上 下
30 / 32
第一章

第30話:蘇生復活

しおりを挟む
 私はブリトニーが地下に造った快楽殺人部屋を丹念に探し回りました。
 魔力使って残された被害者の遺体を一人一人丹念に確認して手で分けました。
 魔力を使って他の人の骨や肉片と分けることもできます。
 ですが全部を魔力で行うと多くの魔力が必要になります。
 蘇生復活の魔術には膨大な魔力が必要なので、その前の分別では魔力を節約したかったのです。

 私は魔力に任せて骨だけになっていた被害者を蘇生復活させました。
 その数は信じられないほど多く、二三七人もいました。
 人の多い王都とはいえ、二三七人ものうら若い娘が行方不明になったのです。
 王都の人々は恐怖と絶望に囚われているでしょう。
 人々を安心させるためにも、ブリトニーの悪事を広めるためにも、身勝手な理由で殺された娘達は救わなければいけません。

「ありがとうございます、ありがとうございます、ありがとうございます」
「キャメロン様、ありがとうございます」
「キャメロン様、キャメロン様は聖女様じゃ、聖女キャメロン様じゃ」
「女神様だ、キャメロン様こそ女神様だ」

 蘇生魔術でブリトニーに殺された娘達を蘇生復活させた私は、王都の人々から聖女だ女神だと称えられました。
 
「この悪魔、魔女め」
「お前なんか今直ぐ殺されちまえ」
「親殺しの人でなしが」
「簒奪者の偽王め、これでも喰らえ」
「もっと苦しめばいいんだ」

 晒し者にされているオーガストは簒奪王や偽王と言われています。
 悪魔魔女と罵られているブリトニーと一緒に罵声と投石は浴びせられています。

「やめろ、俺様は王だぞ、俺様にひれ伏せ、この虫けらどもめ」

「やめよ、止めないか、これは全部キャメロンの仕組んだ事なのです。
 婚約破棄追放女が私を貶めようとした罠なのです。
 私を助けなさい。
 私を助ければ貴族に叙爵してあげますよ」

「おお、そうだ、そうだ、叙爵してやるから助けろ。
 英明な王である余が貴族に叙爵してやるのだ。
 命を捨てて余に尽くせ」

「やかましいわ、この悪魔め」
「娘を蘇られてくださった聖女様の悪口を言うなんて、死んじまえ」
「女神様の敵を殺せ」
「石だ、もっと石を持ってきてぶつけてやれ」

 私は自分の行為を正当化するため積極的に多くの噂を流しました。
 ブリトニーとオーガストの悪行を国内だけでなく大陸中に流しました。
 自分を賛美するような噂も恥ずかしさを押し殺して流しました。
 まあ、これに関しては蘇生復活させた娘と、その家族が褒め称えてくれましたから、それほど自分から流す必要はなかったのですが。

「キャメロン嬢、王都の事はレミーと騎士に任せて国内を巡りましょう」
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

「妹にしか思えない」と婚約破棄したではありませんか。今更私に縋りつかないでください。

木山楽斗
恋愛
父親同士の仲が良いレミアナとアルペリオは、幼少期からよく一緒に遊んでいた。 二人はお互いのことを兄や妹のように思っており、良好な関係を築いていたのである。 そんな二人は、婚約を結ぶことになった。両家の関係も非常に良好であったため、自然な流れでそうなったのだ。 気心のしれたアルペリオと婚約できることを、レミアナは幸いだと思っていた。 しかしそんな彼女に、アルペリオはある日突然婚約破棄を告げてきた。 「……君のことは妹としか思えない。そんな君と結婚するなんて無理だ」 アルペリオは、レミアナがいくら説得しても聞き入れようとしなかった。両家が結んだ婚約を、彼は独断で切り捨てたのである。 そんなアルペリオに、レミアナは失望していた。慕っていた兄のあまりのわがままさに、彼女の気持ちは冷めてしまったのである。 そうして婚約破棄されたレミアナは、しばらくして知ることになった。 アルペリオは、とある伯爵夫人と交際していたのだ。 その事実がありながら、アルペリオはまだレミアナの兄であるかのように振る舞ってきた。 しかしレミアナは、そんな彼を切り捨てる。様々な要素から、既に彼女にはアルペリオを兄として慕う気持ちなどなくなっていたのである。 ※あらすじを少し変更しました。(2023/11/30) ※予想以上の反響に感想への返信が追いついていません。大変申し訳ありません。感想についてはいつも励みになっております。本当にありがとうございます。(2023/12/03) ※誤字脱字などのご指摘ありがとうございます。大変助かっています。

婚約破棄の夜の余韻~婚約者を奪った妹の高笑いを聞いて姉は旅に出る~

岡暁舟
恋愛
第一王子アンカロンは婚約者である公爵令嬢アンナの妹アリシアを陰で溺愛していた。そして、そのことに気が付いたアンナは二人の関係を糾弾した。 「ばれてしまっては仕方がないですわね?????」 開き直るアリシアの姿を見て、アンナはこれ以上、自分には何もできないことを悟った。そして……何か目的を見つけたアンナはそのまま旅に出るのだった……。

平凡な伯爵令嬢は平凡な結婚がしたいだけ……それすら贅沢なのですか!?

Hibah
恋愛
姉のソフィアは幼い頃から優秀で、両親から溺愛されていた。 一方で私エミリーは健康が取り柄なくらいで、伯爵令嬢なのに贅沢知らず……。 優秀な姉みたいになりたいと思ったこともあったけど、ならなくて正解だった。 姉の本性を知っているのは私だけ……。ある日、姉は王子様に婚約破棄された。 平凡な私は平凡な結婚をしてつつましく暮らしますよ……それすら贅沢なのですか!?

この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私はあまり大切にされず育ってきたのですが……?

四季
恋愛
この国において非常に珍しいとされている銀髪を持って生まれた私、これまであまり大切にされず育ってきたのですが……?

【完結】猫を被ってる妹に悪役令嬢を押し付けられたお陰で人生180度変わりました。

本田ゆき
恋愛
「お姉様、可愛い妹のお願いです。」 そう妹のユーリに乗せられ、私はまんまと悪役令嬢として世に名前を覚えられ、終いには屋敷を追放されてしまった。 しかし、自由の身になった私に怖いものなんて何もない! もともと好きでもない男と結婚なんてしたくなかったし堅苦しい屋敷も好きでなかった私にとってそれは幸運なことだった!? ※小説家になろうとカクヨムでも掲載しています。 3月20日 HOTランキング8位!? 何だか沢山の人に見て頂いたみたいでありがとうございます!! 感想あんまり返せてないですがちゃんと読んでます! ありがとうございます! 3月21日 HOTランキング5位人気ランキング4位…… イッタイ ナニガ オコッテンダ…… ありがとうございます!!

婚約破棄をしてくれてありがとうございます~あなたといると破滅しかないので助かりました (完結)

しまうま弁当
恋愛
ブリテルス公爵家に嫁いできた伯爵令嬢のローラはアルーバ別邸で幸せなひと時を過ごしていました。すると婚約者であるベルグが突然婚約破棄を伝えてきたのだった。彼はローラの知人であるイザベラを私の代わりに婚約者にするとローラに言い渡すのだった。ですがローラは彼にこう言って公爵家を去るのでした。「婚約破棄をしてくれてありがとうございます。あなたといると破滅しかないので助かりました。」と。実はローラは婚約破棄されてむしろ安心していたのだった。それはローラがベルグがすでに取り返しのつかない事をしている事をすでに知っていたからだった。

【完結】契約結婚の妻は、まったく言うことを聞かない

あごにくまるたろう
恋愛
完結してます。全6話。 女が苦手な騎士は、言いなりになりそうな令嬢と契約結婚したはずが、なんにも言うことを聞いてもらえない話。

妹は私から奪った気でいますが、墓穴を掘っただけでした。私は溺愛されました。どっちがバカかなぁ~?

百谷シカ
恋愛
「お姉様はバカよ! 女なら愛される努力をしなくちゃ♪」 妹のアラベラが私を高らかに嘲笑った。 私はカーニー伯爵令嬢ヒラリー・コンシダイン。 「殿方に口答えするなんて言語道断! ただ可愛く笑っていればいいの!!」 ぶりっ子の妹は、実はこんな女。 私は口答えを理由に婚約を破棄されて、妹が私の元婚約者と結婚する。 「本当は悔しいくせに! 素直に泣いたらぁ~?」 「いえ。そんなくだらない理由で乗り換える殿方なんて願い下げよ」 「はあっ!? そういうところが淑女失格なのよ? バーカ」 淑女失格の烙印を捺された私は、寄宿学校へとぶち込まれた。 そこで出会った哲学の教授アルジャノン・クロフト氏。 彼は婚約者に裏切られ学問一筋の人生を選んだドウェイン伯爵その人だった。 「ヒラリー……君こそが人生の答えだ!!」 「えっ?」 で、惚れられてしまったのですが。 その頃、既に転落し始めていた妹の噂が届く。 あー、ほら。言わんこっちゃない。

処理中です...