上 下
15 / 20

14話

しおりを挟む
 よく眠れました。
 恥ずかしながら熟睡してしまいました。
 柔らかい巨大葉には大量のヨダレがたまっていました。
 あまりの恥ずかしさに、顔から火が出るような思いがしました。
 遊び疲れてしまったのでしょう。
 もう淑女と呼ばれる年齢なのに、恥ずかしいです。

 だから夢も見ずに熟睡したと言いたい所ですが、面白い夢を見ました。
 私の身体中に魔力と神力を流す夢です。
 自分自身に魔法をかけて魔力と神力を蓄える夢です。
 今まで誰からも教わった事のない、画期的な方法です。
 なぜそのような方法を夢でみたのか理由が分かりません。
 神様のお告げなのでしょうか?

 中途半端に寝てしまったせいで、夜になっていました。
 まだ怖いので、暗い夜に外に出る気にはなれません。
 そこで神様のお告げを試してみることにしました。
 あっけないくらい簡単に夢の通りにできました。
 やはり神様のお告げなのだと確信しました。

 おもしろいくらいたくさんの魔力と神力を蓄える事ができました。
 その魔力と神力を身体中に流す事で、強くなった自覚があります。
 その力をどう使うかが大切なのだと思いました。
 今までは聖女なのに何もできない役立たずでしたが、これからは魔力と神力を使って人々を助ける事ができるのです。

 神様のお告げに従うと、猛烈にお腹がすきますが、さりげなくハクちゃんが食事を出してくれるのです。
 本当に優しい子です。

 ハクちゃんが用意してくれた食事は、朝食と同じ物に加えてポリッジが用意されていました。
 ポリッジはオーツ麦を乳とオリーブオイルで煮込み、塩と香草で味と香りを整え、付け合わせに茹でた野菜と果物が添えられています。
 元々の食材が美味しいのでしょう。
 私が今まで食べた事のあるポリッジとは雲泥の差です。
 一口食べて天にも昇る喜びを感じられる至高の味です。

 また食事の途中で意識がなくなってしまいました。
 神様のお告げ通りにするのはとても疲れるようです。
 朝まで眼がさめず、さめた時にはまた大量のヨダレを流していました。
 恥ずかしくて穴があったら入りたい気分でした。

 しかし止めるわけにはいきません。
 やっと聖女らしいことができるかもしれないのです。
 疲れているからとか、ヨダレが出るからといって、止める選択はありません。
 夢のお告げを毎日やるだけです。

 その中には魔境に小麦畑を作ることや、ブドウ畑を作ることもありました。
 地盤から作り替え、二層三層四層構造の耕作地ができあがっていきます。
 光と空気を下層畑にも届けられるように、多くの縦穴があります。
 天井からは多くの果物の実が垂れ下がり、地には穀物が実っています。
 そして多くの獣がゆったりと実りを食んでいます。
 ここに人間がいれば、楽園だと勘違いしそうね情景です。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

不当に扱われるメイドと不遇の王子達

ひづき
恋愛
下級メイドのアーネはいつも仕事を押し付けられていた。 ある日、体調不良の令息ウィルを押し付けられる。 そのウィルを迎えに来た、ウィルと瓜二つの青年エストと出会ったことで、アーネの生活は一変する。 実質解雇になったり、養女になったり、王太后の復讐に巻き込まれたりするアーネ。 復讐しか頭にない王太后、無関心な国王、善人すぎる第二王子、狂った王弟。様々な王家の柵に振り回されるウィルとエスト。 目指すハッピーエンドに辿り着けるのは誰なのか。 ■ 毎日21時更新 ■ 2021/10/20 開始 ■ 全24話 ■ 2021/11/12 完結予定 ■ 番外編 2021/11/13以降公開予定

ゲームと現実の区別が出来ないヒドインがざまぁされるのはお約束である(仮)

白雪の雫
恋愛
「このエピソードが、あたしが妖魔の王達に溺愛される全ての始まりなのよね~」 ゲームの画面を目にしているピンク色の髪の少女が呟く。 少女の名前は篠原 真莉愛(16) 【ローズマリア~妖魔の王は月の下で愛を請う~】という乙女ゲームのヒロインだ。 そのゲームのヒロインとして転生した、前世はゲームに課金していた元社会人な女は狂喜乱舞した。 何故ならトリップした異世界でチートを得た真莉愛は聖女と呼ばれ、神かかったイケメンの妖魔の王達に溺愛されるからだ。 「複雑な家庭環境と育児放棄が原因で、ファザコンとマザコンを拗らせたアーデルヴェルトもいいけどさ、あたしの推しは隠しキャラにして彼の父親であるグレンヴァルトなのよね~。けどさ~、アラブのシークっぽい感じなラクシャーサ族の王であるブラッドフォードに、何かポセイドンっぽい感じな水妖族の王であるヴェルナーも捨て難いし~・・・」 そうよ! だったら逆ハーをすればいいじゃない! 逆ハーは達成が難しい。だが遣り甲斐と達成感は半端ない。 その後にあるのは彼等による溺愛ルートだからだ。 これは乙女ゲームに似た現実の異世界にトリップしてしまった一人の女がゲームと現実の区別がつかない事で痛い目に遭う話である。 思い付きで書いたのでガバガバ設定+設定に矛盾がある+ご都合主義です。 いいタイトルが浮かばなかったので(仮)をつけています。

国護りの力を持っていましたが、王子は私を嫌っているみたいです

四季
恋愛
南から逃げてきたアネイシアは、『国護りの力』と呼ばれている特殊な力が宿っていると告げられ、丁重にもてなされることとなる。そして、国王が決めた相手である王子ザルベーと婚約したのだが、国王が亡くなってしまって……。

追放された令嬢は英雄となって帰還する

影茸
恋愛
代々聖女を輩出して来た家系、リースブルク家。 だがその1人娘であるラストは聖女と認められるだけの才能が無く、彼女は冤罪を被せられ、婚約者である王子にも婚約破棄されて国を追放されることになる。 ーーー そしてその時彼女はその国で唯一自分を助けようとしてくれた青年に恋をした。 そしてそれから数年後、最強と呼ばれる魔女に弟子入りして英雄と呼ばれるようになったラストは、恋心を胸に国へと帰還する…… ※この作品は最初のプロローグだけを現段階だけで短編として投稿する予定です!

魔法を使える私はかつて婚約者に嫌われ婚約破棄されてしまいましたが、このたびめでたく国を護る聖女に認定されました。

四季
恋愛
「穢れた魔女を妻とする気はない! 婚約は破棄だ!!」 今日、私は、婚約者ケインから大きな声でそう宣言されてしまった。

【完結】婚約破棄され追放された聖女 ~帰ってきてくれ? 帰るわけないでしょう~

つぼみ
恋愛
ノルデン王国で毎日まじめに聖女の仕事をおこなっていたソフィア。 ソフィアは婚約者でこの国の王子であるテーラルにいじめられていた。 テーラルは最愛の人カミラと婚約したいと考えソフィアに婚約破棄をつげる。 ソフィアは仕事に専念できると喜んだが、テーラルに聖女などいらないといわれ、追放されてしまう。 その後、ソフィアは隣国シニストラ王国に行く。 そのころ、聖女の消えたノルデン王国は大変なことになっており……。 *婚約破棄される聖女もの初挑戦です。 *もうほとんど書き終わっているので毎日投稿します。

不憫なままではいられない、聖女候補になったのでとりあえずがんばります!

吉野屋
恋愛
 母が亡くなり、伯父に厄介者扱いされた挙句、従兄弟のせいで池に落ちて死にかけたが、  潜在していた加護の力が目覚め、神殿の池に引き寄せられた。  美貌の大神官に池から救われ、聖女候補として生活する事になる。  母の天然加減を引き継いだ主人公の新しい人生の物語。  (完結済み。皆様、いつも読んでいただいてありがとうございます。とても励みになります)  

【完結済】婚約破棄された元公爵令嬢は教会で歌う

curosu
恋愛
【書きたい場面だけシリーズ】 婚約破棄された元公爵令嬢は、静かな教会で好き勝手に歌う。 それを見ていた神は... ※書きたい部分だけ書いた4話だけの短編。 他の作品より人物も名前も設定も全て適当に書いてる為、誤字脱字ありましたらご報告ください。

処理中です...