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本編
ボニオン公爵家騎士団5
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「麻痺」
騎士長を逃がすわけにはいかない。
ボニオン公爵家には、魔境に戦力を逐次投入してもらわなければならない。
だから今度は白金級の魔法を放った。
流石にこの魔法に対抗する事は出来ないだろう。
白金級の魔法に抵抗出来るのなら、王家王国の騎士団でも百騎長を務められるだろう。
歩兵を伴う部隊なら、千人以上の兵士を指揮出来る。
「ぬぉ~!」
だが余の予想は破られた。
今度も余の魔法に抵抗して見せたのだ!
これには正直驚いた。
これほどの強者がボニオン公爵家に仕えているとは思わなかった。
だからこそ、絶対に逃がすわけにはいかない。
既に身体強化の魔法は自分にもかけてある。
瞬足の魔法効果の御陰で、騎士長を逃がすことはない。
一気に距離を詰めて、今度こそ麻痺させる。
「麻痺」
騎士長は間違いなく麻痺した。
だが落馬しなかった!
麻痺魔法を受けることを覚悟していたのだろう。
軍馬にしがみつくように姿勢を維持していた。
手綱を何重にも手首に巻き付けていた。
これは軍馬が見事だった。
普通このような乗り方をされたら、人間から可笑しな指示をされたと思い、混乱するものなのだ。
だがこの軍馬は、賢明にも主人が怪我して上手く乗れなくなったと判断したのだろう。
主人を落馬させないように、駆歩(かけあし)から常歩(なみあし)の走り方に変えている!
「御免」
余が何も言わないのに、パトリックが駆けだしてくれた。
騎士長と軍馬を安全に確保してくれるのだろう。
これほど見事な騎士は殺したくないという、余の想いを汲み取ってくれたのだろう。
ボニオン公爵家の一件がどう言う結論になるのかは分からないが、この騎士は民の役に立つ。
魔境を管理して、魔獣が溢れないようにするのが王侯貴族の存在意義なのだから、実力ある騎士は貴重な戦力なのだ。
「いいかよく聞くのだ。ボニオン公爵家は、王家王国の民を騙して奴隷として連れ去った。そして地獄のような苦しみを与えた。だからその報いを受けてもらう。そしてなりより問題なのは、魔境を管理するという、王侯貴族の義務を果たしていない。その証拠を掴み王家王国に報告する為に、貴殿らには魔境に入ってもらうように仕向けた」
麻痺がまだ解けていないのだろう。
ほとんどの騎士が、何も言えずにいる。
中には睡眠魔法の効果で、未だに眠っている者すらいる。
これで騎士を名乗れるのだから、ボニオン公爵家の戦闘力は推して知るべしだろう。
だがその中で、ただ一騎だけ、瞳に強い光を宿している者がいる。
騎士長だ。
ボニオン公爵家に忠誠を誓い、余に反感を持っているのか?
それとも外道なボニオン公爵家に仕えている事は恥じているのか?
新たな決意をしているのかは分からない。
だがその瞳に邪心などないと思いたい。
騎士長を逃がすわけにはいかない。
ボニオン公爵家には、魔境に戦力を逐次投入してもらわなければならない。
だから今度は白金級の魔法を放った。
流石にこの魔法に対抗する事は出来ないだろう。
白金級の魔法に抵抗出来るのなら、王家王国の騎士団でも百騎長を務められるだろう。
歩兵を伴う部隊なら、千人以上の兵士を指揮出来る。
「ぬぉ~!」
だが余の予想は破られた。
今度も余の魔法に抵抗して見せたのだ!
これには正直驚いた。
これほどの強者がボニオン公爵家に仕えているとは思わなかった。
だからこそ、絶対に逃がすわけにはいかない。
既に身体強化の魔法は自分にもかけてある。
瞬足の魔法効果の御陰で、騎士長を逃がすことはない。
一気に距離を詰めて、今度こそ麻痺させる。
「麻痺」
騎士長は間違いなく麻痺した。
だが落馬しなかった!
麻痺魔法を受けることを覚悟していたのだろう。
軍馬にしがみつくように姿勢を維持していた。
手綱を何重にも手首に巻き付けていた。
これは軍馬が見事だった。
普通このような乗り方をされたら、人間から可笑しな指示をされたと思い、混乱するものなのだ。
だがこの軍馬は、賢明にも主人が怪我して上手く乗れなくなったと判断したのだろう。
主人を落馬させないように、駆歩(かけあし)から常歩(なみあし)の走り方に変えている!
「御免」
余が何も言わないのに、パトリックが駆けだしてくれた。
騎士長と軍馬を安全に確保してくれるのだろう。
これほど見事な騎士は殺したくないという、余の想いを汲み取ってくれたのだろう。
ボニオン公爵家の一件がどう言う結論になるのかは分からないが、この騎士は民の役に立つ。
魔境を管理して、魔獣が溢れないようにするのが王侯貴族の存在意義なのだから、実力ある騎士は貴重な戦力なのだ。
「いいかよく聞くのだ。ボニオン公爵家は、王家王国の民を騙して奴隷として連れ去った。そして地獄のような苦しみを与えた。だからその報いを受けてもらう。そしてなりより問題なのは、魔境を管理するという、王侯貴族の義務を果たしていない。その証拠を掴み王家王国に報告する為に、貴殿らには魔境に入ってもらうように仕向けた」
麻痺がまだ解けていないのだろう。
ほとんどの騎士が、何も言えずにいる。
中には睡眠魔法の効果で、未だに眠っている者すらいる。
これで騎士を名乗れるのだから、ボニオン公爵家の戦闘力は推して知るべしだろう。
だがその中で、ただ一騎だけ、瞳に強い光を宿している者がいる。
騎士長だ。
ボニオン公爵家に忠誠を誓い、余に反感を持っているのか?
それとも外道なボニオン公爵家に仕えている事は恥じているのか?
新たな決意をしているのかは分からない。
だがその瞳に邪心などないと思いたい。
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