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第一章
第十四話:座頭熊一
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浪人者が梅一から聞いた話では、座頭には凄腕の護衛が付いていた。
高利の金を貸して厳しい取り立てをするだけでも嫌われている座頭なのだ。
それが罠を仕掛けて親兄弟を陥れ、娘や妻に身体を売らせているのだから、恨まれて命を狙われるのも当然の話しだった。
凄腕の護衛を雇うのも自然に流れだったのだろう。
「それで、何時何処で殺せと言うのだ。
それも某が考える事なのか」
「いえ、いえ、そんな事は私に任せてくれればいい大丈夫ですよ。
一切の段取りは私がやらせていただきます。
座頭の名前は熊一、普段は惣録屋敷に寝泊まりしています」
「それほど悪辣に荒稼ぎしているのに、他の座頭達と一緒に住んでいるのか。
屋敷を借りて妾の三人や四人は囲っているのではないのか」
浪人者の疑問は当然だった。
座頭にも色々いて、金貸しで大金を得て若くして七一九両を納めて検校になる者もいれば、鍼灸や歌舞音曲でこつこつと金を納めて徐々に地位をあげる者もいる。
だが普通は、最下層の地位すら得ることができずにいるのだ。
盲人の互助会ともいえる当道座には七三の階級があるのだが、座頭と名乗れるのは下から四つ目の階級からで、それ以下は座に入った事にすらならないのだ。
初心と呼ばれる無官の者。
四両納めて半内掛の官命を得て、その後で三両二分を納めて丸内掛の官命を得て、更に二分を納めて過銭内掛の官命を得る。
合計八両を座に納めてもまだ座頭も名乗れない。
ただ打掛は浅黄か萌黄麻の長絹を着て紅菊綴を飾る事と、同色の麻袴を穿く事と、白木の杖を持つ事は許される。
だが座頭を名乗ることが許されるのは、更に四両を座に納めて才敷衆分の官命を得て、座入りを果たしてからになるのだ。
だが座頭になることができたら、白絹か長絹を着て紫菊綴を飾る事が許され、白絹袴か羽二重を穿く事と、白木玉杖を持つことが許されるのだ。
だから一般的に座頭と呼ばれる人達は、その服装から一目で階級がわかる。
だが過半数の盲人は、最下級の座頭か座頭にすらなれない人達だった。
そんな者達は惣録屋敷で暮らすしかない。
浪人者には座頭金で大儲けした熊一が惣録屋敷に残る理由がわからなかったのだ。
「熊一はとても慎重なのですよ。
自分が酷く恨まれている事を知っているから、惣録屋敷を出ないのです。
惣録屋敷をにいる時も出て行くときも、必ず凄腕の護衛が側にいます」
「それでお前でも殺せないという訳か
だがその護衛と言うのは何時寝ているのだ。
まさかまったく寝ていないわけではあるまい。
お前なら護衛が寝ている間に惣録屋敷に忍び込んで殺せるのではないのか」
「言い忘れていましたが、凄腕の護衛は二人います」
高利の金を貸して厳しい取り立てをするだけでも嫌われている座頭なのだ。
それが罠を仕掛けて親兄弟を陥れ、娘や妻に身体を売らせているのだから、恨まれて命を狙われるのも当然の話しだった。
凄腕の護衛を雇うのも自然に流れだったのだろう。
「それで、何時何処で殺せと言うのだ。
それも某が考える事なのか」
「いえ、いえ、そんな事は私に任せてくれればいい大丈夫ですよ。
一切の段取りは私がやらせていただきます。
座頭の名前は熊一、普段は惣録屋敷に寝泊まりしています」
「それほど悪辣に荒稼ぎしているのに、他の座頭達と一緒に住んでいるのか。
屋敷を借りて妾の三人や四人は囲っているのではないのか」
浪人者の疑問は当然だった。
座頭にも色々いて、金貸しで大金を得て若くして七一九両を納めて検校になる者もいれば、鍼灸や歌舞音曲でこつこつと金を納めて徐々に地位をあげる者もいる。
だが普通は、最下層の地位すら得ることができずにいるのだ。
盲人の互助会ともいえる当道座には七三の階級があるのだが、座頭と名乗れるのは下から四つ目の階級からで、それ以下は座に入った事にすらならないのだ。
初心と呼ばれる無官の者。
四両納めて半内掛の官命を得て、その後で三両二分を納めて丸内掛の官命を得て、更に二分を納めて過銭内掛の官命を得る。
合計八両を座に納めてもまだ座頭も名乗れない。
ただ打掛は浅黄か萌黄麻の長絹を着て紅菊綴を飾る事と、同色の麻袴を穿く事と、白木の杖を持つ事は許される。
だが座頭を名乗ることが許されるのは、更に四両を座に納めて才敷衆分の官命を得て、座入りを果たしてからになるのだ。
だが座頭になることができたら、白絹か長絹を着て紫菊綴を飾る事が許され、白絹袴か羽二重を穿く事と、白木玉杖を持つことが許されるのだ。
だから一般的に座頭と呼ばれる人達は、その服装から一目で階級がわかる。
だが過半数の盲人は、最下級の座頭か座頭にすらなれない人達だった。
そんな者達は惣録屋敷で暮らすしかない。
浪人者には座頭金で大儲けした熊一が惣録屋敷に残る理由がわからなかったのだ。
「熊一はとても慎重なのですよ。
自分が酷く恨まれている事を知っているから、惣録屋敷を出ないのです。
惣録屋敷をにいる時も出て行くときも、必ず凄腕の護衛が側にいます」
「それでお前でも殺せないという訳か
だがその護衛と言うのは何時寝ているのだ。
まさかまったく寝ていないわけではあるまい。
お前なら護衛が寝ている間に惣録屋敷に忍び込んで殺せるのではないのか」
「言い忘れていましたが、凄腕の護衛は二人います」
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