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第1章

中山競馬場グルメ 味噌ラーメン 煮込み

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12月10日中山競馬場:パドック

 今日も朝食バイキングを腹一杯詰め込んでから中山競馬場に来て、開門と同時に中に入った。昨日とほぼ同じように、太郎君と花子ちゃんを、俺と綾香さんで交代して遊ばせてあげた。ただ1つだけ増えた事があって、それは馬車に乗る事だった。

 昼に運行される馬車に乗るには、4人同時で食事する事を諦めなければいけないが、太郎君と花子ちゃんはそれでも馬車に乗りたいとはっきり言った。だから2人2組に分かれて食事に行く事になったのだ。

「今日の味噌ラーメンの味はどうでした?」

「美味しかったですよ。私は特味玉みそこってりラーメンを食べたのですが、スープは酸味より塩味が強いパンチが利いています。ラードや鶏油ではなく、背脂を加えて完成するスープですが、麺との調和がとれています」

「麺はどうだったんですか?」

「腰のある中太縮れ麺で、食べ応えがあります。さっきも言いましたが、塩味の強い豚骨味噌スープによくあっていて美味しいです」

「チャーシューはどうでした?」

「ロール状で、それなりの厚みはありますが、これと言った特徴はありません。スープに浸すと厚みの割に柔らかくなって、良くも悪くも存在感が消えます」

「他の具材はどうですか?」

「味玉は、硬さも味付けも塩辛くて濃厚なスープによく合っています。モヤシは少々残念な事に、ただ茹でただけですね。私の好みから言えば、味噌スープと一緒に茹でて仕上げて欲しいですね。でもまあ、開店日も営業時間も限られる、競馬場内の売店形式の店では仕方ないかもしれませんね。あ、それと海苔も乗っていますが、ライスと一緒に食べると美味しいと思いますよ」

「総合的なに判断して、庶民が食べるラーメンとしてはどうですか?」

「そうですね、私のようなラーメン好きでなければ、チャーシューが1枚と味玉入りでこの値段ですから、かなり高いと感じるかもしれません。それと売店形式の立ち食いですから、レンゲがありません。底に沈んだコーンを食べようと思うと、スープを全部飲まなければならないです」

「わずかな費用ですが、1杯1杯に使い捨てのレンゲをつける訳にもいきませんからね。それにスープに自信があって、飲み干してもらえると考えているのかもしれませんね」

「そうですね、それはあるかもしれませんね」

中山スペシャルみそラーメン:1200円×1=1200円
特みそこってりらーめん  :880円
特みそらーめん      :880円
辛肉みそらーめん     :980円
みそこってりらーめん   :780円
特味玉みそこってりラーメン:930円×1=930円
味玉みそこってりらーめん :880円
チャーシューみそらーめん :1200円
味噌バターコーンらーめん :980円

チャーシュー3枚:300円
辛肉味噌玉   :150円
高級海苔5枚  :100円
風邪予防ネギ  :100円
特味噌味玉変更 : 50円
ゆで玉子: 50円
味付玉子:100円
バター :100円
コーン :100円
半ライス:100円
ライス :150円

小計:2130円





「じゃあ僕達はうどんを食べに行こうか?」

「花子はそばが食べたい~」

「そうだね、花子ちゃんはそばにしようね」

 俺と花子ちゃんは、ラーメンよりもうどんそばを選んだ。

 綺麗に2人2組に分かれたのは、太郎君と花子ちゃんが俺と綾香さんに気を使ってくれたのかもしれない。そう思うと少々胸が痛んだが、手を繋ぐと、嬉しそうに俺の顔を見て微笑んでくれるので、これはこれでいいのだと思う事が出来た。

 今日来たうどんそば屋さんは、売店形式の店が、内馬場投票所のファーストフードプラザ、スタンド地下1階、1階の3カ所にある。さらにスタンド2階には、レストラン形式の店があるのだが、値段を考えると立ち食い売店形式がいいと思ってしまう。

 店舗によって品揃えが少々違うのだが、今回はスタンド1階の店に行って食べることにした。

「うどん・そば」
月見   :400円
きつね  :430円×1=430円
かけ   :340円
ちくわ  :450円
てんぷら :450円
コロッケ :430円×1=430円
肉南   :550円
煮込み  :500円×1=500円
おにぎり :150円
生卵   : 60円
いなり2個:150円

小計:1360円

 俺がこの店を選んだ1番の理由は、そろそろうどんが食べたくなったと言うのが1番だ。それに加えて、中山競馬場内の飲食店メニューを対象としたコンテストで、ここの煮込みのいいね率が98・4%と、堂々の最多得票で1位になったとネットに書かれていたからだ。

 お店に来てみると、蕎麦と煮込みの注文兼受け取り口は別れていて、煮込みは右側の方だった。500円払って渡された煮込みを見ると。競馬場の常識通り、発泡スチロールの丼になみなみ入っている。居酒屋などで煮込みを注文されると、小鉢に入って出てくるので、このボリュームに驚かれる人もいるかもしれない。

 そして煮込みの中には、様々な部位の豚のモツとたっぷりの根菜類と豆腐が、白みそで煮込まれている。これが関東保守本流のもつ煮込みだと言う事を、昨日のネット記事を読んで初めて知った。

 すぐに近くの立ち食い用のカウンター席で食べてみると、これがなかなか美味しいのだ。好みは分かれるだろうが、豚のモツにしてはクセが無くてとろとろに柔らかい。味噌味のスープもモツからいい味が出ていて美味しいのだ。グランプリNo.1輝くだけの料理だと思う。

「花子ちゃん、コロッケそばは美味しいかい?」

「美味しい~」

 俺は元々そばを食べないからわからないが、関東の濃い目の汁にコロッケを崩れないように浸して食べると、とても美味いのかもしれない。それにコロッケから揚げ油が染み出るから、天ぷらそばと同じで美味しいのかもしれない。

 そんな事を思っていると、花子ちゃんはワシワシとコロッケを崩して汁と混ぜていた!

 好きな人にはこれが美味しいのだろうか?

 煮込みを食べると食欲が刺激されたようで、無性にきつねうどんが食べたくなった!

 元々きつねうどんが食べたくてこの店を選んだのだが、ネットサーフィンしているうちに煮込みの評判を知り、先に煮込みを食べてしまったのだ。

「花子ちゃんもお替り食べる?」

「花子は後でお餅を食べるのぉ~」

「そっか、だったら少し待っててね」

「花子は待ってるよぉ~」





 この日もクリスマスイルミネーションを愉しんだのだけれど、競馬自体も大いに儲けることが出来た。第5競走で大穴が来て、昨日程ではないが、わずか1競走で1憶9300万円も勝つことが出来た!

 1日通しては、2億6048万3000円もの大金を稼ぐ事が出来た。八百長を疑わないとしたら、全てを表に出して税金を支払い、養老馬のNPO法人を設立出来ればいいのだけれど、馬券師では難しいだろうな。

ネット投票:2億6048万3000円
現金投票 :2億6048万3000円

 さて、昨日と同じように、太郎君と花子ちゃんと綾香さんがクリスマスイルミネーションを愉しんている間に、俺は船橋競馬場関係者と連絡をした。

 多くは川崎競馬場の開催中に会いたいと言うもので、調教師さんの中には、熱心に2歳馬を買わないかと勧めて来る人もいた。確かに十二分な資金力があるのなら、養老馬に使うよりも、新馬を購入した方が一般的な夢があるだろう。

 だがそう言う事を繰り返してきたから、多くの功労馬まで肉にしてしまったのだ。経済動物であり、俺自身も馬肉を食べた事があるから、悪いとは言わないし言えないのだけれど、根本的な仕組みを変えた方がいいと思う。

 生産と販売だけで馬産地の経済を動かすよりも、養老馬の受け入れと世話までを経済に組み入れたら、牧場の安定収益になると思うのだ。博打のような生産を収入の柱にしてしまうと、牡馬と牝馬のどちらを受胎するかだけで、売値が大きく変わってしまう。

 種付けから販売までの期間によって、競馬界の需要が変わってしまい、想定していた価格で売れないことも多い。まして強い馬を求めるあまり、極端な近親交配インブリードのよって数多あまたの奇形が産まれて来ているという現実がある。

 多少でも医療の知識のあるものなら、この危険には気付いているはずなのだが、競馬関係者からそう言う話を聞く事は滅多にない。

 若かりし頃に調べた事を思いだすと、近親交配による弊害は流産死産として現れ、その割合は1割もあると書かれていた記憶がある。

 だが本当に死産だったのだろうか?

 生産牧場の人達が、奇形で生まれた子を、秘かに安楽死させているのではないのだろうか?

 そう言う恐怖感と言うか、忌避感を感じた事。ほとんどの馬が寿命を全うできず、肉にされてしまうと言う現実を知った事。これに脱サラして鍼灸・整骨の世界に進もうとしたことで、ギャンブルを一切立つことが出来たのだと思う。

 それを思えば、太郎君と花子ちゃんの御蔭で手に入れる事が出来たお金は、全て養老馬の為に使うのが正しいだろう。

 まあそれはそうとして、奇形や気性の問題などでどうしても売れなくて、2歳なのに処分されそうな馬がいるのなら、そんな子は買ってあげてもいい。だが、馬肉として需要のある輓馬ですら30万円なのだから、サラブレッドは5万10万でしか受け入れられない。

 生産牧場の人からすれば、高額な種付け料を払い、2歳になるまで肥育する手間暇をかけて、100万しか値がつかなければ大赤字だろう。いや、200万で売れても人件費すら出ないのではないだろうか?

 セリなら最低価格を設定できるが、最低価格で買い手がいない場合は、出品者が引き取り売れ残る事になる。そうなると庭先取引となり、思いっきり買い叩かれる羽目になる。

 そんな不安定な商売を柱に馬産地を維持するよりも、養老馬の世話を主な収益として、副業くらいの規模で生産牧場をした方が、馬産地を維持できるのではないかと愚考するのだが、どうなんだろうか?

 さて、この日も太郎君と花子ちゃんと綾香さんは、昨日と同じ和菓子を買った。

小計:6060円

 僕も同じようにたこ焼きなどを買った。

小計:5460円

 そしてタクシーに乗って、製パン会社の企業年金基金会館に戻り、4人でゆったりとした時間を愉しんだ。

タクシー代:2710円
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