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第一章
第3話:サザーランド公爵対ミア王女
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神暦3103年王国暦255年1月1日17時:ジャクスティン視点
「そいつは俺の物だ!」
ミア王女がいきなりジェネシスの首に咬みつこうとしやがった!
「じゃまましいわ!」
俺様の初孫に手を出す奴は誰であろうと容赦しない!
王女であろうと問答無用でブチ殺す!
「ギャッ、フン!」
俺様の前蹴りとも回し蹴りとも言えない、最短距離の蹴りを顎に受けて、ミア王女が吹き飛んだ。
下顎骨を粉砕した手ごたえがあるから、もう番の印はつけられないだろう。
「王女様に手助けしろ!」
「ギャッフ!」
「恨み重なるサザーランド公爵をぶちのめせ!」
「ゲッフ!」
「一度にか、グアッフ!」
ほんの僅かでも敵対の素振りを見せた者は容赦なくぶちのめす。
番の印がつけられないように、顎を砕き牙を折る!
「セイント、自分の息子くらい自分で護れ!」
「はい、父上」
オメガ落ちしてしまったら、自分の息子でも襲うのが人間の性だが、セイントは理性を保つことができるようだ。
これならジェネシスを任せる事ができるだろう。
「オリビア、ジェネシスを護る気があるならあそこに突っ込め!
正気を失いそうなら俺様がぶちのめしてやる!」
「御冗談を、てめえら覚悟しやがれ!
あたしの甥っ子に手出しする奴は殺す!」
オリビアが一塊になって襲ってくる貴族達に突っ込んでいった。
流石俺様の娘だけあって理性が強いだけでなく血の気も多い。
「ギャッ、グッ、ガッ、ゴッ、ゲッ、ゴッホ」
立て続けに襲ってきた下級貴族達を問答無用で返り討ちにしてやった。
顎や牙だけを狙っていたら効率が悪い。
もっとも効率の良い場所を叩いて戦力を削ぎ、その後で牙をへし折る!
「アルファの象徴である牙をへし折られたい奴からかかってこい!」
「「「「「ウッ」」」」」
アルファの象徴である牙を折られる事は、途轍もない恥となる。
ベータやガンマが表だって馬鹿にする事はないが、陰で何を言われる事か。
一時的に支配力が低下してしまうので、オメガに逃げられてしまうかもしれない。
「おのれ、公爵といえども王女に逆らうとは何事だ!
それにジェネシスは元々俺の婚約者だ!
オメガ落ちした以上、アルファになった俺の性奴隷にするのが道理だ!
これ以上邪魔するなら公爵位を剥奪してぶち殺すぞ!」
ほう、あの一撃を受けてすぐに立ち直ったばかりか、俺様の殺気を正面から受けているのに喧嘩を売ってくる。
アルファの中でも相当の才能を持っているな。
「アルファに成ったばかりの尻の青いガキが一人前の口を利くな!」
とはいえ、才能を磨いた事もなければ実戦経験もないクソガキだ。
才能が開花する前に殺してしまえば何の問題もない。
「サザーランド公爵、王女の非礼は詫びる、この通りだ」
百戦錬磨の女狐め、俺様が王女を殺す気になったのが分かったようだ。
五十四歳にしてやっと生まれた血を分けた後継者だ。
俺様に殺されて失うくらいなら、頭を下げた方が良いと決断しやがった。
「女王陛下?!
陛下ともあろう御方が家臣に頭を下げるなど!」
「黙れ、愚か者!
余が女王でいられるのは、サザーランド公爵が簒奪しなかったからだ!
王家の血筋に配慮して、遥かに力の落とる余を立ててくれているのだ!
それも分からぬ愚か者が!
長年肩を並べて魔獣と戦い続けている我らの事に口出しするな!」
確かに、女王が俺様より弱いのは間違いない。
だが、他の高位貴族達に劣るわけではない。
一対一ならこの国で俺の次に強いのは女王だ。
「サザーランド公爵、これまでの忠誠心に応えて、オメガ落ちしたジェネシスを連れ帰る事を許したが、婚約者だったミアの気持ちも分かってやってくれ。
どうだろう、今日サザーランド公爵が献上してくれたオメガを下賜しよう。
その代わりジェネシスを献上してくれないだろうか?」
「女王陛下、私にはもう二人も後継者がいます。
三十二で伯爵位を授かる長男と、十八で准男爵を授かる長女です。
まだまだ才能が有り、これからも実力を高める事でしょう。
この二人なら、その気になれば王位だって狙えます。
無理にオメガを手に入れて子供を生ませる必要はありません。
陛下に献上したオメガと初孫では、価値が違い過ぎて話になりません」
「聞いたか、ミア。
婚約者だったジェネシスが欲しければ、それに見合うモノを手に入れろ。
実力で劣る時は、他の手段で欲しいものを手に入れるしかないのだ」
確かに、弱者が強者から欲しいモノを手に入れようと思えば、強者が本当に欲しているモノを知らなければいけない。
だが、前世の記憶を取り戻してしまった俺が欲するモノは、この世界の常識から大きく違ってしまっているぞ。
「……分かりました、必ず手に入れてみせます」
くっ、くっ、くっ、くっ、負けず嫌いのようだな。
その言い方、対価を探すのではなく実力を高めて力尽くで奪う気だ。
アルファらしい考えだが、その考えが寿命を縮める事になる。
「……ミアは自分の実力を思い知った方が良いだろう。
今日の成人式はここまでとする。
ミア、余が直々にアルファの力を全て引き出すための訓練をつけてやる」
ちっ、邪魔な芽は若い内に摘んでおこうと思ったのに。
やっと手に入れた後継者を俺様に殺されるのがよほど嫌なのだろう。
これならしばらくはジェネシスを奪いに襲撃してくる事はないだろう。
「女王陛下、成人式の終わった事ですし、領地に戻って魔獣を狩ってまいります」
とはいえ、爵位を持つほどの有力なアルファが集まる王都に、オメガ落ちしたジェネシスを置いておくのは危険過ぎる。
「そうか、公爵に預けてある領地には、強力な魔獣を抑える大切な役目がある。
公爵以外には務まらない重要な役目だ。
戻ってくれるというのなら引き留める訳にはいかないな」
俺様を殺したら、王国中が強力な魔獣に襲われると思いださせているな。
これで多少でも頭の回る貴族は襲撃を思い止まるかもしれない。
ジェネシスが発情期のフェロモンを出さなければの話しだが……
「そいつは俺の物だ!」
ミア王女がいきなりジェネシスの首に咬みつこうとしやがった!
「じゃまましいわ!」
俺様の初孫に手を出す奴は誰であろうと容赦しない!
王女であろうと問答無用でブチ殺す!
「ギャッ、フン!」
俺様の前蹴りとも回し蹴りとも言えない、最短距離の蹴りを顎に受けて、ミア王女が吹き飛んだ。
下顎骨を粉砕した手ごたえがあるから、もう番の印はつけられないだろう。
「王女様に手助けしろ!」
「ギャッフ!」
「恨み重なるサザーランド公爵をぶちのめせ!」
「ゲッフ!」
「一度にか、グアッフ!」
ほんの僅かでも敵対の素振りを見せた者は容赦なくぶちのめす。
番の印がつけられないように、顎を砕き牙を折る!
「セイント、自分の息子くらい自分で護れ!」
「はい、父上」
オメガ落ちしてしまったら、自分の息子でも襲うのが人間の性だが、セイントは理性を保つことができるようだ。
これならジェネシスを任せる事ができるだろう。
「オリビア、ジェネシスを護る気があるならあそこに突っ込め!
正気を失いそうなら俺様がぶちのめしてやる!」
「御冗談を、てめえら覚悟しやがれ!
あたしの甥っ子に手出しする奴は殺す!」
オリビアが一塊になって襲ってくる貴族達に突っ込んでいった。
流石俺様の娘だけあって理性が強いだけでなく血の気も多い。
「ギャッ、グッ、ガッ、ゴッ、ゲッ、ゴッホ」
立て続けに襲ってきた下級貴族達を問答無用で返り討ちにしてやった。
顎や牙だけを狙っていたら効率が悪い。
もっとも効率の良い場所を叩いて戦力を削ぎ、その後で牙をへし折る!
「アルファの象徴である牙をへし折られたい奴からかかってこい!」
「「「「「ウッ」」」」」
アルファの象徴である牙を折られる事は、途轍もない恥となる。
ベータやガンマが表だって馬鹿にする事はないが、陰で何を言われる事か。
一時的に支配力が低下してしまうので、オメガに逃げられてしまうかもしれない。
「おのれ、公爵といえども王女に逆らうとは何事だ!
それにジェネシスは元々俺の婚約者だ!
オメガ落ちした以上、アルファになった俺の性奴隷にするのが道理だ!
これ以上邪魔するなら公爵位を剥奪してぶち殺すぞ!」
ほう、あの一撃を受けてすぐに立ち直ったばかりか、俺様の殺気を正面から受けているのに喧嘩を売ってくる。
アルファの中でも相当の才能を持っているな。
「アルファに成ったばかりの尻の青いガキが一人前の口を利くな!」
とはいえ、才能を磨いた事もなければ実戦経験もないクソガキだ。
才能が開花する前に殺してしまえば何の問題もない。
「サザーランド公爵、王女の非礼は詫びる、この通りだ」
百戦錬磨の女狐め、俺様が王女を殺す気になったのが分かったようだ。
五十四歳にしてやっと生まれた血を分けた後継者だ。
俺様に殺されて失うくらいなら、頭を下げた方が良いと決断しやがった。
「女王陛下?!
陛下ともあろう御方が家臣に頭を下げるなど!」
「黙れ、愚か者!
余が女王でいられるのは、サザーランド公爵が簒奪しなかったからだ!
王家の血筋に配慮して、遥かに力の落とる余を立ててくれているのだ!
それも分からぬ愚か者が!
長年肩を並べて魔獣と戦い続けている我らの事に口出しするな!」
確かに、女王が俺様より弱いのは間違いない。
だが、他の高位貴族達に劣るわけではない。
一対一ならこの国で俺の次に強いのは女王だ。
「サザーランド公爵、これまでの忠誠心に応えて、オメガ落ちしたジェネシスを連れ帰る事を許したが、婚約者だったミアの気持ちも分かってやってくれ。
どうだろう、今日サザーランド公爵が献上してくれたオメガを下賜しよう。
その代わりジェネシスを献上してくれないだろうか?」
「女王陛下、私にはもう二人も後継者がいます。
三十二で伯爵位を授かる長男と、十八で准男爵を授かる長女です。
まだまだ才能が有り、これからも実力を高める事でしょう。
この二人なら、その気になれば王位だって狙えます。
無理にオメガを手に入れて子供を生ませる必要はありません。
陛下に献上したオメガと初孫では、価値が違い過ぎて話になりません」
「聞いたか、ミア。
婚約者だったジェネシスが欲しければ、それに見合うモノを手に入れろ。
実力で劣る時は、他の手段で欲しいものを手に入れるしかないのだ」
確かに、弱者が強者から欲しいモノを手に入れようと思えば、強者が本当に欲しているモノを知らなければいけない。
だが、前世の記憶を取り戻してしまった俺が欲するモノは、この世界の常識から大きく違ってしまっているぞ。
「……分かりました、必ず手に入れてみせます」
くっ、くっ、くっ、くっ、負けず嫌いのようだな。
その言い方、対価を探すのではなく実力を高めて力尽くで奪う気だ。
アルファらしい考えだが、その考えが寿命を縮める事になる。
「……ミアは自分の実力を思い知った方が良いだろう。
今日の成人式はここまでとする。
ミア、余が直々にアルファの力を全て引き出すための訓練をつけてやる」
ちっ、邪魔な芽は若い内に摘んでおこうと思ったのに。
やっと手に入れた後継者を俺様に殺されるのがよほど嫌なのだろう。
これならしばらくはジェネシスを奪いに襲撃してくる事はないだろう。
「女王陛下、成人式の終わった事ですし、領地に戻って魔獣を狩ってまいります」
とはいえ、爵位を持つほどの有力なアルファが集まる王都に、オメガ落ちしたジェネシスを置いておくのは危険過ぎる。
「そうか、公爵に預けてある領地には、強力な魔獣を抑える大切な役目がある。
公爵以外には務まらない重要な役目だ。
戻ってくれるというのなら引き留める訳にはいかないな」
俺様を殺したら、王国中が強力な魔獣に襲われると思いださせているな。
これで多少でも頭の回る貴族は襲撃を思い止まるかもしれない。
ジェネシスが発情期のフェロモンを出さなければの話しだが……
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