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第一章
第5話:凡騎士・キャメロン視点
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「私の後をついてきてください」
門番を指揮する騎士はこちらの事など何も考えていないようです。
それに今まで原理原則通り厳しく調べていた城門を部下任せにしています。
どうもあまり賢い騎士ではないようです。
でも、こういう一つの事しかできない漢は嫌いではありません。
身長も二メートル近くあり身体も巌のような筋肉質です。
難し事はさせず、先駆けを任せれば敵を討ち破ってくれる事でしょう。
「どけ、どけ、どけ、緊急の下城だ。
メイトランド公爵家令嬢キャメロン様が、オーガスト第一王子殿下にケガをさせられて大変なのだ、邪魔する者は吹き飛ばすぞ」
これは、逆に二ノ丸三ノ丸で止められるかもしれないと不安になりました。
ですが誰も邪魔する事無くあっさりと通過できました。
もしかしたらこの筋肉騎士は何度も同じような事をやっているのかもしれません。
門番仲間の間では有名な問題児なのかもしれません。
まあ、何度も大声で事件の事を城内ばかりか城下や王都中に広めるという、とても役に立ってくれているので、問題児でもかまいません。
それにもう二度と会う事もないでしょうから。
「どけ、どけ、どけ、緊急の帰領だ。
メイトランド公爵家令嬢キャメロン様が、オーガスト第一王子殿下にケガをさせられたうえに、追放を言い渡されてて大変なのだ、邪魔する者は吹き飛ばすぞ」
私が何もしなくても、あの場にいた王侯貴族が噂を広めなくても、この筋肉騎士一人で王都中に噂を広めてくれました。
護衛のために同じ馬車の中にいるブレンダとカチュアも苦笑しています。
私が計算していた遥か斜め上の事態になりました。
この後どう事態が動くのか、計算し直した方がいいですね。
「お待ちください騎士殿、騎士殿、キャメロンお嬢様がお話があるそうです」
御者台で見張りと護衛をやってくれているアニーが、王都の城門を通過しても先導を止めない筋肉騎士に声をかけてくれました。
「何事でございますか、キャメロンお嬢様」
お前は私の家臣か!
「騎士殿、騎士殿には王城の城門を護るという、とても大切な御役目があるのではありませんか、私はもう大丈夫なので直ぐに戻ってください」
私がそう言うと、筋肉騎士がとても可哀想な人を見るような目で私をみてきます。
なぜそんな表情で私の顔を見るのでしょう。
「そのような状態になられたキャメロンお嬢様を見捨てるなど、騎士として絶対にできません、ご領地まで護衛させていただきます」
ああ、これは私がうかつでした。
顔の傷は塞ぎましたが、顔中に固まった血液がこびりついています。
純白のドレスの半身が血で染まっています。
堅物の騎士なら、愛すべき愚かなこの騎士なら、今の地位を捨てても令嬢に尽くしてくれますね、これが私の失敗です。
さて、これはどうするべきでしょうね。
門番を指揮する騎士はこちらの事など何も考えていないようです。
それに今まで原理原則通り厳しく調べていた城門を部下任せにしています。
どうもあまり賢い騎士ではないようです。
でも、こういう一つの事しかできない漢は嫌いではありません。
身長も二メートル近くあり身体も巌のような筋肉質です。
難し事はさせず、先駆けを任せれば敵を討ち破ってくれる事でしょう。
「どけ、どけ、どけ、緊急の下城だ。
メイトランド公爵家令嬢キャメロン様が、オーガスト第一王子殿下にケガをさせられて大変なのだ、邪魔する者は吹き飛ばすぞ」
これは、逆に二ノ丸三ノ丸で止められるかもしれないと不安になりました。
ですが誰も邪魔する事無くあっさりと通過できました。
もしかしたらこの筋肉騎士は何度も同じような事をやっているのかもしれません。
門番仲間の間では有名な問題児なのかもしれません。
まあ、何度も大声で事件の事を城内ばかりか城下や王都中に広めるという、とても役に立ってくれているので、問題児でもかまいません。
それにもう二度と会う事もないでしょうから。
「どけ、どけ、どけ、緊急の帰領だ。
メイトランド公爵家令嬢キャメロン様が、オーガスト第一王子殿下にケガをさせられたうえに、追放を言い渡されてて大変なのだ、邪魔する者は吹き飛ばすぞ」
私が何もしなくても、あの場にいた王侯貴族が噂を広めなくても、この筋肉騎士一人で王都中に噂を広めてくれました。
護衛のために同じ馬車の中にいるブレンダとカチュアも苦笑しています。
私が計算していた遥か斜め上の事態になりました。
この後どう事態が動くのか、計算し直した方がいいですね。
「お待ちください騎士殿、騎士殿、キャメロンお嬢様がお話があるそうです」
御者台で見張りと護衛をやってくれているアニーが、王都の城門を通過しても先導を止めない筋肉騎士に声をかけてくれました。
「何事でございますか、キャメロンお嬢様」
お前は私の家臣か!
「騎士殿、騎士殿には王城の城門を護るという、とても大切な御役目があるのではありませんか、私はもう大丈夫なので直ぐに戻ってください」
私がそう言うと、筋肉騎士がとても可哀想な人を見るような目で私をみてきます。
なぜそんな表情で私の顔を見るのでしょう。
「そのような状態になられたキャメロンお嬢様を見捨てるなど、騎士として絶対にできません、ご領地まで護衛させていただきます」
ああ、これは私がうかつでした。
顔の傷は塞ぎましたが、顔中に固まった血液がこびりついています。
純白のドレスの半身が血で染まっています。
堅物の騎士なら、愛すべき愚かなこの騎士なら、今の地位を捨てても令嬢に尽くしてくれますね、これが私の失敗です。
さて、これはどうするべきでしょうね。
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