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第一章
第6話:プロポーズ
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「エルサ、君は俺の初恋の君だ、ずっと好きだったんだ、結婚してくれ」
残虐非道で愚かなマルティン王太子も、身勝手で性悪な妹のマリアも、マリアだけを溺愛する両親も関係ありません。
これほどの人々の前で婚約破棄された直後の私に、愛を伝え結婚を申しこんでくれる人がいるのです。
しかもその人は、血筋だけで地位や財産を手に入れた無能ではなりません。
才能と努力だけで、大陸一の勇者の称号と人望を手に入れた人です。
「はい、私のような婚約破棄された女でよければ、結婚して仲のよい家庭を築き、一緒に幸せになりましょう」
別に卑下しているわけではありませんが、国内外の王侯貴族の集う場所で婚約破棄を言い渡されたのは事実です。
普通なら取り返しのつかない傷になります。
そんな女と結婚する事は、ルーカスの経歴に傷をつけるかもしれません。
ルーカスのような勇者が、そのような事を気にするとは思いませんが、つい確認してしまいました。
「君のように素晴らしい女性の魅力が分からない、獣同然の愚か者が婚約破棄を口にしてくれてよかったよ。
婚約破棄がなければ、決闘を申し込んでいたところだよ。
あんな豚に決闘を申し込んだら、それこそ生涯の恥になっていたからね」
「「「「「おおおおおお」」」」」
会場がどよめいていますが、当然でしょう。
一国の王太子に決闘を申し込むつもりだったというのですからね。
相手がルーカスでなければ、口先だけの言葉だと思うでしょう。
でもルーカスが口にしたら、誰も疑いません。
それは私も同じですが、少し欲張りな事も考えてしまいました。
本当にルーカスが決闘を申し込んで、私を巡って王太子と戦ってくれていたら、それはそれでとても幸せな気持ちになれただろうと。
「えええええい、私を無視して好き勝手言いやがって!
近衛騎士、何をしておるか、ルーカスを殺せ、殺すのだ!
殺さなければ、お前の家族を皆殺しにするぞ!」
王太子がまた許し難い命令を近衛騎士にしています。
このような醜態を重ねたら、王家の信望は地に落ちてしまいますね。
などと私は一瞬考えましたが、ルーカスはもう我慢ができなかったようです。
スタスタと王太子に近づくと、平手を喰らわせました。
本来ならあまりの素早さに眼にとまらないはずなのですが、何故か私にもルーカスが王太子の頬を張るのが見えました。
グッワッシャーン
王太子が会場の壁に叩きつけられ、轟音が響き渡りました。
手足があらぬ方向に向かっていますが、四肢が全て折れているのでしょう。
何故か見えた平手の一瞬でも、顎の骨が粉砕されているのが分かりましたから、少なくても五ケ所、いえ、身体中の骨が折れているはずです。
それでもピクピクと動いていますから、殺さないように手加減したのでしょう。
「では、エルサ嬢、辺境の私の城に同道願えますか?」
「はい、喜んで」
残虐非道で愚かなマルティン王太子も、身勝手で性悪な妹のマリアも、マリアだけを溺愛する両親も関係ありません。
これほどの人々の前で婚約破棄された直後の私に、愛を伝え結婚を申しこんでくれる人がいるのです。
しかもその人は、血筋だけで地位や財産を手に入れた無能ではなりません。
才能と努力だけで、大陸一の勇者の称号と人望を手に入れた人です。
「はい、私のような婚約破棄された女でよければ、結婚して仲のよい家庭を築き、一緒に幸せになりましょう」
別に卑下しているわけではありませんが、国内外の王侯貴族の集う場所で婚約破棄を言い渡されたのは事実です。
普通なら取り返しのつかない傷になります。
そんな女と結婚する事は、ルーカスの経歴に傷をつけるかもしれません。
ルーカスのような勇者が、そのような事を気にするとは思いませんが、つい確認してしまいました。
「君のように素晴らしい女性の魅力が分からない、獣同然の愚か者が婚約破棄を口にしてくれてよかったよ。
婚約破棄がなければ、決闘を申し込んでいたところだよ。
あんな豚に決闘を申し込んだら、それこそ生涯の恥になっていたからね」
「「「「「おおおおおお」」」」」
会場がどよめいていますが、当然でしょう。
一国の王太子に決闘を申し込むつもりだったというのですからね。
相手がルーカスでなければ、口先だけの言葉だと思うでしょう。
でもルーカスが口にしたら、誰も疑いません。
それは私も同じですが、少し欲張りな事も考えてしまいました。
本当にルーカスが決闘を申し込んで、私を巡って王太子と戦ってくれていたら、それはそれでとても幸せな気持ちになれただろうと。
「えええええい、私を無視して好き勝手言いやがって!
近衛騎士、何をしておるか、ルーカスを殺せ、殺すのだ!
殺さなければ、お前の家族を皆殺しにするぞ!」
王太子がまた許し難い命令を近衛騎士にしています。
このような醜態を重ねたら、王家の信望は地に落ちてしまいますね。
などと私は一瞬考えましたが、ルーカスはもう我慢ができなかったようです。
スタスタと王太子に近づくと、平手を喰らわせました。
本来ならあまりの素早さに眼にとまらないはずなのですが、何故か私にもルーカスが王太子の頬を張るのが見えました。
グッワッシャーン
王太子が会場の壁に叩きつけられ、轟音が響き渡りました。
手足があらぬ方向に向かっていますが、四肢が全て折れているのでしょう。
何故か見えた平手の一瞬でも、顎の骨が粉砕されているのが分かりましたから、少なくても五ケ所、いえ、身体中の骨が折れているはずです。
それでもピクピクと動いていますから、殺さないように手加減したのでしょう。
「では、エルサ嬢、辺境の私の城に同道願えますか?」
「はい、喜んで」
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