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第二章
第77話:全面降伏
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「ボリングブルック女伯爵閣下、どうかこの条件で和平に応じていただけませんか」
滝のような冷や汗を流すシリス王国宰相を名乗る男が、ジョアンナに殺意の籠った眼で睨まれ、震える手で条件を書いた魔獣皮紙を差し出してきます。
「宰相殿、私はこの件に関して何も決める気はありません。
実際に命を懸けて戦ってくれた家臣に任せているのです。
安全な城で優雅に暮らしていた私が、彼らの頭越しに決める事などできません。
その手紙は、弟のライアンと指揮官のグレアムに見せてください。
そう何度も申し上げたはずですよ」
「ボリングブルック女伯爵閣下はそう言ってくださいますが、ライアン閣下もグレアム殿も会ってくださらないのです」
「それは、貴国が和平の使者と偽って、私の愛する弟と信頼するグレアムに刺客を送ったからではありませんか。
そのような恥さらしな真似をしておいて、会ってくれないと私を非難するなんで、シリス王国は何て恥知らずな国なのでしょう。
既にシリス王国の悪逆非道、信義も仁義もない行いは大陸各国にお知らせしていますから、いずれ正義の軍が攻め込んで下さるでしょう」
「そ、それは、その、前宰相が国王陛下に諮らずに独断で行った事でして」
「まあ、そのような嘘が何度も通用するとでも思っておられるのですか。
ライアンとグレアムに和平交渉だと言ってきたのは貴国の王子達ですよ。
それも一度ではなく二度も三度もです。
ライアンとグレアムはとても怒っていますよ。
二人は現王から九代遡って王家と血縁のある者は皆殺しにすると言っています。
もう私には止めようがありません、いえ、止める気もありません。
そう言えば宰相殿、貴男も三代前の国王の血を受け継いでいましたね。
この城には、ライアンとグレアムと一緒に出征している将兵の家族がいます。
ここにいるジョアンナはライアン乳姉弟で、グレアムの義妹ですのよ。
貴国の王都にまで生きて辿り着ければいいですね」
「ボリングブルック女伯爵閣下、私の独断ですが、必ず国王陛下を説得します。
ここに書いてある条件ではなく、ライアン閣ともグレアム殿が占領されている土地は全て割譲させていただきます。
それで何とか和平交渉に応じていただけませんでしょうか」
「宰相殿、貴男は本当に恥さらしの愚か者ですね。
別にあなたや貴国に認めていただかなくても、ライアンとグレアムが占領した土地は二人の領地なのですよ。
取り返したければ何時でも戦いを挑めばいいではありませんか。
二人は何時でも正々堂々と戦いに応じてくれますよ。
貴国のように刺客を放ったり人質を取ろうとしたりする事なくね。
宰相殿はもう国が恋しいそうですよ、ジョアンナ。
急いで帰らないとご家族が皆殺しにされた後かもしれませんからね。
城に止めるような情のない事はしないようにね」
滝のような冷や汗を流すシリス王国宰相を名乗る男が、ジョアンナに殺意の籠った眼で睨まれ、震える手で条件を書いた魔獣皮紙を差し出してきます。
「宰相殿、私はこの件に関して何も決める気はありません。
実際に命を懸けて戦ってくれた家臣に任せているのです。
安全な城で優雅に暮らしていた私が、彼らの頭越しに決める事などできません。
その手紙は、弟のライアンと指揮官のグレアムに見せてください。
そう何度も申し上げたはずですよ」
「ボリングブルック女伯爵閣下はそう言ってくださいますが、ライアン閣下もグレアム殿も会ってくださらないのです」
「それは、貴国が和平の使者と偽って、私の愛する弟と信頼するグレアムに刺客を送ったからではありませんか。
そのような恥さらしな真似をしておいて、会ってくれないと私を非難するなんで、シリス王国は何て恥知らずな国なのでしょう。
既にシリス王国の悪逆非道、信義も仁義もない行いは大陸各国にお知らせしていますから、いずれ正義の軍が攻め込んで下さるでしょう」
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「まあ、そのような嘘が何度も通用するとでも思っておられるのですか。
ライアンとグレアムに和平交渉だと言ってきたのは貴国の王子達ですよ。
それも一度ではなく二度も三度もです。
ライアンとグレアムはとても怒っていますよ。
二人は現王から九代遡って王家と血縁のある者は皆殺しにすると言っています。
もう私には止めようがありません、いえ、止める気もありません。
そう言えば宰相殿、貴男も三代前の国王の血を受け継いでいましたね。
この城には、ライアンとグレアムと一緒に出征している将兵の家族がいます。
ここにいるジョアンナはライアン乳姉弟で、グレアムの義妹ですのよ。
貴国の王都にまで生きて辿り着ければいいですね」
「ボリングブルック女伯爵閣下、私の独断ですが、必ず国王陛下を説得します。
ここに書いてある条件ではなく、ライアン閣ともグレアム殿が占領されている土地は全て割譲させていただきます。
それで何とか和平交渉に応じていただけませんでしょうか」
「宰相殿、貴男は本当に恥さらしの愚か者ですね。
別にあなたや貴国に認めていただかなくても、ライアンとグレアムが占領した土地は二人の領地なのですよ。
取り返したければ何時でも戦いを挑めばいいではありませんか。
二人は何時でも正々堂々と戦いに応じてくれますよ。
貴国のように刺客を放ったり人質を取ろうとしたりする事なくね。
宰相殿はもう国が恋しいそうですよ、ジョアンナ。
急いで帰らないとご家族が皆殺しにされた後かもしれませんからね。
城に止めるような情のない事はしないようにね」
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