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第一章

第13話:暗闘

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 ブレンダの話はだいたい想像通りでした。
 他国者なのにアレクシス皇太子に近づいたのが許せないという話です。
 万が一にも私がアレクシス皇太子の子供を産むような事があれば、大問題だと考える有力貴族が私を排除しようと動きだしているというのです。
 よくある話、想像通りであるだけに画期的な対処方法などありません。
 皇都に残るのなら刺客を排除できるだけの力が必要になります。

「アレクシス皇太子殿下の側近や、キャメロンお嬢様を狙っている連中に金をばらまくという方法もありますが、そんな事をすると今度は清廉潔白な側近から狙われてしまう危険性もあるのですが……」

 ブレンダが下世話な回避方法を提案してくれます。
 確かにそのような方法もあるでしょうが、そんな方法を使ってしまうと、アレクシス皇太子殿下に嫌われてしまう危険性が高いです。
 いえ、いつもの会話を思い出せば、表面的な言葉遣いや話は砕けた調子なのですが、実際にはとても正義感が強く堅物な所があります。
 表向きは帝王学を学んだ清濁併せ呑む王者に見せかけていますが、実際にはとても許容範囲の狭い性格だと思うのです。

「そうですね、アレクシス皇太子殿下に嫌われるのが一番危険です。
 殿下に使者を送って面会をお願いいたしましょう。
 現状を率直にお話して、今後の事を相談します。
 ですが殿下の加護が得られる前に襲われる可能性もあります。
 ブレンダの提案通り、傭兵ギルドと冒険者ギルドから有能な者を雇いましょう。
 ただし、私を狙っている者の手先が入り込む可能性もあります。
 分かっているでしょうが、その点は注意していてください」

「提案を聞き入れてくれて助かりましたよ。
 依頼者の中には、俺達が何か提案すると侮辱されたと感じる奴が多くてね。
 キャメロンお嬢様がそんな連中と違うのは分かっているんですが、ついつい提案するのが怖くなってしまうんですよね。
 それと信用できる傭兵と冒険者を集めるのは任せてくれ。
 腕ではなく信用度を重視して選抜するよ。
 仲間内には表に出ない情報網があるから、変なのを掴まされる事はないから安心してくれて大丈夫だよ、任せてくれ。
 何よりキャメロンお嬢様なら、後金を払わなかったり契約内容を破ったりすることがないし、最初の金銭条件も上限なしだから最高の人材を集められるよ」

 ブレンダが太鼓判を押してくれているから大丈夫でしょう。
 最高ランクの傭兵や冒険者なら、ブレンダ達と同じように独自の情報網を持っていますから、私を狙っている者達の情報も仲間内の仁義に反しない範囲で提供してくれるはずなので、暗殺を回避できる確率が格段に上がります。
 まあ、隠している力を全開にすれば暗殺されるような事はないですがね。
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