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第一章

第10話:王都謀略・ブリトニー視点

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「国王陛下、キャメロンが街の警備隊を襲ったそうではありませんか。
 直ぐに討伐しなければいけないのではありませんか。
 そうしなければ王国の秩序が保たれないのではありませんか。
 いっそ騎士団を派遣して討伐した方がいいのではありませんか。
 必要ならメイトランド公爵家もお手伝いさせていただきますわ」

「まだその必要はないであろう。
 たかだか令嬢一人と冒険者が五人だ。
 それにキャメロン達が警備隊を襲ったのではなく、警備隊がキャメロン達を襲ったのは誤魔化しようがない事実だ。
 それとも町の住民全てをブリトニー嬢が皆殺しにするか。
 さすがにそんな事をすればブリトニー嬢の邪悪さを誤魔化しようがないぞ」

 困りましたね、国王陛下には私の魅力も通用しませんか。
 いっそ陛下に襲われそうになったとオーガストに言って、オーガストに陛下を弑逆させて王国の実権を奪わせた方がいいでしょうか。
 
「下がりなさい、ブリトニー」

 ダメでしょうね、今回の件で完全に警戒されてしまいましたね。
 恐らく厳しい監視の目がついているでしょう。
 少しでも疑わし行動をすれば間違いなく殺されてしまう事でしょう。
 私の事を見逃しているのはオーガストの事があるから。
 国王の弱点はオーガストを、家族を愛している事。
 本来なら処罰しなければいけないオーガストを無罪にするために、家族で争わない為に、私のやった事を黙認してキャメロンを見捨てた。
 
「分かりました国王陛下、直ぐに下がらせていただきます」

 国王が決断しかねている間に力をつける。
 国王に味方する者の力を削ぎ、オーガストやメイトランド公爵家の力を高める。
 一番最初にベイジル第二王子を始末したいけれど、そんな事をすれば家族愛に満ちた国王が黙っていないでしょうね。

 ベイジルの側近を殺すのもまずいわね。
 直接眼に見える形でベイジルの手出しするのは危険だわ。
 ベイジルの側近を金や爵位でオーガスト側に寝返らせるのが一番ね。
 どれほどの金や爵位を与えても、オーガストが権力を握ってから奪えばいい事。
 いえ、私が直接権力を手に入れるまでは与えられるだけ与える方がいいわね。
 最後の最後に全て回収すればいいのだから。

 キャメロンを今直ぐにでも八つ裂きにしてやりたいけれど、仕方ないわね。
 この国を手に入れる事に比べれば些細な事よ。
 気に喰わない女を殺す事は後の愉しみに取っておけばいいわ。
 それにもうキャメロンには何の力もないわ。
 そこそこ優秀な冒険者を雇ったようだけれど、メイトランド公爵家と言う後ろ盾がなければ、持ち出したお金も直ぐに無くなって見捨てられるだけよ。

「オーガスト殿下、大切なお話がございますの」
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