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第一章

第25話:メイトランド方伯軍

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「領軍の編成はどうなっていますか」

 私は気になっている事をブレンダに聞いてみました。
 私を頼って来てくれた民を護らなければいけません。
 それが王侯貴族の責務です。

「着々と進んでいます。
 現在移民は六十万を超えていますが、幼い子供を覘いた四十万人が開拓にも使えるような斧や鍬で武装しておりますので、防衛戦争で負ける事はありません」

「六十万の民が二年三年籠城できるだけの兵糧が必要ですね」

「はい、ですがこれ以上の買い占めは食糧価格の高騰に拍車をかけてしまいます。
 それは逃げてくる民を増やすことになってしまいます」

「領軍に専門の輸送部隊を作りましょう。
 彼らにベテューヌ王国以外からも食糧を買ってこさせるのです」

「分かりました、直ぐに新たな部隊編成を行います」

「それと、城の拡張許可は皇国から得られたのですか」

 ブレンダ、その厭らしい笑い顔は止めなさい。

「はい、皇太子殿下が色々と手伝ってくださったの、元離宮なのにすんなりと許可がおりました。
 キャメロンお嬢様からのラブレターがとても効果的だったようです」

「何がラブレターですか、ただの親書ですよ。
 それよりもトイレは確保したのでしょうね。
 六十万もの人が狭い城の中に集まってしまったら、よほど気をつけないと疫病が流行ってしまうのですよ。
 とうぜんですが、飲み水の湧く井戸からも離さなければいけません。
 民にもその事を普段から徹底的に教え諭さなければいけないのですよ」

「はい、その点には細心の注意を払っております。
 領軍への徴兵訓練の際に毎回教え諭しております」

「頼みましたよ。
 できる限りの手は打っていますが、欲にかられた皇帝陛下や大臣が何時ここを奪おうと皇国軍を送ってくるか分からないのです」

「はい、常に偵察を行っております」

「それで、遠征にはどれくらいの兵士を連れていけそうですか

「開拓を中断してもいいのなら、女子供を護る兵士を残して最大で二十万です。
 実戦経験は別にして、傭兵並みの武装を与えた者だけなら三万です。
 中核になる傭兵と冒険者、実戦経験のある民だけなら一万五千です」

「ベテューヌ王国で政変が起こった時に、できるだけ民が死傷しないように事を収めるなら、どれくらいの兵士を引き連れていくべきですか」

「皇国軍の介入を防ぎつつ、皇国軍や領主軍が抵抗を諦める兵力を引き連れていくべきなので、十万ほどでしょうか。
 三万の精鋭だと逆に戦争を引き起こしてしまうかもしれません」

「分かりました、その事も考えて他国にまで行って食糧と物資を買わせてください」

「はい、お任せください」

 実際に兵士を引き連れて遠征するとなると色々と大変ですね。
 しかたない、この手を血で染めるしかありませんね。
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