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13話

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 私はやっと平穏な日常を取り戻すことができました。
 ロクスバラ侯爵家が残っていますが、フセインほど警戒する必要はないでしょう。
 それに王家の動向が分かりません。
 完全に安全と言い切る事はできません。
 ですが、フセインを殺した私に、何の準備もなしに襲い掛かるほど、バカではないでしょう。

 私は黄金のように貴重な時間を使って、フセインから手に入れた戦利品の魔道具を徹底的に調べました。
 正直我が家とは比べものにならないほどの貴重な魔道具が、沢山ありました。
 その魔道具を私に一番合う方法で使う事にしました。
 ですがそれよりも大切な事が分かりました。
 フセインから手に入れたモノの中には、莫大な知識も含まれていたのです。
 それを上手く活用すれば、ハミルトン公爵領を手に入れた以上の利益を得ることができます!

 ハミルトン公爵領に関しては、城代家老を置いて統治させることにしました。
 元ハミルトン公爵家の家臣は、基本本領安堵でそのまま召し抱えました。
 初夜の日に私を襲った上級家臣の家は取り潰し、その領地を遠征軍に参加したモントローズ公爵家の家臣に与えました。
 全員に分けると微々たる領地になってしまいますが、実際に戦ったのは私だけですし、分家を創設できたのでそれなりに満足しているようです。

 しかし動員したモントローズ公爵軍は解散させませんでした。
 従軍を希望しないモノは外しましたが、引き続き従軍を希望する者を、魔境やダンジョンに派兵したのです。
 派兵した理由は、新たに得た知識を活用するために必要な素材集めでした。
 彼らが得た素材の半分は彼ら、彼ら自身の収入にしていいことにしました。
 普通は軍役による動員は家臣の自弁なのですが、今回はどれほど功名を上げても加増も新規召し抱えもないので、そういう褒賞にしたのです。

 私はその遠征に参加しませんでした。
 他にしなければいけないことがあったのです。
 有能な人材の新規召し抱えです。
 私を補佐ずる政務能力がある者と、領地の開発発展に寄与する財務能力のある者が必要だったのです。

 幸いにして、独裁者であったフセインの直轄領が私の直轄領となったので、私モントローズ公爵の直轄領は、父の頃の七倍になっています。
 しかもフセインが秘蔵していた、希少で高価な財宝が山のように魔法袋の中にはあったのです。
 その収入と資金で有能な文官を召し抱え、領地開発に投資するのです。

「北の賢者ヨウナス、入ってください」

「失礼します。
 ヨウナス・マリー、お召しにより参上したしました」

「よく来てくれました。
 率直に聞きます。
 貴男にこの領地をよくする腹案はありますか?」
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