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第一章

第14話:相談

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 使者を送った翌日に面会を許していただけました。
 皇太子殿下との面会は、普通なら七日程度は待たせれると聞いています。
 このような特別待遇が家臣達の危機感を煽っているのでしょう。
 だから直ぐに面会を許していただけた事は嬉しいのですが、もう少し周りへの配慮も考えてくださいとも思ってしまいます。
 そんな身勝手で複雑な心境になってしまうのです。

「特別な配慮をしていただき感謝の言葉もありません」

「いやいや、そのような礼は不要だよ。
 私も君達に色々と迷惑をかけている自覚はあるからね。
 今日も面会も、どういう状況になっていて何を頼みに来たか想像はついているよ。
 皇国にも無能な者が少なからずいてね。
 君がベテューヌ王国に対する大切な政略の駒だと理解できていないのだよ。
 本当に困ったものだよ。
 そんな無能で粗暴な連中は、動いたら直ぐに叩き潰すけれど、くれぐれも君が一撃で殺されないように、十分な準備はしておいてくれたまえ」

 馬鹿な連中を牽制するために、全て知っていると公言されます。
 これで動く貴族は少なくなるでしょうが、本当の馬鹿はそれでも動くでしょうね。
 それにしても、皇太子殿下も大変な性格をされていますね。
 清濁併せ吞む人間を装い、今回は私の事を政略の駒だから助けたと公言されましたが、実際には可哀想だから助けてくれたのが伝わってきます。
 私と同程度の洞察力を持っている人間には本心が駄々洩れでしょうね。

「ありがとうございます、アレクシス皇太子殿下。
 殿下のご厚情には深く感謝しております。
 しかしながらこのまま皇城内におりますと、殿下の名を傷つけてしまうかもしれませんので、できる事なら辺境で静養させていただきたいのです」

「ふむ、キャメロン嬢の私に対する遠慮は嬉しく思う。
 だが、万が一キャメロン嬢が害されるような事があれば、やったのが王国の刺客であろうと皇国の愚者であろうと、私の面目が潰れてしまうのだよ。
 皇国の護りのない辺境に行かせる事など、絶対に許可できないよ」

 あら、あら、ちょっと皇太子殿下がお怒りモードですね。
 自分の誇りを傷つけられたと思ったのでしょうか。
 確かに私が死傷されるような事があれば、皇太子殿下の面目は丸潰れです。
 ですがそんな事は殿下の側近達には最初から分かっていた事です。
 皇太子に付けられるような側近は次代の皇国を指導する最優秀の譜代衆です。
 そんな側近衆が私を狙う貴族を放置しておくこと自体が、おかしなことでした。
 これには何か裏があるか、側近衆の思惑がありそうですね。

「殿下、それに関して提案があるのですが」

 やはり側近衆には私を遠ざけたい理由があるようです。
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