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「私になにをして欲しいの?」
「実は……」
王都の別邸の一つ、中屋敷を預かる用人の話はもっともでした。
彼も代々我が家に仕える譜代家臣ですから、我が一族の特徴を知っています。
私が先祖返りであることもです。
父や兄ではできない事も、私ならできるという事を知っているのです。
だから資金を出して臨時雇いを集めてくれと言ったのです。
ですが今回は時間がありません。
やれることが限られています。
そこで簡単な方法で資金を創り出すことにしたのです。
ダイヤモンドです。
この大陸で一番評価の高い宝石、カラーダイヤモンドを創り出すんです。
私ならば、大陸最大の貴重なカラーダイヤモンドも簡単に創り出せます。
ですがそれでは目立ちすぎてしまいます。
それにそんな希少なカラーダイヤモンドは、競売にかけないと正当な値段で売れませんし、今のステファノプロス侯爵家だと、王家対する詫びとして差し出せと命じられてしまう可能性が高いです。
だからありふれた大きさのカラーダイヤモンドにしました。
色合いが鮮やかなので、同じ大きさのカラーダイヤモンドよりも高く売れます。
なによりカラーダイヤモンドの単価は高いのです、少数で必要額を集められます。
臨時雇いの家臣を集める資金と、当主就任と結婚に必要な費用です。
「あの方へは知らせてくれたの?」
私は中屋敷を預かるフリストスに確認してみた。
あの方を想い名を呼ぶだけで心がざわついてしまう。
計画通りに行けば、あの方と結婚することができる。
そもその前に、王太子との話をつけないといけない。
そうでないとまたあの方を傷つけてしまう。
あの女のように、あの方を傷つける事となど絶対にできない。
王太子はあの方と私を傷つけたいのだ。
私から婚約を解消したことが、器量の狭い王太子には我慢できないのだ。
それと、あの方が孤児から努力して騎士団長に選ばれた事で、自分の無能と怠惰が露になるから嫌っているのだ。
本当にどうしようもない役立たずなクズだ。
思い出しただけで虫唾がはしる!
「あの方へは王都家老のヴァシレイオス殿が直接会いに行きました。
詳細は決まっていませんが、了解は得ております。
問題は王家との話し合いでございますが、留守居役のアタナシアス殿が交渉中ですが、王太子殿下が強硬に反対しているようでございます。
なでもアンゲリキお嬢様と二人きりで直接問いただしたいことがあるとか……」
「それは絶対にできないわ!
そんな事をしたら、あの方の名誉を傷つけ恥をかかせてしまいます。
それくらいなら、王太子を殺した方がましよ」
「分かりました。
だったら少々脅かしましょう。
王太子殿下はご存じないようですが、国王陛下には警告のために王家の口伝が伝えられておりましょう」
「実は……」
王都の別邸の一つ、中屋敷を預かる用人の話はもっともでした。
彼も代々我が家に仕える譜代家臣ですから、我が一族の特徴を知っています。
私が先祖返りであることもです。
父や兄ではできない事も、私ならできるという事を知っているのです。
だから資金を出して臨時雇いを集めてくれと言ったのです。
ですが今回は時間がありません。
やれることが限られています。
そこで簡単な方法で資金を創り出すことにしたのです。
ダイヤモンドです。
この大陸で一番評価の高い宝石、カラーダイヤモンドを創り出すんです。
私ならば、大陸最大の貴重なカラーダイヤモンドも簡単に創り出せます。
ですがそれでは目立ちすぎてしまいます。
それにそんな希少なカラーダイヤモンドは、競売にかけないと正当な値段で売れませんし、今のステファノプロス侯爵家だと、王家対する詫びとして差し出せと命じられてしまう可能性が高いです。
だからありふれた大きさのカラーダイヤモンドにしました。
色合いが鮮やかなので、同じ大きさのカラーダイヤモンドよりも高く売れます。
なによりカラーダイヤモンドの単価は高いのです、少数で必要額を集められます。
臨時雇いの家臣を集める資金と、当主就任と結婚に必要な費用です。
「あの方へは知らせてくれたの?」
私は中屋敷を預かるフリストスに確認してみた。
あの方を想い名を呼ぶだけで心がざわついてしまう。
計画通りに行けば、あの方と結婚することができる。
そもその前に、王太子との話をつけないといけない。
そうでないとまたあの方を傷つけてしまう。
あの女のように、あの方を傷つける事となど絶対にできない。
王太子はあの方と私を傷つけたいのだ。
私から婚約を解消したことが、器量の狭い王太子には我慢できないのだ。
それと、あの方が孤児から努力して騎士団長に選ばれた事で、自分の無能と怠惰が露になるから嫌っているのだ。
本当にどうしようもない役立たずなクズだ。
思い出しただけで虫唾がはしる!
「あの方へは王都家老のヴァシレイオス殿が直接会いに行きました。
詳細は決まっていませんが、了解は得ております。
問題は王家との話し合いでございますが、留守居役のアタナシアス殿が交渉中ですが、王太子殿下が強硬に反対しているようでございます。
なでもアンゲリキお嬢様と二人きりで直接問いただしたいことがあるとか……」
「それは絶対にできないわ!
そんな事をしたら、あの方の名誉を傷つけ恥をかかせてしまいます。
それくらいなら、王太子を殺した方がましよ」
「分かりました。
だったら少々脅かしましょう。
王太子殿下はご存じないようですが、国王陛下には警告のために王家の口伝が伝えられておりましょう」
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