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第一章
第8話:身代金(エマ視点)
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神歴五六九年睦月六日:ロイセン王国アバコーン王国大使館・エマ視点
「英雄騎士を詐称する生まれ卑しい平民!
我こそはロイセン王国第三騎士団長エルンスト・フォン・エルツ・リューベナッハである。
卑怯下劣な方法を誘拐した王子殿下を開放しろ。
そうすれば慈悲の心を持って楽に殺してやる」
大使館をぐるりと取り囲む完全武装に騎士達の中ら、ひときわ派手な深紅のフルアーマーを装備した者が大声を張り上げています。
「……あれが大陸中にその名を轟かせるリューベナッハ家のモノですか?」
英雄騎士様がうんざりとした表情を聞いて来られました。
「リューベナッハ家はそれほど有名なのですか?」
「はい、私が調べた範囲では、大陸中で名を知られています」
「どのような事で有名なのかお教えいただけますか?」
「父親はおべっかと賄賂だけでなく、部下の手柄を横取りして近衛騎士団長の地位を得た、騎士の風上にも置けない最低最悪の男だと。
息子は父親の力で騎士になり、父親と同じように部下の手柄を横取りして地位を得ている、親子揃って騎士の面汚しだと評判です」
「そうなのですね。
私、ずっと屋敷の中で暮らしていましたので、社交界の事は疎いのです。
ジョルジャはそのような噂を聞いた事がありますか?」
「はい、聞いておりました。
お嬢様の耳が汚れないように、腐った者共の話はお耳に入れないようにしておりました」
「ジョルジャ殿、粗相王子の取り巻きを取り除こうとはしていなかったのか?
エマ嬢が王妃になられる時に目障りだろう?」
「その気になれば何時でも取り除けますから、放置しておりました。
ゴート皇国に無断でロイセン王国貴族を殺すのは躊躇われました。
もう、そのような躊躇いは微塵もございませんが」
「そうですわね、お爺様の立場もありますから、勝手に殺す訳にはいきませんね」
「憶病者が!
アバコーン王国の威を借りて逃げ隠れするな!
生れ卑しい貧民とはいえ騎士を名乗っているのであろう!?
さっさと大使館から出て来て、正々堂々を勝負しろ!」
「ジョルジャ、あのように言っていますが、本当に正々堂々と戦うのでしょうか?
話を聞いていると、とても正々堂々戦うとは思えません」
「お嬢様の申される通りでございます。
あの卑怯下劣な男が正々堂々と戦う訳がありません。
部下に戦わせておいて、部下が勝ったら手柄を横取りするのでしょう」
「部下が負けたらどうするのですか?
まさか、集団で英雄騎士様を襲う心算ですか?」
「あの卑怯者なら、お嬢様の想像された通りの事をやるでしょう。
ですが、英雄騎士様が応じられなければ、その憶病を言触らす事でしょう」
「英雄騎士様、どうなされるのですか?」
「卑怯者、憶病者と言われるのは、俺自身は何とも思いません。
ですが、英雄騎士の称号を下さった、アバコーン王家の方々に対する責任がありますので、勝負に応じるつもりです」
「英雄騎士様が、あのような者共に後れを取るとは思いませんが、どのような卑怯な方法を取るか分かりません。
油断されることなく慎重に戦われてください」
「ご安心ください、エマ嬢。
俺達は普段から北竜山脈や南竜森林の奥深くで狩りをしています。
何時何処から現れる分からない竜や魔獣に比べれば、どれほど卑怯な方法であろうと、人間のやる事くらい軽々と躱してみせます」
「それが油断につながるのではありませんか、等とは申しません。
心配する事なく、心穏やかに英雄騎士様の勇姿をここから見せていただきます」
「余計な事を言うと憎まれるかもしれないのに、僅かな油断も無いように、遠回しに注意してくださるエマ嬢の想いを無駄にしたりはしません。
相手があのような軟弱者であろうと、竜の群を相手にする覚悟で戦います。
どうか安心してください」
英雄騎士様はそう口にすると、大使館の三階テラスから去って行かれました。
卑怯下劣なエルンスト第三騎士団長と戦われる覚悟をされたのです。
英雄騎士様の事を想い、嫌な事を言う鼻持ちならない女だと思われるのを覚悟で、失礼な事を言わせていただきました。
もう口に出してしまった後ですが、言い方も悪かった気がします。
もっとはっきりと率直に諫言すべきでした……私らしくない……
「お嬢様、しっかりと声援されなといけませんよ。
そのように、物思いに沈むのはお嬢様らしくありません。
何時ものように、私達が手を焼くくらい元気に振るまってください」
「もう!
そんな言い方をしたら、まるで私がお転婆なように聞こえるじゃないですか」
「お嬢様、お転婆なようにではなく、お転婆なのです」
「ジョルジャ、私は信頼できる人の前だけでしか本性は見せませんよ。
教えてくれたように、貴族令嬢らしく仮面をかぶっています」
「はぁ、本当にそうならどれほどよかったでしょう。
お嬢様の仮面は水晶でできていて、素顔が丸見えです。
しかも時々仮面をかぶるのを忘れてしまわれます」
「もう!
これでも公爵家の令嬢に相応しい態度を取ろうと気を使っているのです。
本当にお淑やかに振るまわなければいけない時にはできていますよね?」
「そうですね、お妃教育中は完璧な公爵令嬢を演じられていました。
このまま演じ切ってくだされば、万が一最悪の状況になった時に、相手の油断を誘う事ができるかもしれません。
できるだけ英雄騎士様を頼られますように」
「卑怯なふるまいなのは分かっていますが、お母様を助けるためには、実力を隠して深窓の令嬢を演じ続けなければいけないのですね」
「少なくとも武力の有る事だけは隠し続けてください」
「分かりました。
申し訳ない想いはありますが、英雄騎士様に頼らせていただきます」
「「「「「ウォオオオオオ」」」」」
大使館前に集まっていた第三騎士団の騎士達が歓声をあげています。
英雄騎士様は大使館の正面玄関から出て行かれたようです。
「英雄騎士様は、従者一人だけしか連れて出られなかったのですね。
私の忠告など耳に入らなかったのでしょうか?」
「先ほどの態度と口調からは、そのような慢心は微塵も感じられませんでした。
それだけ自分の武勇に自信があるのでしょう」
「生れ卑しい貧民らしく護衛を連れてきたか」
千の騎士と万の従騎士を引き連れて大使館を囲んでいる卑怯者が、自分の事を棚に上げて喚いています。
「ああ、万の騎士に護られている憶病者にはとても及ばないがな」
「だまれ、だまれ、黙れ!
お前のような卑しい生まれの貧民と違って、俺様は高貴な生まれなのだ。
護衛や従者なしに外出などしないのだ」
「はい、はい、はい、憶病の言い訳など聞きたくないね。
それよりさっさと王子を賭けて決闘しようじゃないか」
「くっ、くっ、くっ、くっ。
高貴な生まれの俺様が、何故生まれ卑しいお前と決闘しなければならない?
お前の相手など、同じ様な卑しい生まれのモノで十分だ。
おい、さっさと殺してしまえ。
負けたら家族がどうなるか分かっているな?!」
下から聞き捨てならない言葉が聞こえてきました。
「どういう事ですか?」
「一般の騎士団なら、平民出身者でも実力次第で騎士になれたのです。
もっとも、入団してからの差別が酷く、士族や貴族出身の騎士とは露骨に待遇を変えてきますので、多くの者は冒険者に転身してしまいます。
他国で通じるほどの実力者は、冒険者ギルドの特典を利用して、差別の少ない国に移民してしまいます。
あの者も移民する心算だったのかもしれませんが、運悪くエルンストが騎士団長になったせいで、この国から逃げ出すことができなくなったのでしょう」
「……手柄を横取りする心算で移民させないようにしているというのですか?
それも家族を人質にとって?!」
「言葉の口ぶりからすると、そうとしか思えません」
「このままでは英雄騎士様に叩きのめされてしまいます。
そんな事になったら、人質にされている家族は殺されてしまうのですか?!」
「英雄騎士様が負けるとは思われないのですか?」
「ここから身のこなしを見ただけで、実力差が分かります。
あの平民出身の騎士では、英雄騎士様の足元にも及びません。
卑怯にも周囲で奇襲の隙を伺っている屑共も同じです。
王城での英雄騎士様の動きを考えれば、何十人もの騎士が一斉に襲い掛かっても、眉一つ動かさずに皆殺しにされるでしょう」
「その通りでございます。
あのような者共が一万人集まっても、歯牙にもかけずに斃される事でしょう」
「英雄騎士様の心配はいらないのですが、平民騎士と家族が哀れです。
何とか助けてあげる事はできないでしょうか?」
「お嬢様が心配されなくても、英雄騎士様が何とかされます」
「そうなれば良いのですが、いえ、それでは英雄騎士様に負担が増え過ぎませんか?
私達の事で手一杯ではありませんか?
お世話をかけてしまっている私が言うのは不遜ですが……」
「では、英雄騎士様ではできない事をやられますか?」
「何か私にできる事があるのですか?」
「はい、あの粗相王子に婚約破棄を言い渡されたお嬢様だからできる事があります」
「少し腹が立つ言い方ですが、我慢して聞きます。
何をどうすればいいのですか?」
「英雄騎士様はアバコーン王国を代表する英雄騎士様なので、王子や公爵の身代金を請求できませんが、家を追放され婚約破棄されたお嬢様なら身代金を請求できます。
王子と公爵の身代金なら莫大な額になります。
そのお金を使って、この国を出たい者達を支援するのです」
「将来的にはいい方法だと思いますが、今目の前にいる平民騎士と家族は、この後すぐに殺されてしまうのですよ」
「「「「「ギャアアアアア」」」」」
「英雄騎士を詐称する生まれ卑しい平民!
我こそはロイセン王国第三騎士団長エルンスト・フォン・エルツ・リューベナッハである。
卑怯下劣な方法を誘拐した王子殿下を開放しろ。
そうすれば慈悲の心を持って楽に殺してやる」
大使館をぐるりと取り囲む完全武装に騎士達の中ら、ひときわ派手な深紅のフルアーマーを装備した者が大声を張り上げています。
「……あれが大陸中にその名を轟かせるリューベナッハ家のモノですか?」
英雄騎士様がうんざりとした表情を聞いて来られました。
「リューベナッハ家はそれほど有名なのですか?」
「はい、私が調べた範囲では、大陸中で名を知られています」
「どのような事で有名なのかお教えいただけますか?」
「父親はおべっかと賄賂だけでなく、部下の手柄を横取りして近衛騎士団長の地位を得た、騎士の風上にも置けない最低最悪の男だと。
息子は父親の力で騎士になり、父親と同じように部下の手柄を横取りして地位を得ている、親子揃って騎士の面汚しだと評判です」
「そうなのですね。
私、ずっと屋敷の中で暮らしていましたので、社交界の事は疎いのです。
ジョルジャはそのような噂を聞いた事がありますか?」
「はい、聞いておりました。
お嬢様の耳が汚れないように、腐った者共の話はお耳に入れないようにしておりました」
「ジョルジャ殿、粗相王子の取り巻きを取り除こうとはしていなかったのか?
エマ嬢が王妃になられる時に目障りだろう?」
「その気になれば何時でも取り除けますから、放置しておりました。
ゴート皇国に無断でロイセン王国貴族を殺すのは躊躇われました。
もう、そのような躊躇いは微塵もございませんが」
「そうですわね、お爺様の立場もありますから、勝手に殺す訳にはいきませんね」
「憶病者が!
アバコーン王国の威を借りて逃げ隠れするな!
生れ卑しい貧民とはいえ騎士を名乗っているのであろう!?
さっさと大使館から出て来て、正々堂々を勝負しろ!」
「ジョルジャ、あのように言っていますが、本当に正々堂々と戦うのでしょうか?
話を聞いていると、とても正々堂々戦うとは思えません」
「お嬢様の申される通りでございます。
あの卑怯下劣な男が正々堂々と戦う訳がありません。
部下に戦わせておいて、部下が勝ったら手柄を横取りするのでしょう」
「部下が負けたらどうするのですか?
まさか、集団で英雄騎士様を襲う心算ですか?」
「あの卑怯者なら、お嬢様の想像された通りの事をやるでしょう。
ですが、英雄騎士様が応じられなければ、その憶病を言触らす事でしょう」
「英雄騎士様、どうなされるのですか?」
「卑怯者、憶病者と言われるのは、俺自身は何とも思いません。
ですが、英雄騎士の称号を下さった、アバコーン王家の方々に対する責任がありますので、勝負に応じるつもりです」
「英雄騎士様が、あのような者共に後れを取るとは思いませんが、どのような卑怯な方法を取るか分かりません。
油断されることなく慎重に戦われてください」
「ご安心ください、エマ嬢。
俺達は普段から北竜山脈や南竜森林の奥深くで狩りをしています。
何時何処から現れる分からない竜や魔獣に比べれば、どれほど卑怯な方法であろうと、人間のやる事くらい軽々と躱してみせます」
「それが油断につながるのではありませんか、等とは申しません。
心配する事なく、心穏やかに英雄騎士様の勇姿をここから見せていただきます」
「余計な事を言うと憎まれるかもしれないのに、僅かな油断も無いように、遠回しに注意してくださるエマ嬢の想いを無駄にしたりはしません。
相手があのような軟弱者であろうと、竜の群を相手にする覚悟で戦います。
どうか安心してください」
英雄騎士様はそう口にすると、大使館の三階テラスから去って行かれました。
卑怯下劣なエルンスト第三騎士団長と戦われる覚悟をされたのです。
英雄騎士様の事を想い、嫌な事を言う鼻持ちならない女だと思われるのを覚悟で、失礼な事を言わせていただきました。
もう口に出してしまった後ですが、言い方も悪かった気がします。
もっとはっきりと率直に諫言すべきでした……私らしくない……
「お嬢様、しっかりと声援されなといけませんよ。
そのように、物思いに沈むのはお嬢様らしくありません。
何時ものように、私達が手を焼くくらい元気に振るまってください」
「もう!
そんな言い方をしたら、まるで私がお転婆なように聞こえるじゃないですか」
「お嬢様、お転婆なようにではなく、お転婆なのです」
「ジョルジャ、私は信頼できる人の前だけでしか本性は見せませんよ。
教えてくれたように、貴族令嬢らしく仮面をかぶっています」
「はぁ、本当にそうならどれほどよかったでしょう。
お嬢様の仮面は水晶でできていて、素顔が丸見えです。
しかも時々仮面をかぶるのを忘れてしまわれます」
「もう!
これでも公爵家の令嬢に相応しい態度を取ろうと気を使っているのです。
本当にお淑やかに振るまわなければいけない時にはできていますよね?」
「そうですね、お妃教育中は完璧な公爵令嬢を演じられていました。
このまま演じ切ってくだされば、万が一最悪の状況になった時に、相手の油断を誘う事ができるかもしれません。
できるだけ英雄騎士様を頼られますように」
「卑怯なふるまいなのは分かっていますが、お母様を助けるためには、実力を隠して深窓の令嬢を演じ続けなければいけないのですね」
「少なくとも武力の有る事だけは隠し続けてください」
「分かりました。
申し訳ない想いはありますが、英雄騎士様に頼らせていただきます」
「「「「「ウォオオオオオ」」」」」
大使館前に集まっていた第三騎士団の騎士達が歓声をあげています。
英雄騎士様は大使館の正面玄関から出て行かれたようです。
「英雄騎士様は、従者一人だけしか連れて出られなかったのですね。
私の忠告など耳に入らなかったのでしょうか?」
「先ほどの態度と口調からは、そのような慢心は微塵も感じられませんでした。
それだけ自分の武勇に自信があるのでしょう」
「生れ卑しい貧民らしく護衛を連れてきたか」
千の騎士と万の従騎士を引き連れて大使館を囲んでいる卑怯者が、自分の事を棚に上げて喚いています。
「ああ、万の騎士に護られている憶病者にはとても及ばないがな」
「だまれ、だまれ、黙れ!
お前のような卑しい生まれの貧民と違って、俺様は高貴な生まれなのだ。
護衛や従者なしに外出などしないのだ」
「はい、はい、はい、憶病の言い訳など聞きたくないね。
それよりさっさと王子を賭けて決闘しようじゃないか」
「くっ、くっ、くっ、くっ。
高貴な生まれの俺様が、何故生まれ卑しいお前と決闘しなければならない?
お前の相手など、同じ様な卑しい生まれのモノで十分だ。
おい、さっさと殺してしまえ。
負けたら家族がどうなるか分かっているな?!」
下から聞き捨てならない言葉が聞こえてきました。
「どういう事ですか?」
「一般の騎士団なら、平民出身者でも実力次第で騎士になれたのです。
もっとも、入団してからの差別が酷く、士族や貴族出身の騎士とは露骨に待遇を変えてきますので、多くの者は冒険者に転身してしまいます。
他国で通じるほどの実力者は、冒険者ギルドの特典を利用して、差別の少ない国に移民してしまいます。
あの者も移民する心算だったのかもしれませんが、運悪くエルンストが騎士団長になったせいで、この国から逃げ出すことができなくなったのでしょう」
「……手柄を横取りする心算で移民させないようにしているというのですか?
それも家族を人質にとって?!」
「言葉の口ぶりからすると、そうとしか思えません」
「このままでは英雄騎士様に叩きのめされてしまいます。
そんな事になったら、人質にされている家族は殺されてしまうのですか?!」
「英雄騎士様が負けるとは思われないのですか?」
「ここから身のこなしを見ただけで、実力差が分かります。
あの平民出身の騎士では、英雄騎士様の足元にも及びません。
卑怯にも周囲で奇襲の隙を伺っている屑共も同じです。
王城での英雄騎士様の動きを考えれば、何十人もの騎士が一斉に襲い掛かっても、眉一つ動かさずに皆殺しにされるでしょう」
「その通りでございます。
あのような者共が一万人集まっても、歯牙にもかけずに斃される事でしょう」
「英雄騎士様の心配はいらないのですが、平民騎士と家族が哀れです。
何とか助けてあげる事はできないでしょうか?」
「お嬢様が心配されなくても、英雄騎士様が何とかされます」
「そうなれば良いのですが、いえ、それでは英雄騎士様に負担が増え過ぎませんか?
私達の事で手一杯ではありませんか?
お世話をかけてしまっている私が言うのは不遜ですが……」
「では、英雄騎士様ではできない事をやられますか?」
「何か私にできる事があるのですか?」
「はい、あの粗相王子に婚約破棄を言い渡されたお嬢様だからできる事があります」
「少し腹が立つ言い方ですが、我慢して聞きます。
何をどうすればいいのですか?」
「英雄騎士様はアバコーン王国を代表する英雄騎士様なので、王子や公爵の身代金を請求できませんが、家を追放され婚約破棄されたお嬢様なら身代金を請求できます。
王子と公爵の身代金なら莫大な額になります。
そのお金を使って、この国を出たい者達を支援するのです」
「将来的にはいい方法だと思いますが、今目の前にいる平民騎士と家族は、この後すぐに殺されてしまうのですよ」
「「「「「ギャアアアアア」」」」」
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