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第一章
第2話:印象・キャメロン視点
しおりを挟む 叩きつけられたシャンパングラスに傷つけられ、所々無残に開いて血が噴き出している顔を、舞踏会場中の王侯貴族が見られるように、ゆっくりと振り向く。
気の弱い令嬢などは一生悪夢に悩まされるかもしれませんね。
さて、ここまでやればブリトニーの嘘も演技も通用しないでしょう。
父母や王太子などの直接接する相手は操れても、やった事をなかった事にするのは無理ですし、社交界に広まった噂を権力でなくすこともむりです。
「おまえが、お前が悪いのだ。
これは、これは、これは正当な罰だ。
私は王子として不敬罪を犯したお前を正当に罰しただけだ」
本当に根性なしでバカな王子。
裂けた傷から血が噴き出し続けて、血塗れになった私の顔を見て、やっと自分のしでかした事を自覚して、責任を問われる事を恐れています。
その恐怖のあまり、役に立たない言い訳を並べ立てるだけです。
私がここまでやったのは、血統が身分を厳しく縛るこの世界では、よほどの事がない限り、身分が低い側から婚約の解消など申し出ることができないからです。
だから今日までお前のようなクズとの婚約を破棄できなかっただけ。
お前と結婚したいなどとは一度も思った事がない。
愛するどころか真っ当な人間とも認めていなかったわ。
でもこのままだと無実の罪に陥れられてどんな罰を受けるか分からない。
絶好の機会だから、冤罪だと分かる形でこの国を出て行かせてもらうわ。
「そうですか、これがオーガスト第一王子殿下の正義なのですね。
何の抵抗もしない、衷心から殿下に諫言する令嬢の顔にシャンパングラスを叩きつけ、生涯残る無残な傷をつける。
それがベテューヌ王国第一王子、オーガスト殿下の正義なのですね。
姉を押しのけて王妃の座を手に入れようとする悪女に誑かされ、罪もない婚約者を陥れて国から追放する。
ただ追放するだけではなく顔に無残な傷をつける。
それがテューヌ王国第一王子、オーガスト殿下の正義なのですね」
「だまれ、だまれ、だまれ、だまれ!
私はブリトニー嬢に誑かされてなどいない。
全部お前が悪いのだ、病弱なブリトニー嬢を虐めたお前が悪いのだ。
お前が身分を弁えなかったのが悪いのだ、私は悪くない、私は悪くないぞ。
私は正当に罰した、不敬罪として罰したのだ」
「私は愚かなのかもしれませんね、ベテューヌ王国第一王子、オーガスト殿下。
私は不敬罪に令嬢の顔をシャンパングラスで切り裂くという罰があるという事を、寡聞にして初めて知りました。
ではこの国を出て多くの国で公言させていただきましょう。
ベテューヌ王国には、王太子の言動に諫言すると令嬢の顔をシャンパングラスで切り裂く不敬罪があるので、令嬢は気を付けなければいけないとね」
「だまれ、だまれ、だまれ、黙れ。
きれ、きれ、斬り捨てよ。
この腐れ悪女を私に対する不敬罪で斬り殺すのだ!」
気の弱い令嬢などは一生悪夢に悩まされるかもしれませんね。
さて、ここまでやればブリトニーの嘘も演技も通用しないでしょう。
父母や王太子などの直接接する相手は操れても、やった事をなかった事にするのは無理ですし、社交界に広まった噂を権力でなくすこともむりです。
「おまえが、お前が悪いのだ。
これは、これは、これは正当な罰だ。
私は王子として不敬罪を犯したお前を正当に罰しただけだ」
本当に根性なしでバカな王子。
裂けた傷から血が噴き出し続けて、血塗れになった私の顔を見て、やっと自分のしでかした事を自覚して、責任を問われる事を恐れています。
その恐怖のあまり、役に立たない言い訳を並べ立てるだけです。
私がここまでやったのは、血統が身分を厳しく縛るこの世界では、よほどの事がない限り、身分が低い側から婚約の解消など申し出ることができないからです。
だから今日までお前のようなクズとの婚約を破棄できなかっただけ。
お前と結婚したいなどとは一度も思った事がない。
愛するどころか真っ当な人間とも認めていなかったわ。
でもこのままだと無実の罪に陥れられてどんな罰を受けるか分からない。
絶好の機会だから、冤罪だと分かる形でこの国を出て行かせてもらうわ。
「そうですか、これがオーガスト第一王子殿下の正義なのですね。
何の抵抗もしない、衷心から殿下に諫言する令嬢の顔にシャンパングラスを叩きつけ、生涯残る無残な傷をつける。
それがベテューヌ王国第一王子、オーガスト殿下の正義なのですね。
姉を押しのけて王妃の座を手に入れようとする悪女に誑かされ、罪もない婚約者を陥れて国から追放する。
ただ追放するだけではなく顔に無残な傷をつける。
それがテューヌ王国第一王子、オーガスト殿下の正義なのですね」
「だまれ、だまれ、だまれ、だまれ!
私はブリトニー嬢に誑かされてなどいない。
全部お前が悪いのだ、病弱なブリトニー嬢を虐めたお前が悪いのだ。
お前が身分を弁えなかったのが悪いのだ、私は悪くない、私は悪くないぞ。
私は正当に罰した、不敬罪として罰したのだ」
「私は愚かなのかもしれませんね、ベテューヌ王国第一王子、オーガスト殿下。
私は不敬罪に令嬢の顔をシャンパングラスで切り裂くという罰があるという事を、寡聞にして初めて知りました。
ではこの国を出て多くの国で公言させていただきましょう。
ベテューヌ王国には、王太子の言動に諫言すると令嬢の顔をシャンパングラスで切り裂く不敬罪があるので、令嬢は気を付けなければいけないとね」
「だまれ、だまれ、だまれ、黙れ。
きれ、きれ、斬り捨てよ。
この腐れ悪女を私に対する不敬罪で斬り殺すのだ!」
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