ、村にいる以上は可愛い弟子達のお見送りをしてやらなければならない。ラーラさんとダルダーロさんが指揮してくれているとは言っても、俺がいないことに見習達は不安を感じているだろう。下級の安全な獲物と言うべき魔獣しか狩らない心算ではあるが、常に不測の事態が起こる可能性は有るのだ。
急いで城壁住居の屋上に駆け上がり、少し不安そうな顔をした見習達に大きく手を振ってやった。途端い笑顔になるから可愛いものだ。
(エルマとリーナの魔法精度が少し上がったぞ)
(へぇ? こんなに早く上がるものなのか?)
(魔力が尽きる心配なく繰り返し繰り返し唱えられるのだ、魔獣やモンスターを倒さないからレベルは上がらなくいが、1つ1つの魔法精度は格段に正確になる)
(魔法を覚えた見習い全員に同じ事は出来ないのか?)
(・・・・うっかりしていた)
*「カリブ海の豊臣王国・真田艦隊」と言う新作を書きました。僕としては渾身の作品で、試しに読んでいただけたら幸いです。どうかよろしくお願いします。
「貴方! 何度も確認する方が失礼ですよ、さっきお聞きしたばかりではありませんか!」
「でもなあ、お前、まだ冒険者としての登録もしていないエルマとカルロまでレベリングさせていただくなんて、図々しいにもほどがあるじゃないか」
「エルマは見習いを始めるには歳が行き過ぎていますし、カルロは少々幼すぎます。でも私達がテトラとこの村を往復する留守の間は、2人がアイーダとクリスを守ることになるのですよ、ある程度のレベルにまで訓練するのは当然です!」
「だがなあ、お前、見習い冒険者達がいるし、何より御神木様がおられるじゃないか」
「貴方は村での出来事をもう忘れたのですか! 誰かを頼るのは止めなさい、家族で出来ることは家族でやるのです!」
「でもなあ~」
「ダルダーロさん、ラーラさんの言われる事がもっともですよ。それに見習村の運営は、御神木様が判断して下さいます。もし御神木様がエルマとカルロへのレベリングが駄目と判断されたなら、獲物が運ばれてきませんから安心して下さい、大丈夫ですよ」
「そらごらんなさい、ミノル様もよいと言って下さっているじゃありませんか」
「わかったよ、もう言わないでくれよ」
「では今日も送り迎え頼みましたよ」
「「はい、お任せ下さい!」」
未明からのレベリングを終えたダルダーロさん一家は、夫婦でテトラの新人を指導する班を指揮して出て行った。そして昨日テトラの新人達を指導した班を、ダルダーロさん夫婦は連れて帰ってきてくれるのだが、その時に色々な物資を買って帰ってくれる。
その購入リストの中には、麺も大量にあるのだが、その理由は昨日作ってあげた魔獣肉の塩焼きそばが大好評で、見習村の定番料理に取り入れることになったからだ。ソースや醤油があればいいのだが、ない以上塩と香草を組み合わせて試行錯誤するしかない。
(それでどうするのだ?)
(リーナの事だな)
(ああ、今まで通り班に加えて訓練させるのか、ダルダーロ一家として訓練させるかだ)
(正直迷うね、生活の柱としては2つ有った方がいい。リーナが班員として独立して稼ぎ、何かあった場合は家族を支援出来るようにする。リーナにパートナーが現れて、独立した家庭を築く時にも影響が少ないからね)
(だがミノルの本心は家族を大切にしたいのだろう)
(まあな、家族で助け合って生きて行くのが俺の理想ではあるんだよね)
(エルマ、リーナ、カルロなどがそれぞれパートナを得て、パートナーを加えた大きなパーティーとして発展するか、揉めて分裂するか、人族の多くは揉めて分裂するようだが)
(そうだな、だからこそ一家で結束してくれるのが理想なんだけどね)
(それで結局どうするのだ?)
(ラーラさんに任せるよ、あの一家はラーラさんの判断に任せた方が丸く収まると思うよ)
(それがよかろう、よく判断したな)
(家族の問題にくちばしを入れて、余計な気苦労などしたくないからね)
(それで何時ビランに行くのだ?)
(そうだな、村の外での狩りが成功してからだな。実戦経験を養うのなら、村の中のレベリングと同時に、ラーラさん指揮の村外狩りも同じくらいやった方がいい)
(確かにそうだが、それが終わるまで見守ってやるのか、ずいぶん親切だな)
(俺が留守の間に見習の誰かが死んでだりしたら、精神的に辛いからな)
(精神的に弱いな)
(そうだよ、悪かったな!)
「エルマ、麻痺魔法です」
「はい」
「貴方!」
「任せろ!」
「エイ!」
「御師匠様、エルマ殿は凄いですね、あっという間に魔法を覚えてしまわれました」
「そうだなイルオン、やはり母親が魔法使いだと魔法の素質も受け継がれるのかもしれないな」
「家族パーティとは言え、1つのパーティーに2人も魔法使いがいるのは羨ましい限りです」
「そうだな、だがまだエルマには村外に出れるほど実戦経験はないからな」
「それは私達も同じでございます。御師匠様に助けて頂くまでは、雑用しかさせてもらえず、全く経験など積めませんでした」
「それは違うぞイルオン、お前達は辛い思いをしながら見学し続けていた、眼で見た知識が蓄積されているよ」
「有難うございます御師匠様、そう言って頂ければあの頃の自分も救われます」
「これからは眼で見た知識を実戦で確かめ、レベリングで得た力と一致させる事で、自分達の血肉にしていけばいいんだよ」
「はい! 必ず自分達のものにして見せます!」
テトラから当番班を連れて戻ったラーラさん一家は、5人でレベリングに励んでいたが、順番を待つイルオンと見学しながら話すことにしたのだ。
重点的にレベリングさせられているのはリーナで、ずっと最後の止め役をさせられている。日の出前はエルマがその役をさせられていたのだが、その僅かな時間のレベリングで麻痺魔法を会得していた。もしリーナが魔法を会得する様なら、家族で3人の魔法使いを擁することになるから、別格の戦闘力を持つパーティーになるだろう。
「では行かせていただきます」
「うむ、励めよ」
「はい、有難うございます!」
御神木の判断で、ラーラさん一家のレベリングが終了し、イルオン達に中庭に入るように念話が届けられたのだろう。ラーラさんとダルダーロは余裕で笑みを浮かべているが、エルマ、リーナ、カルロの3人は青い顔をして肩で息をしている。レベリングをじっと見ていた、幼いアイーダとクリスがテトテトと走り寄って行く。心配だったろうに、よく泣かなかったものだ。
(心配には及ばん、分身体がずっと声掛けしておる)
(ほう、ずいぶんと優しいんだな)
(我は無垢な赤子には、常に優しいのだよ)
(へいへい、まあ御蔭でラーラさん一家もレベリングに集中できたのだろうから、よくやってくれたと思うよ)
(ふん! そんなことよりさっさとリーナをリサーチしてみろ)
(へぇ? それは、そうか! リーナが魔法を覚えたのか!?)
(さっさと自分で確かめればよかろう)
俺はセイに指摘されてリサーチでリーナを調べたのだが、確かに眠りの魔法を覚えていた。都合がいいと言うのか運がいいと言うべきかは判断が難しいが、リーナは最後のレベリングでエルマとは違う魔法を覚えていた。
「ダルダーロさんラーラさん手際がいいですね」
「お褒めに預かり光栄でございます、ミノル様」
「いい運動になりましたミノル様」
「エルマもリーナもカルロもよく頑張ったね、特にリーナは最後のレベリングで魔法を覚えたようだね」
「本当なのリーナ?」
「本当かリーナ? いやミノル様がそう言われるなら本当なのだろうな、お前?」
「それは当然ですよ貴方、では精度を上げるためにも繰り返し魔法を唱えさせなければなりません!」
「まあそれは御神木に任せようではないか、ダルダーロさんとラーラさんには村外訓練の指揮を執ってもらわないといけないからな」
「そうでございました! 私事を重視しようとしてしまい申し訳ありません。今後はこのような言動をしないように気をつけさせて頂きます」
「あ~はい、俺も気をつけます」
「まあ仕方ないさ、1度目のレベリングで魔法を覚えるなんてすばらしい事だからね。エルマと言いリーナと言い、素質に恵まれたのだから、それを生かしてあげたいと言うのは当然の親心だろう。だが弟子達の事も忘れないようにしてくれ」
「「はい、以後気を受けさせて頂きます」」
(エルマとリーナの事は我に任せるがよい)
((御神木様!))
(エルマとリーナには魔力の支援を行い、繰り返し繰り返し魔法を唱えられるようにしてやる。だから安心して村外訓練を指揮するがよい)
((有り難き幸せでございます))
(セイが指示したのか?)
(いや、分身体の独自判断だ)
(臨機応変に対応してくれるんだな)
(当然であろう、基本我も分身体も本体を通じて我に連動しておるのだ)
(うん? セイは分身体なのか?)
(いや本体だが、元々の世界の世界樹と連動しておるから、あちらを一応本体と言ううべきであろう)
(では万が一ここにいるセイが死んだとしても、世界樹として死滅する訳ではないのだな)
(そうだ、だからミノルも死ぬことはない、安心致せ)
(それは万が一の時はセイを盾にして生き残れと言う事か?)
(いやそうではない、別にミノルが先に形だけ死んだとしても、直ぐに生きかえることが出来る。分身体も含めて全ての世界樹が死滅しない限り、ミノルは復活することが出来る)
(う~ん、何か命を大切にしなくなっていきそうで怖いな)
(ただし! 復活させる分身体が記憶しているミノルと言う事になるから、場合によったらゲルマン帝国を滅亡させた直後のミノルとして蘇る可能性もある)
(おいおいおい、全部の世界樹で頻繁に俺の情報を共有してくれよ。大幅に記憶が無くなるなんて嫌だぞ)
(大袈裟に言っただけだ、以前にも同じようなニュアンスの会話をした事があるから、それ以来1日以上開けずに情報を共有するようにしておる)
(そうか、ありがとう)
(それよりも見送ってやらなくていいのか)
(そうだった!)
そうなのだ、村にいる以上は可愛い弟子達のお見送りをしてやらなければならない。ラーラさんとダルダーロさんが指揮してくれているとは言っても、俺がいないことに見習達は不安を感じているだろう。下級の安全な獲物と言うべき魔獣しか狩らない心算ではあるが、常に不測の事態が起こる可能性は有るのだ。
急いで城壁住居の屋上に駆け上がり、少し不安そうな顔をした見習達に大きく手を振ってやった。途端い笑顔になるから可愛いものだ。
(エルマとリーナの魔法精度が少し上がったぞ)
(へぇ? こんなに早く上がるものなのか?)
(魔力が尽きる心配なく繰り返し繰り返し唱えられるのだ、魔獣やモンスターを倒さないからレベルは上がらなくいが、1つ1つの魔法精度は格段に正確になる)
(魔法を覚えた見習い全員に同じ事は出来ないのか?)
(・・・・うっかりしていた)
*「カリブ海の豊臣王国・真田艦隊」と言う新作を書きました。僕としては渾身の作品で、試しに読んでいただけたら幸いです。どうかよろしくお願いします。
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