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第一章
第12話:ダイヤモンドと真珠
しおりを挟む 「もう!どうしてそんな意地悪なこと言う
んですかっ。どんなに別れが辛くても、自分
だけお婆ちゃんになっちゃっても、先生や皆
のことは絶対に絶対に忘れたくありません!」
キッ、と右京を睨め上げると右京は堪らな
いといった顔で、ふっははは、と声を上げる。
その横顔は心底ほっとしたようにも見えて、
古都里は冗談を本気に捉えてしまったことが
恥ずかしくなってしまった。やがて目に滲ん
だ涙を拭うと、右京は頬を緩めたままでポン、
と古都里の頭に手を載せる。
「ごめん、そう言ってくれるとわかってて
口にしたんだけど。やっぱり古都里さんは僕
が見込んだだけのことはあるね。そういう気
丈夫なところが魅力的で堪らない。でもね」
ポンポン、と、子どもにそうするように頭
に置かれていた手が離れて、すっ、と足元を
指差す。不思議に思ってその指先を辿った古
都里は、次の瞬間、ああっ、と声をひっくり
返した。
「どうやら僕たちは裸足でベランダに出て
しまったようだ。足の裏が汚れてしまってい
るだろうから、そろそろ靴下を脱いで部屋に
戻ろうか」
「は、はいぃ」
ベランダ口に置かれた一つしかないサンダ
ルを振り返って古都里が肩を竦めると、二人
はどちらともなく笑みを零したのだった。
んですかっ。どんなに別れが辛くても、自分
だけお婆ちゃんになっちゃっても、先生や皆
のことは絶対に絶対に忘れたくありません!」
キッ、と右京を睨め上げると右京は堪らな
いといった顔で、ふっははは、と声を上げる。
その横顔は心底ほっとしたようにも見えて、
古都里は冗談を本気に捉えてしまったことが
恥ずかしくなってしまった。やがて目に滲ん
だ涙を拭うと、右京は頬を緩めたままでポン、
と古都里の頭に手を載せる。
「ごめん、そう言ってくれるとわかってて
口にしたんだけど。やっぱり古都里さんは僕
が見込んだだけのことはあるね。そういう気
丈夫なところが魅力的で堪らない。でもね」
ポンポン、と、子どもにそうするように頭
に置かれていた手が離れて、すっ、と足元を
指差す。不思議に思ってその指先を辿った古
都里は、次の瞬間、ああっ、と声をひっくり
返した。
「どうやら僕たちは裸足でベランダに出て
しまったようだ。足の裏が汚れてしまってい
るだろうから、そろそろ靴下を脱いで部屋に
戻ろうか」
「は、はいぃ」
ベランダ口に置かれた一つしかないサンダ
ルを振り返って古都里が肩を竦めると、二人
はどちらともなく笑みを零したのだった。
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