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第二章
第38話:破壊王
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「今日はこれくらいで許してあげます。
ですが、私の領地に少しでも近づいたら、亜竜に喰わせます。
その心算でいてください」
俺はイングルウッド侯国の侯都、都市イングルウッドを堂々と出て行きました。
出て行っただけでなく、正々堂々と宣戦布告しました。
戦争の原因は、イングルウッド侯王の無礼にあると大声で伝えました。
それだけでは威嚇脅迫の意味がないので、ちゃんと破壊活動もしました。
俺が魔法で破壊したのでは、俺個人に対する恐怖になってしまいます。
これからはマクネイア家自体を恐れさせなければいけません。
ですので、亜竜軍団によって城門と城壁を破壊させました。
カルプルニウス連邦内での戦いでは難攻不落を誇っていましたが、我が家を相手にした場合は、何の意味もないのだと思い知らせないといけませんから。
都市を守る為の外城壁だけでなく、有力商人が命よりも大切している商品を保管している、二ノ丸に当たる部分を守る中城壁も破壊しました。
もちろん、イングルウッド侯王家が拠点としている本丸部分を守る、内城壁も完膚なきまでに破壊しつくしました。
イングルウッド侯国が商売で発展したのには、ちゃんとした理由があります。
都市イングルウッドは、二つの街道が交わる場所にあるのです。
一つは俺が使ってきたゲヌキウス王国と通じる街道ですが、それだけではなく、カルプルニウス連邦内を南北に縦断しているのです。
同じようにカルプルニウス連邦内を南北に縦断している街道は、他にも二つありますが、その中でも中央を通っているのです。
もう一つは、ゲヌキウス王国を東西に横断して、オピミウス大公国とクラウディウス王国に通じている街道です。
同じようにゲヌキウス王国を東西に横断して、オピミウス大公国とクラウディウス王国に通じている街道は三つあるのですが、イングルウッド侯国に通っている街道は一番南を通っています。
東西南北が交差する街道の中心点、まさに交通の要衝なのですが、他にも要衝と呼べる場所が八つあります。
ですがその全てが商業で発展している訳ではありません。
交通の要衝でも、時と人に恵まれなければ争いの種になってしまうだけなのです。
富を手に入れようとする者に襲われ、金も命も奪われて終わりです。
イングルウッドと同じくらい商業が発展している都市は二つしかありません。
小規模に繫栄している都市は三つありますが、領主に恵まれずに搾取され続け、都市を発展させるだけの余裕がないのです。
残った三つの要衝は、領主や商人が独自に都市を発展させるのではなく、街道を通過する商人から多くの税を取って資金源にしています。
発展していた商業都市イングルウッドは事実上消滅しました。
城壁と城門を破壊したからではありません。
俺が亜竜軍団に街道封鎖をさせたからです。
「お前達は東西南北の街道を封鎖しなさい。
街道上に駐屯地を築き、何故俺達が街道を封鎖しているかを伝えなさい。
どのような理由で、どんな地位にある人が来ても、絶対に通してはいけません。
亜竜を使って脅しても引かない人は、殺しても構いませんが、その前に報告してください」
「「「「「はっ!」」」」」
「亜竜達の餌は心配しなくても大丈夫です。
順番に地竜森林で狩りをさせます。
その余裕がない時は、向こうで狩った獣を持ってきます。
亜竜達の本能が満たされていない時は、俺が地竜森林の獣を生きたまま運んできますから、ここで暴れさせてください」
「「「「「はっ!」」」」」
「一つ質問してもいいでしょうか?」
中型肉食亜竜、闘竜の騎士が質問してきました。
「いいですよ、何でも聞いてください」
「亜竜達は昼も夜も同じように活動できますが、私達人間は夜目がききません。
普段の訓練では、道具を活用する事で夜間行動も可能になっています。
今回は駐屯している者で昼夜交代するのでしょうか」
「良い質問です。
俺が説明し忘れている所をよく聞いてくれました。
基本交代制でやります。
多くの商人が街道の通過許可を求めてきます。
特にイングルウッドに拠点を持つ商会の者達が強く許可を求めてきます」
俺は少し黙って騎士や御者が話しを理解しているのかを確かめた。
表情的には理解しているように思えるが、後で質問して確認しておきましょう。
「商売で成り立っていたイングルウッド侯国です。
他の都市や村と行き来出来なくなると、侯国が成り立ちません。
必ず夜陰に乗じて通り抜けようとします。
ですが、絶対に通過させません。
成功させてしまったら、我が家の威信にかかわります。
疲れて眠くなる事もあるでしょうが、昼夜交代して街道を封鎖してください」
「「「「「はっ!」」」」」
「では最後に本当に今作戦を理解しているか質問しますが、それが終わったら四つに分かれて街道を封鎖してください。
俺はヘレンズ侯国に戻って侯国の接収を行います」
街道封鎖を亜竜軍団に任せた俺は、直ぐにヘレンズ侯国に戻り、ヘレンズ侯王を始めとしたロイス侯王家の者達と話し合いました。
連邦法に違反していたイングルウッド侯王との契約書は無効です。
俺が手助けすれば、これまで一方的に搾取されてきた賠償金を取り戻す事も不可能ではありませんが、彼らにそんな気持ちはありませんでした。
俺自身も、彼らに頼まれても手を貸す気はありません。
俺はマクネイア家の次期当主なのです。
一番先に考えなえればいけないのは、マクネイア家の利益です。
ヘレンズ侯王家を助けるために、マクネイア家の利益を損なうような事は、絶対にできないのです。
「ヴァルフレード殿、私に侯王位を譲位するのに文句はありませんか?」
「全くありません。
そもそも性格的に侯王など務まらなかったのです。
父上がイングルウッド侯王の仕掛けた汚い罠に落ち、憤死したので仕方なく跡を継いだだけで、本当は刀鍛冶として生きて行きたかったのです。
そもそも家祖が領主になったのも、仲間の鍛冶や鉱夫が他の領主に搾取されていたのを救うためだったと伝え聞いています。
フェルディナンド公子がヘレンズ侯国の民を幸せにしてくれるのでしたら、よろこんで侯王位を移譲させていただきます」
「私とヴァルフレード殿の間では譲位ですが、表向きはヴァルフレード殿が俺に敗れて侯王位を奪われた形になります。
とても不名誉な事ですが、それでもいいのですね?」
「かまいません、と言うか、私よりもフェルディナンド公子の方が悪く言われるでしょう?」
「そんな事はありませんよ。
私は卑怯者ですから、イングルウッド侯王に命じられたヴァルフレード殿が、国民のために私に喧嘩を売って来たことにします」
「それでは、私もフェルディナンド公子も被害者で、全ての原因はイングルウッド侯王にあるように思われますが、嘘がバレたらどうするのですか?」
「誰の言っている事を信用するかは、日頃の行いにかかっています。
ヴァルフレード殿と私の言っている事が信用されるか、イングルウッド侯王の言っている事が信用されるかは、全て日頃の行い次第です」
「ずっと悪辣非道な商売をしてきたイングルウッド侯王は、真実を話しても誰にも信じてもらえず、真面目に生きて来た私達は嘘を言っても信じてもらえる……
本当にそれでいいのでしょうか?」
「家臣領民、いえ、伯王や侯王なら家臣国民と言わなければいけませんね。
彼らを幸せにするためなら、多少の非道は厭いません。
まして悪名など、どれほど広まっても構いません。
ヴァルフレード殿もその覚悟があったから、イングルウッド侯王の言い成りになっていたのでしょう?」
「はい、自分のプライドよりも、国民の命を最優先してきました。
それが本当に正解だったのかは今でも分かりません」
「簡単に正解も失敗も断言できないのが為政だと教わりました。
今までもこれからも、精一杯生きるしかありません」
「はい、その覚悟はできています」
「話は変わりますが、もし一族の方で騎士の地位を望まれる方がおられるのでしたら、侯王位を禅譲していただいたお礼に、一人に一つ家を新設しましょう」
「ありがとうございます。
昨日聞いた時点では、全員が鍛冶職人を望んでいましたが、もう一度聞いてみますので、騎士を望む者がいたら宜しくお願いします」
「分かりました、騎士を望まれる方には地位と給与を与えます。
望まないロイス家の方々には、これからは鍛冶職人として生きていただきます」
「はっ、有難き幸せでございます」
ですが、私の領地に少しでも近づいたら、亜竜に喰わせます。
その心算でいてください」
俺はイングルウッド侯国の侯都、都市イングルウッドを堂々と出て行きました。
出て行っただけでなく、正々堂々と宣戦布告しました。
戦争の原因は、イングルウッド侯王の無礼にあると大声で伝えました。
それだけでは威嚇脅迫の意味がないので、ちゃんと破壊活動もしました。
俺が魔法で破壊したのでは、俺個人に対する恐怖になってしまいます。
これからはマクネイア家自体を恐れさせなければいけません。
ですので、亜竜軍団によって城門と城壁を破壊させました。
カルプルニウス連邦内での戦いでは難攻不落を誇っていましたが、我が家を相手にした場合は、何の意味もないのだと思い知らせないといけませんから。
都市を守る為の外城壁だけでなく、有力商人が命よりも大切している商品を保管している、二ノ丸に当たる部分を守る中城壁も破壊しました。
もちろん、イングルウッド侯王家が拠点としている本丸部分を守る、内城壁も完膚なきまでに破壊しつくしました。
イングルウッド侯国が商売で発展したのには、ちゃんとした理由があります。
都市イングルウッドは、二つの街道が交わる場所にあるのです。
一つは俺が使ってきたゲヌキウス王国と通じる街道ですが、それだけではなく、カルプルニウス連邦内を南北に縦断しているのです。
同じようにカルプルニウス連邦内を南北に縦断している街道は、他にも二つありますが、その中でも中央を通っているのです。
もう一つは、ゲヌキウス王国を東西に横断して、オピミウス大公国とクラウディウス王国に通じている街道です。
同じようにゲヌキウス王国を東西に横断して、オピミウス大公国とクラウディウス王国に通じている街道は三つあるのですが、イングルウッド侯国に通っている街道は一番南を通っています。
東西南北が交差する街道の中心点、まさに交通の要衝なのですが、他にも要衝と呼べる場所が八つあります。
ですがその全てが商業で発展している訳ではありません。
交通の要衝でも、時と人に恵まれなければ争いの種になってしまうだけなのです。
富を手に入れようとする者に襲われ、金も命も奪われて終わりです。
イングルウッドと同じくらい商業が発展している都市は二つしかありません。
小規模に繫栄している都市は三つありますが、領主に恵まれずに搾取され続け、都市を発展させるだけの余裕がないのです。
残った三つの要衝は、領主や商人が独自に都市を発展させるのではなく、街道を通過する商人から多くの税を取って資金源にしています。
発展していた商業都市イングルウッドは事実上消滅しました。
城壁と城門を破壊したからではありません。
俺が亜竜軍団に街道封鎖をさせたからです。
「お前達は東西南北の街道を封鎖しなさい。
街道上に駐屯地を築き、何故俺達が街道を封鎖しているかを伝えなさい。
どのような理由で、どんな地位にある人が来ても、絶対に通してはいけません。
亜竜を使って脅しても引かない人は、殺しても構いませんが、その前に報告してください」
「「「「「はっ!」」」」」
「亜竜達の餌は心配しなくても大丈夫です。
順番に地竜森林で狩りをさせます。
その余裕がない時は、向こうで狩った獣を持ってきます。
亜竜達の本能が満たされていない時は、俺が地竜森林の獣を生きたまま運んできますから、ここで暴れさせてください」
「「「「「はっ!」」」」」
「一つ質問してもいいでしょうか?」
中型肉食亜竜、闘竜の騎士が質問してきました。
「いいですよ、何でも聞いてください」
「亜竜達は昼も夜も同じように活動できますが、私達人間は夜目がききません。
普段の訓練では、道具を活用する事で夜間行動も可能になっています。
今回は駐屯している者で昼夜交代するのでしょうか」
「良い質問です。
俺が説明し忘れている所をよく聞いてくれました。
基本交代制でやります。
多くの商人が街道の通過許可を求めてきます。
特にイングルウッドに拠点を持つ商会の者達が強く許可を求めてきます」
俺は少し黙って騎士や御者が話しを理解しているのかを確かめた。
表情的には理解しているように思えるが、後で質問して確認しておきましょう。
「商売で成り立っていたイングルウッド侯国です。
他の都市や村と行き来出来なくなると、侯国が成り立ちません。
必ず夜陰に乗じて通り抜けようとします。
ですが、絶対に通過させません。
成功させてしまったら、我が家の威信にかかわります。
疲れて眠くなる事もあるでしょうが、昼夜交代して街道を封鎖してください」
「「「「「はっ!」」」」」
「では最後に本当に今作戦を理解しているか質問しますが、それが終わったら四つに分かれて街道を封鎖してください。
俺はヘレンズ侯国に戻って侯国の接収を行います」
街道封鎖を亜竜軍団に任せた俺は、直ぐにヘレンズ侯国に戻り、ヘレンズ侯王を始めとしたロイス侯王家の者達と話し合いました。
連邦法に違反していたイングルウッド侯王との契約書は無効です。
俺が手助けすれば、これまで一方的に搾取されてきた賠償金を取り戻す事も不可能ではありませんが、彼らにそんな気持ちはありませんでした。
俺自身も、彼らに頼まれても手を貸す気はありません。
俺はマクネイア家の次期当主なのです。
一番先に考えなえればいけないのは、マクネイア家の利益です。
ヘレンズ侯王家を助けるために、マクネイア家の利益を損なうような事は、絶対にできないのです。
「ヴァルフレード殿、私に侯王位を譲位するのに文句はありませんか?」
「全くありません。
そもそも性格的に侯王など務まらなかったのです。
父上がイングルウッド侯王の仕掛けた汚い罠に落ち、憤死したので仕方なく跡を継いだだけで、本当は刀鍛冶として生きて行きたかったのです。
そもそも家祖が領主になったのも、仲間の鍛冶や鉱夫が他の領主に搾取されていたのを救うためだったと伝え聞いています。
フェルディナンド公子がヘレンズ侯国の民を幸せにしてくれるのでしたら、よろこんで侯王位を移譲させていただきます」
「私とヴァルフレード殿の間では譲位ですが、表向きはヴァルフレード殿が俺に敗れて侯王位を奪われた形になります。
とても不名誉な事ですが、それでもいいのですね?」
「かまいません、と言うか、私よりもフェルディナンド公子の方が悪く言われるでしょう?」
「そんな事はありませんよ。
私は卑怯者ですから、イングルウッド侯王に命じられたヴァルフレード殿が、国民のために私に喧嘩を売って来たことにします」
「それでは、私もフェルディナンド公子も被害者で、全ての原因はイングルウッド侯王にあるように思われますが、嘘がバレたらどうするのですか?」
「誰の言っている事を信用するかは、日頃の行いにかかっています。
ヴァルフレード殿と私の言っている事が信用されるか、イングルウッド侯王の言っている事が信用されるかは、全て日頃の行い次第です」
「ずっと悪辣非道な商売をしてきたイングルウッド侯王は、真実を話しても誰にも信じてもらえず、真面目に生きて来た私達は嘘を言っても信じてもらえる……
本当にそれでいいのでしょうか?」
「家臣領民、いえ、伯王や侯王なら家臣国民と言わなければいけませんね。
彼らを幸せにするためなら、多少の非道は厭いません。
まして悪名など、どれほど広まっても構いません。
ヴァルフレード殿もその覚悟があったから、イングルウッド侯王の言い成りになっていたのでしょう?」
「はい、自分のプライドよりも、国民の命を最優先してきました。
それが本当に正解だったのかは今でも分かりません」
「簡単に正解も失敗も断言できないのが為政だと教わりました。
今までもこれからも、精一杯生きるしかありません」
「はい、その覚悟はできています」
「話は変わりますが、もし一族の方で騎士の地位を望まれる方がおられるのでしたら、侯王位を禅譲していただいたお礼に、一人に一つ家を新設しましょう」
「ありがとうございます。
昨日聞いた時点では、全員が鍛冶職人を望んでいましたが、もう一度聞いてみますので、騎士を望む者がいたら宜しくお願いします」
「分かりました、騎士を望まれる方には地位と給与を与えます。
望まないロイス家の方々には、これからは鍛冶職人として生きていただきます」
「はっ、有難き幸せでございます」
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