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第二章
第46話:祝勝会
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「これは、これは、デヴォン伯爵家のアグネス嬢ではありませんか。
この度の事はとても大変だったですな」
王城で行われる戦争の祝勝会では、勝利のお零れに預かろうと欲望丸出しの駆け引きが行われると分かっていました。
私は逃げた旗頭のヘンリー第三王子の婚約者だったのにも関わらず、ロジャー第一王子とビゴッド第三王子の好意を得ていると評判が立っています。
排除しようとする者だけでなく、擦り寄って来る者もいると分かっていました。
だから、本当なら開始時刻のギリギリに登城したかったのです。
ですが、ギリギリだと悪意から登城を邪魔された時に遅刻する可能性があり、ある程度の余裕を持って登城するしかなかったのです。
何があっても対処できるように、家族四人一緒に祝勝会場に入ったのですが、最初に父上が上位貴族に捕まって家族から切り離され、次に母上が上位貴族夫人に捕まって切り離されてしまいました。
最後に弟のライアンがビゴッド第二
本当に色々あり過ぎて、何の事を言っておられるのか分かりません」
「なるほど、多事多難だったのだな、アグネス嬢。
私が言いたかったのは、ヘンリー王子との事だよ。
謀叛の前に、ヘンリー王子から婚約を破棄されたとロジャー殿下からは聞かされたが、それは本当の事なのかい」
ウェルズブラウ侯爵は、私やデヴォン伯爵家がヘンリー第三王子とまだ繋がっていると疑っているのでしょうか。
それとも、内通の疑念が払拭されないような私やデヴォン伯爵家は、ロジャー第一王子やビゴッド第二王子には相応しくないと言っているのでしょうか。
両王子からはできるだけ距離を置きたいので、その策に乗ってもいいのですが、一つ間違えれば我が家が討伐されてしまうかもしれません。
ここは慎重に答えるべきでしょう。
「はい、その通りなのです、ウェルズブラウ侯爵。
デヴォン伯爵家の家財を全て集ったので、もう不要だと切り捨てられました。
ロジャー殿下が助けに来てくださらなかったら、私は殺されていました。
恥をかかされ名誉を失いかけていたデヴォン伯爵家を救ってくださったロジャー殿下には、お礼のしようがないほどの御恩を受けました。
少しでも返せればいいと、国王陛下の介護をさせていただいていたのですが、陛下の介護をさせていただくというあまりの大役に、心身を損ねてしまいました。
しかたなく御役目と爵位を返上させていただき、領地で静養しておりました」
「それは大変だったですね、アグネス嬢。
何時婚約が解消されていたのかは、ヨークシャー王家に仕える貴族としてとても大切な事なので、確認させてもらいました。
私は納得できましたが、理解してくれない貴族や騎士がいるかもしれませんね」
「そうなのですか、今回の大勝利をもたらされたロジャー殿下の言葉を信じない方がいるのですか、信じられない事ですが、ウェルズブラウ侯爵が言われるのでしたら本当の事でしょうが、少々心配になりますね。
ロジャー殿下の逆鱗に触れるような事がなければいいのですが」
この度の事はとても大変だったですな」
王城で行われる戦争の祝勝会では、勝利のお零れに預かろうと欲望丸出しの駆け引きが行われると分かっていました。
私は逃げた旗頭のヘンリー第三王子の婚約者だったのにも関わらず、ロジャー第一王子とビゴッド第三王子の好意を得ていると評判が立っています。
排除しようとする者だけでなく、擦り寄って来る者もいると分かっていました。
だから、本当なら開始時刻のギリギリに登城したかったのです。
ですが、ギリギリだと悪意から登城を邪魔された時に遅刻する可能性があり、ある程度の余裕を持って登城するしかなかったのです。
何があっても対処できるように、家族四人一緒に祝勝会場に入ったのですが、最初に父上が上位貴族に捕まって家族から切り離され、次に母上が上位貴族夫人に捕まって切り離されてしまいました。
最後に弟のライアンがビゴッド第二
本当に色々あり過ぎて、何の事を言っておられるのか分かりません」
「なるほど、多事多難だったのだな、アグネス嬢。
私が言いたかったのは、ヘンリー王子との事だよ。
謀叛の前に、ヘンリー王子から婚約を破棄されたとロジャー殿下からは聞かされたが、それは本当の事なのかい」
ウェルズブラウ侯爵は、私やデヴォン伯爵家がヘンリー第三王子とまだ繋がっていると疑っているのでしょうか。
それとも、内通の疑念が払拭されないような私やデヴォン伯爵家は、ロジャー第一王子やビゴッド第二王子には相応しくないと言っているのでしょうか。
両王子からはできるだけ距離を置きたいので、その策に乗ってもいいのですが、一つ間違えれば我が家が討伐されてしまうかもしれません。
ここは慎重に答えるべきでしょう。
「はい、その通りなのです、ウェルズブラウ侯爵。
デヴォン伯爵家の家財を全て集ったので、もう不要だと切り捨てられました。
ロジャー殿下が助けに来てくださらなかったら、私は殺されていました。
恥をかかされ名誉を失いかけていたデヴォン伯爵家を救ってくださったロジャー殿下には、お礼のしようがないほどの御恩を受けました。
少しでも返せればいいと、国王陛下の介護をさせていただいていたのですが、陛下の介護をさせていただくというあまりの大役に、心身を損ねてしまいました。
しかたなく御役目と爵位を返上させていただき、領地で静養しておりました」
「それは大変だったですね、アグネス嬢。
何時婚約が解消されていたのかは、ヨークシャー王家に仕える貴族としてとても大切な事なので、確認させてもらいました。
私は納得できましたが、理解してくれない貴族や騎士がいるかもしれませんね」
「そうなのですか、今回の大勝利をもたらされたロジャー殿下の言葉を信じない方がいるのですか、信じられない事ですが、ウェルズブラウ侯爵が言われるのでしたら本当の事でしょうが、少々心配になりますね。
ロジャー殿下の逆鱗に触れるような事がなければいいのですが」
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