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第一章

第9話:旅の空3・キャメロン視点

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「じゃあ代表さんよ、血判を押してもらおうか。
 街に残す記録と俺達に渡す分、公爵令嬢様と王宮に送る分をよ」

「そんな、どうか、どうか、お許しください。
 街中のお金をお渡しいたしますから」

 見苦しい奴ですね、今更詫びても遅いのですよ。
 さっさとアニーの言う通りにしないともっと痛い目にあいますよ。
 それに、自分達のお金だけでなく街のお金まで出すと言ってはダメでしょう。
 集まった街の衆が恐ろしい目で見ていますよ。
 私達が出て行った後で殺されてしまいますよ。

「ギャアアアアア、痛い、痛い、痛い」

「おい、おい、おい、指を斬り落としちまったら血判できないだろ、レミー」

「大丈夫、まだ九本もあるわ。
 これでも血判を押さないのなら、次は斬るのではなく叩き潰すわ」

「押します、押します、押しますから許してください」

 生き残った警備隊の代表が私達が作った書類に血判を押していきます。
 自分達が行った犯罪を自供する書類とその賠償金が書かれた書類、更に私達が捕らえてきた盗賊団に対する報奨金と犯罪者奴隷の代金が書かれた書類です。
 私達が手に入れたのは役人と警備兵が持つ全財産と、役人と警備兵が管理していた資金と物資です。

 特に伝令用の馬と馬車が手に入ったのは大きいです。
 これでこの街の者達が今回の件を王都に報告するのが遅れます。
 こんな王都に一番近い街で騒動を起こしてしまったのでは、直ぐに王都に噓の報告を送られて討伐軍が編成されてしまうかもしれません。
 いえ、ブリトニーが王都にいる以上必ず送られてくると思っておくべきです。
 替えの輓馬と馬車を使って騎士団よりも早く国外に出なければいけません。

「キャメロンお嬢様、申し訳ないのですが、馬車で寝てもらわなければいけなくなりました、覚悟してください」

 ブレンダが申し訳ななそうに話しかけてきますが、それくらいは最初から覚悟していましたから、何でもありません。

「大丈夫ですよ、私よりも馬車を操り見張りをするブレンダ達の方が大変でしょう。
 臨機応変に交代して寝てくださいね。
 それと、馬達が潰れないように適度に休んでください。
 馬達を潰してまで急ぐことはありませんよ」

「分かりました、そうさせてもらいます」

 ブレンダ達がうれしそうな表情で答えてくれます。
 彼女達に認められる指示ができているようです。
 特にテイマーのミリアムがうれしそうにしてくれています。
 無慈悲に動物を操るのではなく、友人として付き合っているのでしょうね。
 問題は騎士団が追ってきた時にどうするかですね。
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