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第一章
第4話グレーオーロックス
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「あれがグレーオーロックスと呼ばれている牛の一種です。
アレならば、支援型のご主人様でも単独で狩れると思います」
マリーが示す先には、体長約三メートルほど、体高は二メートル近く、体重は千キログラム前後と思われる、大きく滑らかな角を持った黒褐色の牛がいた。
その事が一瞬で理解できた事に、正直驚いた。
俺にそんな判断ができるほどの経験はないから、両菩薩が与えてくれたのだろう。
だが、整体師の経験から、どこを打てば苦しませずに殺せるか分かった。
血の臭みのない美味しいお肉として食べる事が、殺す側のマナーだ。
だから心臓が動きながら、痛みを感じさせる事無く、殺さなければいけない。
同時に、内臓の臭みが回る血管を斬って、身体に糞尿の臭みを回してもいけない。
美味しいお肉を手に入れる殺し方とは、かなり技術を必要とするのだ。
それを実現すべく、両菩薩に与えられた能力を最大限発揮する。
元が人嫌いの引きこもり体質だったせいか、隠形の能力があるようだ。
グレーオーロックスに気付かれることなく、急所のある場所に接近できた。
内臓を傷つけない事で、糞尿の臭気を血液に回らせない。
頸椎を切断して痛覚を遮断し、両頸動脈を切り裂き、血抜きを行う。
噴出した血液は魔力で集め、ブラッドソーセージの材料にする。
まあ、俺は食べたいと思わないが、地球でも好きな人が結構いたからな。
「見事でございます、ご主人様、直ぐに解体されて魔法袋に保存されてください」
マリーの言葉を聞いて、急いで解体を続けた。
魚や虫なんかは殺したことはあるが、哺乳類は小動物も殺した事がないのだ。
眼の前で首を刎ねられる鶏は見たことがあるが、実際に手を下したのは大叔父だ。
羽をむしり解体した後で食べさせてもらったが、この手で命を奪ったわけではなく、命を奪う重みを今この場で初めて感じている。
改めて命の重みを感じた上で、的確に解体を進める。
両菩薩が与えてくれた能力の一つなのだろうが、食料にするのに最善の解体方法が頭に浮かび、その通りに手が動き捌いていく。
最初に内臓を全て抜き去り、魔法で水を創り出して冷やし、内臓を漬ける。
内臓を抜いたグレーオーロックスの皮を剥ぎ、肉と皮を完璧に分ける。
次に精肉と骨を肉片つ残すことなく魔力で分けるが、これではTボーンステーキにはできないが、他の解体方法が分からない。
両菩薩は料理的な解体ではなく、肉と骨を効率的に使うための解体方法を、俺に授けてくれたのだろう。
完璧に肉と骨を分けてから、いよいよ内臓を丁寧に分けていくことにした。
アレならば、支援型のご主人様でも単独で狩れると思います」
マリーが示す先には、体長約三メートルほど、体高は二メートル近く、体重は千キログラム前後と思われる、大きく滑らかな角を持った黒褐色の牛がいた。
その事が一瞬で理解できた事に、正直驚いた。
俺にそんな判断ができるほどの経験はないから、両菩薩が与えてくれたのだろう。
だが、整体師の経験から、どこを打てば苦しませずに殺せるか分かった。
血の臭みのない美味しいお肉として食べる事が、殺す側のマナーだ。
だから心臓が動きながら、痛みを感じさせる事無く、殺さなければいけない。
同時に、内臓の臭みが回る血管を斬って、身体に糞尿の臭みを回してもいけない。
美味しいお肉を手に入れる殺し方とは、かなり技術を必要とするのだ。
それを実現すべく、両菩薩に与えられた能力を最大限発揮する。
元が人嫌いの引きこもり体質だったせいか、隠形の能力があるようだ。
グレーオーロックスに気付かれることなく、急所のある場所に接近できた。
内臓を傷つけない事で、糞尿の臭気を血液に回らせない。
頸椎を切断して痛覚を遮断し、両頸動脈を切り裂き、血抜きを行う。
噴出した血液は魔力で集め、ブラッドソーセージの材料にする。
まあ、俺は食べたいと思わないが、地球でも好きな人が結構いたからな。
「見事でございます、ご主人様、直ぐに解体されて魔法袋に保存されてください」
マリーの言葉を聞いて、急いで解体を続けた。
魚や虫なんかは殺したことはあるが、哺乳類は小動物も殺した事がないのだ。
眼の前で首を刎ねられる鶏は見たことがあるが、実際に手を下したのは大叔父だ。
羽をむしり解体した後で食べさせてもらったが、この手で命を奪ったわけではなく、命を奪う重みを今この場で初めて感じている。
改めて命の重みを感じた上で、的確に解体を進める。
両菩薩が与えてくれた能力の一つなのだろうが、食料にするのに最善の解体方法が頭に浮かび、その通りに手が動き捌いていく。
最初に内臓を全て抜き去り、魔法で水を創り出して冷やし、内臓を漬ける。
内臓を抜いたグレーオーロックスの皮を剥ぎ、肉と皮を完璧に分ける。
次に精肉と骨を肉片つ残すことなく魔力で分けるが、これではTボーンステーキにはできないが、他の解体方法が分からない。
両菩薩は料理的な解体ではなく、肉と骨を効率的に使うための解体方法を、俺に授けてくれたのだろう。
完璧に肉と骨を分けてから、いよいよ内臓を丁寧に分けていくことにした。
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