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第一章

第18話:蠢動・ブリトニー視点

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 くっくっくっくっ、時は来たようですね。
 醜くガサツなキャメロンは、皇国でも嫌われて地方に追いやられました。
 聞いた事もない爵位をもらったようですが、皇太子に股を開いた代償でしょう。
 身体を張ってもらえたのが、廃城と未開地に訳の分からない爵位とは、何と可哀想な事でしょう、ホッホッホッホッホッホッ。

「オーガスト殿下、本当にこのままで宜しいのですか」

「何がだ、ブリトニー」

「何がではありませんわ、オーガスト殿下。
 殿下のような英邁な方が、いつまでも王子のままに止めおかれるなんて、あまりにもおかし過ぎますわ。
 きっと誰かが殿下の悪口を国王陛下に吹き込んでおりますのよ。
 そのような君側の奸、佞臣は殿下の手で成敗すべきですわ」

「なに、父上の側に佞臣がいると申すのか」

「国王陛下の側だけではありませんわ。
 お母上のセシリア王妃殿下や弟君のベイジル殿下の側近にも、佞臣がおります。
 その証拠に、ベイジル殿下の側近の方までがオーガスト殿下に忠誠を誓っているではありませんか。
 早々に成敗されなければ、親兄弟の仲を裂き、内乱を引き起こそうとします。
 いえ、もう引き起こしているに違いありません。
 そうでなければ英邁なオーガスト殿下が立太子されない理由が分かりません」

「おのれ佞臣共が、私がこの手で成敗してくれる。
 誰だ、誰が我らを欺く佞臣なのだ」

 くっくっくっくっ、簡単過ぎて笑ってしまいますね。
 こんな愚か者を操るなど赤子の手をひねるくらい簡単なのに。
 キャメロンの馬鹿は何もしなかったから私に負けたのよ。
 皇国でも同じように何もしなかったのでしょうね。
 もしかしたら、また変な正義感をだしたのかもしれません。
 本当に愚かな、あれで私の姉だとは信じられません。

「少々お待ちくださいませ、オーガスト殿下。
 十分な証拠はございますが、万が一間違いがあってはなりません。
 私達が思いもよらない国の秘密があるかもしれません。
 もう少し調べてからセシリア王妃殿下やベイジル殿下の側近の話を聞きましょう」

「うっむううううう、待てぬ、待てぬぞブリトニー。
 私の立太子を邪魔するモノを放置するなど絶対にできぬ。
 今直ぐ成敗しなければ王国が滅んでしまうかもしれぬ」

 くっくっくっくっ、このまま暴走してくれそうですね。
 この馬鹿が暴れているどさくさに紛れて、セシリアとベイジルを殺す。
 オーガストの戴冠の邪魔になるベイジルだけは必ず殺す。
 それを見越して妊娠しておく方がいいですね。
 本当はもっと賢い男の子供が欲しいのですが、万が一の事を考えてオーガストの子供で我慢しておきましょう。
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