3 / 7
第一章
第3話:腹の探り合い?
しおりを挟む
「では私もそうさせていただきます。
ここには最低限の使用人しか連れて来ていませんから、彼らの負担を少しでも減らしてあげなければいけません」
シャリーフ王太子殿下が、ほんの一瞬わずかに驚いたような表情をされました。
他の人間ならば、訓練された密偵でも見逃すような反応でしたが、前世では長く生き馬の目を抜く世界で生きてきた、私の眼は誤魔化せません。
殿下は私の事情を詳しく知っているようです。
私がテリー公太子、いえ、キプロス大公国から莫大な慰謝料を得た事を。
まあ、当然と言えば当然ですね。
自国の公爵家と仮想敵国の醜聞ですからね。
「傷心の私は、男性が信じられなくなりましたから、これからは一人で細々と生きていかなければなりません。
例え莫大な慰謝料と台所領をもらえたとしても、何時騙されて銅貨一枚ない貧乏な身の上になるか分からないのです。
今から節約を心掛けなければいけません」
殿下は、何とも言えない表情になられました。
今度は全く表情を隠そうとはされません。
さっきとは違って、隠さなくてもいい事だと判断されたようです。
それにしても、それほど不思議な事なのでしょうか。
私がルクセン公爵家の家督に興味がなく、子供も産む気がないという事が。
まあ、確かに、この世界この時代の女性らしくなないですね。
「いや、正直びっくりしたよ、セシル嬢が家督を継ぐ気がなく、子供を産む気もないとは思いもよらなかったよ。
あれほどの裏切りをされたのだから、二人の子供には、絶対にルクセン公爵家の家督を継がせたくない、そう思っていると考えていたからね。
まあ、ネーデル王家が、仮想敵国のキプロス大公家の血を継ぐ者に、家督を継がせるのを認めるとは思えないから、君が無理に子供を産む必要もないか」
シャリーフ王太子殿下がおかしな言い方をされましたね。
次期国王、王太子殿下の時代に、ルクセン公爵家の家督問題が表面化するはずですから、ここは私は認めないと言うべきところです。
それを他人事のように話すという事は、殿下は王位を継ぐ気がないという事です。
まあ、先ほどからの言動を考えれば、殿下は学院に残って魔術の研究に一生を捧げたいのでしょうね。
お可哀想ですが、殿下にそのような贅沢は許されないでしょう。
弟君達の性格と能力を考えれば、殿下以外に王位を継ぐ適任者はいませんから。
「はい、王家から見れば、ルクセン公爵家は分家の一つにすぎません。
元々王家から別れた家なのですから、危険な外国の血を持つ者に継がせるくらいなら、子弟を送り込んで継がせた方がマシです。
なんなら二つ三つに領地を分けて、力を弱めればいいのです」
ここには最低限の使用人しか連れて来ていませんから、彼らの負担を少しでも減らしてあげなければいけません」
シャリーフ王太子殿下が、ほんの一瞬わずかに驚いたような表情をされました。
他の人間ならば、訓練された密偵でも見逃すような反応でしたが、前世では長く生き馬の目を抜く世界で生きてきた、私の眼は誤魔化せません。
殿下は私の事情を詳しく知っているようです。
私がテリー公太子、いえ、キプロス大公国から莫大な慰謝料を得た事を。
まあ、当然と言えば当然ですね。
自国の公爵家と仮想敵国の醜聞ですからね。
「傷心の私は、男性が信じられなくなりましたから、これからは一人で細々と生きていかなければなりません。
例え莫大な慰謝料と台所領をもらえたとしても、何時騙されて銅貨一枚ない貧乏な身の上になるか分からないのです。
今から節約を心掛けなければいけません」
殿下は、何とも言えない表情になられました。
今度は全く表情を隠そうとはされません。
さっきとは違って、隠さなくてもいい事だと判断されたようです。
それにしても、それほど不思議な事なのでしょうか。
私がルクセン公爵家の家督に興味がなく、子供も産む気がないという事が。
まあ、確かに、この世界この時代の女性らしくなないですね。
「いや、正直びっくりしたよ、セシル嬢が家督を継ぐ気がなく、子供を産む気もないとは思いもよらなかったよ。
あれほどの裏切りをされたのだから、二人の子供には、絶対にルクセン公爵家の家督を継がせたくない、そう思っていると考えていたからね。
まあ、ネーデル王家が、仮想敵国のキプロス大公家の血を継ぐ者に、家督を継がせるのを認めるとは思えないから、君が無理に子供を産む必要もないか」
シャリーフ王太子殿下がおかしな言い方をされましたね。
次期国王、王太子殿下の時代に、ルクセン公爵家の家督問題が表面化するはずですから、ここは私は認めないと言うべきところです。
それを他人事のように話すという事は、殿下は王位を継ぐ気がないという事です。
まあ、先ほどからの言動を考えれば、殿下は学院に残って魔術の研究に一生を捧げたいのでしょうね。
お可哀想ですが、殿下にそのような贅沢は許されないでしょう。
弟君達の性格と能力を考えれば、殿下以外に王位を継ぐ適任者はいませんから。
「はい、王家から見れば、ルクセン公爵家は分家の一つにすぎません。
元々王家から別れた家なのですから、危険な外国の血を持つ者に継がせるくらいなら、子弟を送り込んで継がせた方がマシです。
なんなら二つ三つに領地を分けて、力を弱めればいいのです」
15
お気に入りに追加
195
あなたにおすすめの小説
ブチギレ令嬢の復讐婚~親友と浮気され婚約破棄、その上結婚式場として予定していた場所まで提供してほしいと言われ💔
青の雀
恋愛
事実は小説より奇なり
まるで、私の作品のような話が、本当にありました
この話を書かずして、誰が書くの?という内容なので
3年ほど前に書いたような気がするけど、ちょっと編集で分からなくなってしまって
どっちにしても婚約破棄から玉の輿のスピンオフで書きます
余りにもリアルな話なので、異世界に舞台を置き換えて、ファンタジー仕立てで書くことにします
ほぼタイトル通りの内容です
9/18 遅ればせながら、誤字チェックしました
第1章 聖女領
第2章 聖女島
第3章 聖女国
第4章 平民の子を宿した聖女
番外編
番外編は、しおりの数を考慮して、スピンオフを書く予定
婚約破棄から聖女様、短編集
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
寡黙な貴方は今も彼女を想う
MOMO-tank
恋愛
婚約者以外の女性に夢中になり、婚約者を蔑ろにしたうえ婚約破棄した。
ーーそんな過去を持つ私の旦那様は、今もなお後悔し続け、元婚約者を想っている。
シドニーは王宮で側妃付きの侍女として働く18歳の子爵令嬢。見た目が色っぽいシドニーは文官にしつこくされているところを眼光鋭い年上の騎士に助けられる。その男性とは辺境で騎士として12年、数々の武勲をあげ一代限りの男爵位を授かったクライブ・ノックスだった。二人はこの時を境に会えば挨拶を交わすようになり、いつしか婚約話が持ち上がり結婚する。
言葉少ないながらも彼の優しさに幸せを感じていたある日、クライブの元婚約者で現在は未亡人となった美しく儚げなステラ・コンウォール前伯爵夫人と夜会で再会する。
※設定はゆるいです。
※溺愛タグ追加しました。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
『完』婚約破棄されたのでお針子になりました。〜私が元婚約者だと気づかず求婚してくるクズ男は、裸の王子さまで十分ですわよね?〜
桐生桜月姫
恋愛
「老婆のような白髪に、ちょっと賢いからって生意気な青い瞳が気に入らん!!よって婚約を破棄する!!せいぜい泣き喚くんだな!!」
「そうですか。わたくし、あなたのことを愛せませんでしたので、泣けませんの。ごめんなさいね」
理不尽な婚約破棄を受けたマリンソフィアは………
「うふふっ、あはははっ!これでわたくしは正真正銘自由の身!!わたくしの夢を叶えるためじゃないとはいえ、婚約破棄をしてくれた王太子殿下にはとーっても感謝しなくっちゃ!!」
落ち込むどころか舞い上がって喜んでいた。
そして、意気揚々と自分の夢を叶えてお針子になって自由気ままなスローライフ?を楽しむ!!
だが、ある時大嫌いな元婚約者が現れて………
「あぁ、なんと美しい人なんだ。絹のように美しく真っ白な髪に、サファイアのような知性あふれる瞳。どうか俺の妃になってはくれないだろうか」
なんと婚約破棄をされた時と真反対の言葉でマリンソフィアだと気が付かずに褒め称えて求婚してくる。
「あぁ、もう!!こんなうっざい男、裸の王子さまで十分よ!!」
お針子マリンソフィアの楽しい楽しいお洋服『ざまあ』が今開幕!!
【 完 】転移魔法を強要させられた上に婚約破棄されました。だけど私の元に宮廷魔術師が現れたんです
菊池 快晴
恋愛
公爵令嬢レムリは、魔法が使えないことを理由に婚約破棄を言い渡される。
自分を虐げてきた義妹、エリアスの思惑によりレムリは、国民からは残虐な令嬢だと誤解され軽蔑されていた。
生きている価値を見失ったレムリは、人生を終わらせようと展望台から身を投げようとする。
しかし、そんなレムリの命を救ったのは他国の宮廷魔術師アズライトだった。
そんな彼から街の案内を頼まれ、病に困っている国民を助けるアズライトの姿を見ていくうちに真実の愛を知る――。
この話は、行き場を失った公爵令嬢が強欲な宮廷魔術師と出会い、ざまあして幸せになるお話です。
ブスを粗末にするな!~顔だけ美人のイジメ主犯格に旦那を寝取られ、復讐に燃える元妻
青の雀
恋愛
人生で最高とも思える運命の相手と結婚しておきながら、その相手を高校時代、さんざん虐めていた美人同級生に誑かされ、浮気、不倫離婚をした夫が転落していくという話。
同時にイジメの張本人も元妻から強烈な仕返しが待っていた。
元妻は元夫から、慰謝料として貯金、不動産を貰い、第2の人生を歩む前にひき逃げにより死亡してしまう。
次に転生したカラダは、絶世の美女としてリアルタイムに略奪婚をした相手と対峙し、復讐を果たすという話にする予定。
肉体ブティックに入れようかと思ったけど、長くなるかもしれないので、別建てにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる