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第一章
第4話:問答無用・キャメロン視点
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「止まってください、こんな時間に戻られるとは何事ですか」
私は運が悪いのかもしれませんね。
普通の門番なら王城から出て行く公爵家の馬車を止めたりしません。
入る時なら危険物を持ち込まないか調べる必要があります。
それも相手が貴族なら体裁を整える程度に調べるだけです。
それを規則通りに厳重に調べるような、原理原則を大切にする堅物の門番に当たってしまったのですから、よほど運が悪いとしか言いようがありません。
「お嬢様がケガをされて急いでいるの、邪魔しないで」
口八丁手八丁の交渉役、アニーが一喝してくれるようです。
「それならば急がれて当然ですが、ケガをされたという証拠がございません。
確認のためにお嬢様のケガを確認させていただけますか」
「門番の分際で何を言っているか分かっているの。
騎士資格を持つ士族であろうと、公爵令嬢にそのような無礼が許されると思っているのか、この慮外者が!」
アニーが本気で怒ってくれていますね。
私の事を心から心配してくれているのでしょう。
「申し訳ないのですが、役目で仕方ないのです」
この騎士は度し難い石頭のようですね。
こんな時でなければ褒めてあげたいところですが、今は急いでいます。
それにこのままだとアニーがこの騎士を斬り殺しかねません。
いえ、アニーよりも後ろの護衛台に乗っているレミーが暴れ出してしまいますね。
「分かりました、私の姿を見てもらえれば分かるでしょう。
カチュア、扉を開けてください」
「はい、キャメロンお嬢様」
さすが軍師役のカチュアは話が早いですね。
いちいち説明しなくても私の考えを読んで行動してくれます。
今は一分一秒が大切な時です。
門番との問答に時間をかけているわけにはいきません。
「この姿を見てください、騎士殿。
オーガスト第一王子殿下にシャンパングラスを叩きつけられた傷です。
しかも婚約破棄と追放まで言い渡されてしまいました。
直ぐに王国領を出て行かなければ、またどんな難癖をつけられるか分かりません。
直ぐに王国領を出なければ命に係わるのです。
これ以上邪魔をするのなら、オーガスト第一王子殿下が私を殺すために仕掛けた罠と断じて、騎士殿を斬りますが、それでもいいのですね」
「誇り高いメイトランド公爵家のキャメロン嬢を疑うような事を口にした事、伏してお詫び申し上げます」
おやおや、騎士の礼ですか。
そんな事はしなくていいですから、さっさと通らせてください。
私が王家の騎士に望むのはそれだけです。
「これよりは私が先導させていただきます、馬ひけ!」
はあぁあ、この騎士は何を考えているのですか?!
私は運が悪いのかもしれませんね。
普通の門番なら王城から出て行く公爵家の馬車を止めたりしません。
入る時なら危険物を持ち込まないか調べる必要があります。
それも相手が貴族なら体裁を整える程度に調べるだけです。
それを規則通りに厳重に調べるような、原理原則を大切にする堅物の門番に当たってしまったのですから、よほど運が悪いとしか言いようがありません。
「お嬢様がケガをされて急いでいるの、邪魔しないで」
口八丁手八丁の交渉役、アニーが一喝してくれるようです。
「それならば急がれて当然ですが、ケガをされたという証拠がございません。
確認のためにお嬢様のケガを確認させていただけますか」
「門番の分際で何を言っているか分かっているの。
騎士資格を持つ士族であろうと、公爵令嬢にそのような無礼が許されると思っているのか、この慮外者が!」
アニーが本気で怒ってくれていますね。
私の事を心から心配してくれているのでしょう。
「申し訳ないのですが、役目で仕方ないのです」
この騎士は度し難い石頭のようですね。
こんな時でなければ褒めてあげたいところですが、今は急いでいます。
それにこのままだとアニーがこの騎士を斬り殺しかねません。
いえ、アニーよりも後ろの護衛台に乗っているレミーが暴れ出してしまいますね。
「分かりました、私の姿を見てもらえれば分かるでしょう。
カチュア、扉を開けてください」
「はい、キャメロンお嬢様」
さすが軍師役のカチュアは話が早いですね。
いちいち説明しなくても私の考えを読んで行動してくれます。
今は一分一秒が大切な時です。
門番との問答に時間をかけているわけにはいきません。
「この姿を見てください、騎士殿。
オーガスト第一王子殿下にシャンパングラスを叩きつけられた傷です。
しかも婚約破棄と追放まで言い渡されてしまいました。
直ぐに王国領を出て行かなければ、またどんな難癖をつけられるか分かりません。
直ぐに王国領を出なければ命に係わるのです。
これ以上邪魔をするのなら、オーガスト第一王子殿下が私を殺すために仕掛けた罠と断じて、騎士殿を斬りますが、それでもいいのですね」
「誇り高いメイトランド公爵家のキャメロン嬢を疑うような事を口にした事、伏してお詫び申し上げます」
おやおや、騎士の礼ですか。
そんな事はしなくていいですから、さっさと通らせてください。
私が王家の騎士に望むのはそれだけです。
「これよりは私が先導させていただきます、馬ひけ!」
はあぁあ、この騎士は何を考えているのですか?!
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