上 下
10 / 32
第一章

第10話:王都謀略・ブリトニー視点

しおりを挟む
「国王陛下、キャメロンが街の警備隊を襲ったそうではありませんか。
 直ぐに討伐しなければいけないのではありませんか。
 そうしなければ王国の秩序が保たれないのではありませんか。
 いっそ騎士団を派遣して討伐した方がいいのではありませんか。
 必要ならメイトランド公爵家もお手伝いさせていただきますわ」

「まだその必要はないであろう。
 たかだか令嬢一人と冒険者が五人だ。
 それにキャメロン達が警備隊を襲ったのではなく、警備隊がキャメロン達を襲ったのは誤魔化しようがない事実だ。
 それとも町の住民全てをブリトニー嬢が皆殺しにするか。
 さすがにそんな事をすればブリトニー嬢の邪悪さを誤魔化しようがないぞ」

 困りましたね、国王陛下には私の魅力も通用しませんか。
 いっそ陛下に襲われそうになったとオーガストに言って、オーガストに陛下を弑逆させて王国の実権を奪わせた方がいいでしょうか。
 
「下がりなさい、ブリトニー」

 ダメでしょうね、今回の件で完全に警戒されてしまいましたね。
 恐らく厳しい監視の目がついているでしょう。
 少しでも疑わし行動をすれば間違いなく殺されてしまう事でしょう。
 私の事を見逃しているのはオーガストの事があるから。
 国王の弱点はオーガストを、家族を愛している事。
 本来なら処罰しなければいけないオーガストを無罪にするために、家族で争わない為に、私のやった事を黙認してキャメロンを見捨てた。
 
「分かりました国王陛下、直ぐに下がらせていただきます」

 国王が決断しかねている間に力をつける。
 国王に味方する者の力を削ぎ、オーガストやメイトランド公爵家の力を高める。
 一番最初にベイジル第二王子を始末したいけれど、そんな事をすれば家族愛に満ちた国王が黙っていないでしょうね。

 ベイジルの側近を殺すのもまずいわね。
 直接眼に見える形でベイジルの手出しするのは危険だわ。
 ベイジルの側近を金や爵位でオーガスト側に寝返らせるのが一番ね。
 どれほどの金や爵位を与えても、オーガストが権力を握ってから奪えばいい事。
 いえ、私が直接権力を手に入れるまでは与えられるだけ与える方がいいわね。
 最後の最後に全て回収すればいいのだから。

 キャメロンを今直ぐにでも八つ裂きにしてやりたいけれど、仕方ないわね。
 この国を手に入れる事に比べれば些細な事よ。
 気に喰わない女を殺す事は後の愉しみに取っておけばいいわ。
 それにもうキャメロンには何の力もないわ。
 そこそこ優秀な冒険者を雇ったようだけれど、メイトランド公爵家と言う後ろ盾がなければ、持ち出したお金も直ぐに無くなって見捨てられるだけよ。

「オーガスト殿下、大切なお話がございますの」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】記憶を失くした貴方には、わたし達家族は要らないようです

たろ
恋愛
騎士であった夫が突然川に落ちて死んだと聞かされたラフェ。 お腹には赤ちゃんがいることが分かったばかりなのに。 これからどうやって暮らしていけばいいのか…… 子供と二人で何とか頑張って暮らし始めたのに…… そして………

いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と

鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。 令嬢から。子息から。婚約者の王子から。 それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。 そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。 「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」 その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。 「ああ、気持ち悪い」 「お黙りなさい! この泥棒猫が!」 「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」 飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。 謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。 ――出てくる令嬢、全員悪人。 ※小説家になろう様でも掲載しております。

誤解なんですが。~とある婚約破棄の場で~

舘野寧依
恋愛
「王太子デニス・ハイランダーは、罪人メリッサ・モスカートとの婚約を破棄し、新たにキャロルと婚約する!」 わたくしはメリッサ、ここマーベリン王国の未来の王妃と目されている者です。 ところが、この国の貴族どころか、各国のお偉方が招待された立太式にて、馬鹿四人と見たこともない少女がとんでもないことをやらかしてくれました。 驚きすぎて声も出ないか? はい、本当にびっくりしました。あなた達が馬鹿すぎて。 ※話自体は三人称で進みます。

【完結】あなたに従う必要がないのに、命令なんて聞くわけないでしょう。当然でしょう?

チカフジ ユキ
恋愛
伯爵令嬢のアメルは、公爵令嬢である従姉のリディアに使用人のように扱われていた。 そんなアメルは、様々な理由から十五の頃に海を挟んだ大国アーバント帝国へ留学する。 約一年後、リディアから離れ友人にも恵まれ日々を暮らしていたそこに、従姉が留学してくると知る。 しかし、アメルは以前とは違いリディアに対して毅然と立ち向かう。 もう、リディアに従う必要がどこにもなかったから。 リディアは知らなかった。 自分の立場が自国でどうなっているのかを。

平凡令嬢は婚約者を完璧な妹に譲ることにした

カレイ
恋愛
 「平凡なお前ではなくカレンが姉だったらどんなに良かったか」  それが両親の口癖でした。  ええ、ええ、確かに私は容姿も学力も裁縫もダンスも全て人並み程度のただの凡人です。体は弱いが何でも器用にこなす美しい妹と比べるとその差は歴然。  ただ少しばかり先に生まれただけなのに、王太子の婚約者にもなってしまうし。彼も妹の方が良かったといつも嘆いております。  ですから私決めました!  王太子の婚約者という席を妹に譲ることを。  

【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?

曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」 エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。 最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。 (王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様) しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……? 小説家になろう様でも更新中

王命なんて・・・・くそくらえですわ

朝山みどり
恋愛
ティーナは王宮薬師の下っ端だ。地下にある自室でポーションを作っている。自分ではそれなりの腕だと思っているが、助手もつけてもらえず一人で働いていた。 そんなティーナが王命で公爵と結婚することになった。驚くティーナに王太子は公爵がひとめぼれからだと言った。 ティーナだって女の子。その言葉が嬉しいし、婚姻届にサインするとき会った公爵はとても素敵だった。 だが、それからすぐに公爵は仕事だとかで一度も会いに来ない。 そのうえ、ティーナの給料の大半が公爵家に渡される事になった。ティーナにはいるのは端数の部分だ。 お貴族様っていうのはほんとに民から金とるしか考えてないねとティーナは諦めて休みの日も働いて食いつないだ。 だが、ある日ティーナがプッツンとなる出来事が起きた。 働いたって取り上げられるなら、働くもんかと仕事をやめて国一番の歓楽街のある町に向かう事にした。 「わたしは都会が似合う女だからね」 やがて愛しいティーナに会えると戻ってきたジルフォードは愕然とする。 そしてすぐに追いかけたいけどそれも出来ずに・・・・

【完結】どうぞお気遣いなく。婚約破棄はこちらから致しますので。婚約者の従姉妹がポンコツすぎて泣けてきます

との
恋愛
「一体何があったのかしら」  あったかって? ええ、ありましたとも。 婚約者のギルバートは従姉妹のサンドラと大の仲良し。 サンドラは乙女ゲームのヒロインとして、悪役令嬢の私にせっせと罪を着せようと日夜努力を重ねてる。 (えーっ、あれが噂の階段落ち?) (マジか・・超期待してたのに) 想像以上のポンコツぶりに、なんだか気分が盛り下がってきそうですわ。 最後のお楽しみは、卒業パーティーの断罪&婚約破棄。 思いっきりやらせて頂きます。 ーーーーーー

処理中です...