13 / 14
12話
しおりを挟む
「ありがとうございます。
お陰様で命拾いしました。
これはお約束していたお礼の金貨二千枚です。
お確かめください」
万能薬で助かったバルナベが、私の事を女神を見るような眼で見ています。
心から感謝してくれているのが明らかです。
後ろで微笑んでいるアルバンが怖いです。
アルバンの眼は完全に大商人のモノに戻っています。
私の事を金を生むガチョウのように見ているのかもしれません。
ですが、大商人だけあって、口約束でも約束は守ってくれます。
仕入れか支払いのための大切なお金でしょうに、手持ち金貨の大半を、なんの躊躇もせず支払ってくれました。
ただ同時に、大商人らしく、手に入れた万能薬を高く売るための方策を考えているようで、近隣の村に手紙を出しています。
この時も約束を守って、護衛はこの村に止めて、この村の猟師に手紙を届けさせる気の使いようでした。
たぶんですが、私の機嫌を損ねないためでしょう。
私に全く戦闘力がないのか、それなりの戦闘力を持っているのか確かめるまでは、敵対しないようにしているのだと思います。
「レオルナ様。
私が売っていただいたエリクサーは、他にもあるのでしょうか?
手持ちのエリクサーが全部売れたら、新たに売っていただく事はできるのでしょうか?」
ここまで来たら、拒否してもまったく意味がありませんね。
ここは素直に売ってあげてもいいでしょう。
ただ、お互いのためにも言っておかなければいけない事がありますね。
「ええ、大丈夫ですよ。
ただ作るのに結構時間がかかってしまいます。
使う素材にも珍しいものが必要ですし、季節が限定される素材もあります。
ただ一番問題なのは、効果が現れない国があるという事です」
「え?!
エリクサーなのに、国によって効果が現れないなんて事があるのですか?!」
「この薬は、私に加護を与えてくださった神の恩恵で成り立っています。
素材や作り方も大切ですが、神の加護が加わってこそ効果があるのです。
私に加護を与えてくださった神から憎まれている国では、効果が現れないのです。
それだけは絶対に忘れないでください。
それを言い忘れて売ったりすると、商人としての信用を失ってしまいますよ」
アルバンが真剣に考えています。
バルナベも思案顔です。
確かに商品として売るなら、神の加護で有無で左右される薬は売り難いでしょう。
一個金貨二百枚で仕入れた薬ですから、蘇生の奇跡がない国や最高治癒術のない国で、金貨二千枚で売るつもりだったのかもしれません。
でも、こんな条件が付いてしまったら、売値が低くなってしまいますね。
お陰様で命拾いしました。
これはお約束していたお礼の金貨二千枚です。
お確かめください」
万能薬で助かったバルナベが、私の事を女神を見るような眼で見ています。
心から感謝してくれているのが明らかです。
後ろで微笑んでいるアルバンが怖いです。
アルバンの眼は完全に大商人のモノに戻っています。
私の事を金を生むガチョウのように見ているのかもしれません。
ですが、大商人だけあって、口約束でも約束は守ってくれます。
仕入れか支払いのための大切なお金でしょうに、手持ち金貨の大半を、なんの躊躇もせず支払ってくれました。
ただ同時に、大商人らしく、手に入れた万能薬を高く売るための方策を考えているようで、近隣の村に手紙を出しています。
この時も約束を守って、護衛はこの村に止めて、この村の猟師に手紙を届けさせる気の使いようでした。
たぶんですが、私の機嫌を損ねないためでしょう。
私に全く戦闘力がないのか、それなりの戦闘力を持っているのか確かめるまでは、敵対しないようにしているのだと思います。
「レオルナ様。
私が売っていただいたエリクサーは、他にもあるのでしょうか?
手持ちのエリクサーが全部売れたら、新たに売っていただく事はできるのでしょうか?」
ここまで来たら、拒否してもまったく意味がありませんね。
ここは素直に売ってあげてもいいでしょう。
ただ、お互いのためにも言っておかなければいけない事がありますね。
「ええ、大丈夫ですよ。
ただ作るのに結構時間がかかってしまいます。
使う素材にも珍しいものが必要ですし、季節が限定される素材もあります。
ただ一番問題なのは、効果が現れない国があるという事です」
「え?!
エリクサーなのに、国によって効果が現れないなんて事があるのですか?!」
「この薬は、私に加護を与えてくださった神の恩恵で成り立っています。
素材や作り方も大切ですが、神の加護が加わってこそ効果があるのです。
私に加護を与えてくださった神から憎まれている国では、効果が現れないのです。
それだけは絶対に忘れないでください。
それを言い忘れて売ったりすると、商人としての信用を失ってしまいますよ」
アルバンが真剣に考えています。
バルナベも思案顔です。
確かに商品として売るなら、神の加護で有無で左右される薬は売り難いでしょう。
一個金貨二百枚で仕入れた薬ですから、蘇生の奇跡がない国や最高治癒術のない国で、金貨二千枚で売るつもりだったのかもしれません。
でも、こんな条件が付いてしまったら、売値が低くなってしまいますね。
0
お気に入りに追加
345
あなたにおすすめの小説
男爵家四姉妹は婚約破棄され、侯爵家に領地を侵攻され、追放されてしまった。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
バーリー男爵家は強欲な侯爵家に目をつけられてしまった。領地を狙われ、年長の四姉妹は婚約破棄され、世継ぎの末弟は暗殺されそうになった。ついには五万の大軍に攻め込まれることになった。
婚約破棄の夜の余韻~婚約者を奪った妹の高笑いを聞いて姉は旅に出る~
岡暁舟
恋愛
第一王子アンカロンは婚約者である公爵令嬢アンナの妹アリシアを陰で溺愛していた。そして、そのことに気が付いたアンナは二人の関係を糾弾した。
「ばれてしまっては仕方がないですわね?????」
開き直るアリシアの姿を見て、アンナはこれ以上、自分には何もできないことを悟った。そして……何か目的を見つけたアンナはそのまま旅に出るのだった……。
最強の薬師、婚約破棄される〜王子様の命は私の懐の中〜
岡暁舟
恋愛
代々薬師として王家に仕えてきたボアジエ公爵家。15代当主の長女リンプルもまた、優秀な薬師として主に王子ファンコニーの体調を整えていた。
献身的に仕えてくれるリンプルのことを、ファンコニーは少しずつ好きになっていった。次第に仲を深めていき、ついに、2人は婚約することになった。だがしかし、ある日突然問題が起きた。ファンコニーが突然倒れたのだ。その原因は、リンプルの処方の誤りであると決めつけられ、ファンコニー事故死計画という、突拍子もない疑いをかけられてしまう。
調査の指揮をとったのは、ボアジエ家の政敵であるホフマン公爵家の長女、アンナだった。
「ファンコニー様!今すぐあの女と婚約破棄してください!」
意識の回復したファンコニーに、アンナは詰め寄った。だが、ファンコニーは、本当にリンプルが自分を事故死させようと思ったのか、と疑問を抱き始め、自らの手で検証を始めることにした……。
婚約解消と婚約破棄から始まって~義兄候補が婚約者に?!~
琴葉悠
恋愛
ディラック伯爵家の令嬢アイリーンは、ある日父から婚約が相手の不義理で解消になったと告げられる。
婚約者の行動からなんとなく理解していたアイリーンはそれに納得する。
アイリーンは、婚約解消を聞きつけた友人から夜会に誘われ参加すると、義兄となるはずだったウィルコックス侯爵家の嫡男レックスが、婚約者に対し不倫が原因の婚約破棄を言い渡している場面に出くわす。
そして夜会から数日後、アイリーンは父からレックスが新しい婚約者になったと告げられる──
追放された古代神の巫女は規格外
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「今代の守護神の聖女はアランデル公爵家令嬢ビクトリアと神託が下った。
これにより次期王妃はビクトリアとなる。
今日まで王太子殿下の婚約者であったアメリ嬢は、聖女候補の役目を解かれることになるので、王太子殿下との婚約を解消され、元の身分に戻ることになる。
これはアメリ嬢にあてはめられる事ではなく、全ての聖女候補も同様である。
元の身分に戻り、それぞれの実家に帰ってもらう」
アメリは捨て子と結婚を嫌った王太子と、王妃になりたい公爵家令嬢の罠にはまり、元の孤児の身分にされ、神殿まで追放になってしまった。
だがそれが、国と神殿の滅びの序曲だった。
婚約破棄で命拾いした令嬢のお話 ~本当に助かりましたわ~
華音 楓
恋愛
シャルロット・フォン・ヴァーチュレストは婚約披露宴当日、謂れのない咎により結婚破棄を通達された。
突如襲い来る隣国からの8万の侵略軍。
襲撃を受ける元婚約者の領地。
ヴァーチュレスト家もまた存亡の危機に!!
そんな数奇な運命をたどる女性の物語。
いざ開幕!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる