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第一章

第8話:旅の空2・キャメロン視点

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 ブレンダが盗賊団の馬車で運んできた連中の受け取り交渉をしています。
 普通は夜間に街の城門は開かないのですが、私達が盗賊団を捕らえて連行してきたという事で、特別に街に入れてくれました。
 まあ、ブレンダが直ぐ入れてくれないと捕らえて盗賊団を次の街に連れて行くと言ったので、職務怠慢を問われるのを恐れて入れてくれたのでしょうけどね。

 ただ問題は役人連中の目つきが悪すぎる事です。
 特に私達が女六人だけだと分かってからの目つきが、いえ、表情が悪すぎます。
 舐めまわすような獣欲に満ちた目で見てきます。
 公爵家の家紋をつけた馬車を見ているのに、邪欲に負けるかもしれませんね。
 私という高貴な美女を嬲り者にできるという獣欲と、盗賊討伐報奨金と犯罪者奴隷代金という金銭欲に負けて。

「カチュアはどう考えていますか」

「間違いなく襲ってくる、でも、皆殺しにすればいい」

 カチュアが表情一つ変えずに怖い事を口にします。

「準備はできていますか、ミリアム」

「お任せください、フクロウ、ヨタカは何時でも襲い掛かれるようにしてあります。
 馬達にも何時でも逃げ出せるように伝えてあります」

 ミリアムも最初から戦う気でいたようです。

「別に逃げだす事なんてないよ。
 今集まっている連中なら私だけでも皆殺しにしてやる。
 同程度の連中なら三倍まで私一人で全滅させてやるよ」

 さすが戦闘狂のレミーですね、言う事が殺伐としています。
 ですが、レミーがそう言うのなら何の心配もないでしょう。

「えっへっへっへっへ、そんな事より俺達と愉しまないか」

 やれやれ、犯罪者奴隷の値段交渉中に本性を現しましたか。
 それでもブレンダ達が盗賊団を捕らえた事で用心はしているのでしょう。
 本来なら決まった金額を渡すだけの、盗賊団捕獲報奨金と犯罪者奴隷報奨金を、高値で買うと嘘を言って値段交渉に時間をかけて、町の役人や警備兵が完全武装する時間稼ぎをしていたのですから。

「ついに本性を現しましたね、下郎ども。
 メイトランド公爵の令嬢として貴方達の犯罪を摘発します。
 同時に公爵令嬢への不敬罪で処罰します、覚悟しなさい」

「しゃらくせぇえええ、俺達全員でまわしてやるよ、やっちまえ」

 警備兵のリーダー格と思われる大柄の野卑な男が叫びました。
 同時に上空からフクロウやヨタカが完全武装の役人や兵の目を狙って攻撃します。
 ブレンダが並の大剣よりも身幅が厚く重い破壊力のある大剣を縦横無尽に振り回し、圧倒的な強さで役人と警備兵を殺していきます。
 レミーが舞うような美しさで双剣を振るい、血の惨劇を創り出しています。
 双剣の舞姫・双剣の狂姫のふたつ名も当然でしょうね。
 問題は皆殺しにした後でどうするかでうね。
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